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【デザイン思考&UXDの原点回帰】こんな人たちが増えれば世界はもっと楽しくなる!

気付いてみれば日本企業とGAFAMは既に比較さえされないほど差が開いてしまった。今、クライアントの企業や大学と注力しているのはモノやコトのデザインの一方で、組織や企業自体の創造性を拡張するデザイン。あるクライアントでは人事部門と共同でプロジェクトをスタートしていて、今までにない手応えを感じています。今日はそんな新しい「ヒトづくり」の活動を通じ、自分が目指している、組織を、企業を、より良く変えていく人の在り方について少しシェアします。

■日本の巻き返しを目指して

諸説あるにせよ日本企業とGAFAMの差が開いた原因は商品力。では商品力が衰えたのは何故か。工業デザイナーの自分から見てそれはシンプルにバリューが生み出せていなかったからだと思う。本当に必要、本当に欲しい、そういうモノが作れない。日本企業ではある時期から「他社差別化」をあまりに優先し過ぎた時代が長く続き、その間にシリコンバレー、特にスタートアップ界隈ではデザイン思考を始めとした人間本来の欲求や価値観の追及に突き進んだ結果が今であると。

大企業は意思決定に時間が掛かるがゆえに身軽なスタートアップの躍進にはスピードでも太刀打ちできない。ISOや知財、ISMなどの国際規約による縛りに雁字搦めにされグローバル戦略の罠に嵌まったという一面もあるかもしれない。いずれにしても、ここへ来て漸く日本でもデザイン思考や経験価値創出への見直しに原点回帰したように見える。

今、多くの企業や大学が私に様々な仕事のチャンスをくださるのにも、そんな背景があるとすれば、此処は是非とも自分の能力を発揮して、また再び日本が世界を牽引するくらいの巻き返しに貢献していきたいと思うし、そのチャンスは十分にあると感じています。

■ いつでも明日の楽しみ方を一番に考えているような人

そんな中で取り沙汰されるUXデザインという分野。User Experience Designの略。使う人の経験のデザイン。従って、一旦Userという部分を外して単純化すれば「経験を価値あるものにする」ということ。時代の変遷に応じて価値観は変わる。かつて所有に重きが置かれていた価値観も今やミニマリズムやシェアなどより身軽な価値観に重心を移している。そもそも人生にとって最も重要な価値は何か?よく謂われるようにおカネや資産は死んでしまえば天国には持って行けない。

個人的にも思うのはやはり「どんな豊かな経験を出来たか?」がその人の人生の価値を決めるように思う。最近書店で平積みされている書籍にも同様の視点が多く見られる。また「一度きりの人生なのだから後悔の無いように生きよう」という言い古されたセンテンスもまた経験の重要性を異なる表現で現わしたものだろうと思う。経験と記憶。これらも天国には持っていけないかもしれないけれど、もしかするとDNAにでも代々刻まれて、ある種の永続性も持ち得るのではないかとロマンティックに考えてしまう。極論すれば人生は経験と記憶が全てであると。昨今UXデザインが見直されるのもそんな背景があるのかもしれない。

経験と記憶を大切に考えると生き方も変わってきます。例えば経済的な価値観に走れば、それは結局自分と他人の経済比較でしか満足を得られない。でも経験と記憶の充実を第一義とするなら「明日は何をして過ごそうか?」を一番に考えるようになる。いつも明日の楽しみ方を一番に考えているような人は自ずと周囲をハッピーにしてしまう空気感を持っている。UXデザインは突き詰めれば、そんな人を創り出す起点にさえなると思っています。

■ 創造的な反射神経を身に付けた人

デザイン思考もまたデザインやビジネス界隈の専門用語のように思われているけれど、私は(いつも言ってますがw)デザイン思考はより豊かに生きるための生存本能であり野生の一部であると思っています。常識と言う暗黙の縛りを破り、自分の五感と知恵を頼りに通常は気付きにくいヒントを見付けることで目から鱗が落ちるような機知を獲得する。

弊社POVのワークショップでは既定の解釈をどこまで拡大できるかにチャレンジする「Extended Interpretation(拡大解釈)」、未来を既視化し過去形化する「Became in the Future」、既存ユニコーン企業を異分野の事業に参入させる「Startup Simulation」、自分の仕様を視覚化して自己肯定感を上げる「Egoistic Affirmation」などがある。どれも遊び心とユーモアを活用した前向きな議論方法や柔軟な発想方法を経験的に習得するよう工夫している。

目指しているのは「こういう課題にはこの公式を使う」のような“杓子定規な対処方法”でなく、局面ごとに柔軟な姿勢を自然に取れるような“反射神経“。真面目な社会課題に対しても反射的にクスっと笑えるユーモアで返しながら着実に成果を出していくような人。創造的な反射神経を身に付ければ一見なんの変哲も無い風景にさえ生きていることが嬉しくなるような隠しコマンドを見付けられるようになる。そしてそんな人が増えるとその創造的熱量は自ずと周囲をさえ巻き込んでいくようになります。

■“そういう人達”が増えれば企業も変わる

そんな訳で、今、あるクライアントの人事と共同でUXデザインの体系化と並行してUXデザインやデザイン思考を「経験を通じて」身に付けていけるようなプログラムを1年間のタイムラインで導入し、一部は認定制度化する取り組みを行っています。所謂、Human Centered Designの基礎に基づきながらも年間6回ほどの弊社のデザイン思考ワークショップをクライアントの事業特性に応じたカスタマイズにより、テイラーメイドなプログラムに設計しています。

が、ここに記したのはあくまで取り組みのフレームワークであり、目指しているのはあくまで平易に「明日の楽しみ方を一番に考える」「創造的な反射神経を身に付けた人」を多く創り出していくこと。こうした人が増えれば、その組織は、その企業は、きっと大きく生まれ変わる。そしてこうした活動を数年間続けていくことで企業や大学の持つ創造性の色温度を少しずつ上げて行くことが出来るだろうし、そしてそんな事例を出来るだけ増やしていくことができれば、果たしてどんな結果が生まれるか!?夢は拡がります~。

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