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点滅

流れていると思うでしょ?
流れてないんだよね。

足したり、引いたり。

積みあがっていくんだね。

電車で隣の席に座った男性が「部下をやる気にさせるための本」を読んでいる。

部下をやる気にさせたいんだろう。

彼はその本に書かれている「メソッド」を、明日、部下に試すのだろうか。
そして部下が「やる気」になったかどうかを、
その小さな目で、ずっと監視するのだろうか。

何かを望むと、その「何か」のための存在になる。

見ている世界は、その「何か」で満ちていき、
その「何か」の向こうの点滅に気づけなくなる。

そうやって、他人を監視するだけの小さな目になる。

咳がひどい。
龍角散のど飴を、たらふく舐める。

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