海の向こう隣りはニューヨーク
横なぐりの雨風が荒れ狂う
帽子のうえにフードをかぶる
パンツまでぬれはじめた
ヨーロッパの西の端アイルランド本島の
ゴールウエイから
さらに西の孤島アラン
夫と5人の息子をつぎつぎ荒海にうばわれ
最後にのこった息子も風浪にのまれ
「みんなこの世を去ってしまった。
だから海はこれ以上、
私にどうすることも出来やしない……」
と年老いた母は十字を切った
シングの戯曲『海へ騎りゆく人々』の
忘れがたい科白だ
石ころと岩だけの不毛の島は
海に生活の糧をもとめた
木組みに布をはり