高校入試の確率問題において、基礎編で扱った問題から難易度を上げる方向性として、主に次の5つを挙げることができます。
本編で扱っていない私立高校の入試問題をタネに、この5つの方向を探ってみようと思います。
(1)サイコロとか玉とかに仕掛けをする
一つめは,偶然を発生させる装置そのものの仕掛けを複雑にすることです。偶然を発生させる装置とは「さいころ」や「カード」や「袋や箱の中の玉(カード)」などを指します。さいころの目がノーマルのものではなかったり、重複するカードや玉を入れたり,玉に色と数字の組合せをつけたり、といったことが考えられます。
(2)判定条件を難しくする
列挙しても解けるけれども,ショートカット(別解)があるような問題を出すような学校は、その学校が問いたい「数学センス」みたいなものが見えてくるような気もします。4の倍数ということは十の位・一の位だけ考えればよいですし、$${11a+8b=7(a+b)+4a+b}$$ですから,$${11a+8b}$$の値が7の倍数⇒$${4a+b}$$の値が7の倍数となる場合を考えてもよいわけです(その方が計算は楽です)。
これなんかは読解力・読みかえ力がためされます。よく読めば、つまりは同じ色の玉を取り出す確率、ということなのですけどね。
(3)別の装置を操作(※数学の他領域の知識は不要)
このnoteでは応用編として分類して扱っているタイプの問題です。さらに、移動(すごろく型・循環型)、裏返す、取り除く、並べ替える,並べる,やりとりする、のように分類してあります。
(4)数学の他分野(他領域)との融合問題
このnoteでは融合問題編として分類している問題です。中学分野でいうと、数式・純粋な図形分野・図形を使わない関数分野・座標平面上の図形の4つに分類してあります。
融合問題編で取り扱うように、もちろん公立入試でも融合問題は出てきます。融合させることにエネルギーをさいている問題を見るとゾクゾクします。
36マス全部埋めても解けますが、√の中が平方数、というところに気づくかどうか、たとえば$${b}$$が偶数だけを列挙すればOK、というワナにハマらないかどうか($${4^3}$$や$${4^5}$$も平方数!)。
しかも全体の時間配分としてはこの問題にはそんなに時間をかけられません。すぐに判断ができるかどうか、というところも試験で点数を取るためのポイントになります(実はゴチャゴチャ場合分けを考えるぐらいなら、36マス計算力でゴリゴリやった方がはやくて正確,という可能性もあります)。
これなど、一見単純そうに見えますし、36通り確かめてもいいけれど、実は因数分解を利用すると早い問題。わざわざ$${n}$$とか文字を置いているところが、なかなかその発想にたどり着かないように惑わしている感じです。
$${n =10a+b}$$だから $${10a+b=ab+8a+2}$$を等式変形して$${ab-2a-b+2=0}$$から$${(a-1)(b-2)=0}$$で、$${a}$$=1または$${b}$$=2ともっていけるかどうか、アンテナにひっかかるかを問う問題でもあります。
(5)高校で習うことを入試で出しちゃう(場合の数の公式を使う、確率の積の法則)
実はこの問題がいちばん厄介なのです。出題者が認識していないと,余計に辛い。というわけで、別に稿をあらためることにします。
------------------