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×滋賀県|公立高校入試確率問題2024

 このnoteのシリーズでバツ印をつけている問題は,時間内に解くためには高校範囲の学習内容が前提とされており,「中学の学習指導要領の規定を超えている」と判定しているものです。
 学習範囲を超えているのですから,(兵庫県以外の)ほかの都道府県の公立高校を受験しようとしている人が練習問題として解けなくても,あなたが悪いわけではありません。

 図1のような正四面体が3つと,図2のような正六面体が2つあります。3つの正四面体それぞれの各面には,1から4までの数字を1つずつ書き,2つの正六面体それぞれの各面には,1から6までの数字を1つずつ書きました。2つの正六面体を同時に投げたとき,上面に書かれた数の和が10以上になる確率は,$${\dfrac{1}{6}}$$になります。
  _3つの正四面体を同時に投げたとき,底面に書かれた数の和が10以上になる確率_も同じになるか調べます。ただしどの数が出ることも同様に確からしいとします。
 下線部の確率を求めなさい。また,2つの正六面体を同時に投げたとき,上面に書かれた数の和が10以上になる確率と,求めた下線部の確率について,次のからのうち,正しいものを1つ選んで,記号で書きなさい。

 どちらの確率も同じである。
 2つの正六面体を同時に投げたとき,上面に書かれた数の和が10以上になる確率の方が高い。
 3つの正四面体を同時に投げたとき,底面に書かれた数の和が10以上になる確率の方が高い。

https://www.ac-illust.com/main/detail.php?id=22068661&word=%E7%AE%97%E6%95%B0%E6%95%B0%E5%AD%A6%E3%80%80%E5%A4%9A%E9%9D%A2%E4%BD%93%E3%82%BB%E3%83%83%E3%83%88

分類:17 お互いに影響しない2つの偶然

マジメに樹形図

 3つの正四面体を同時に投げたときの底面に書かれた数の和を考えます。まず正四面体3つを①・②・③と分けて区別します。
 偶然は3つ起こりますから,樹形図をかきます。正四面体の底面に書かれた数のことを「正四面体の目」として説明をしましょう。
 ①の正多面体の目は②・③の目には影響されません。同じように,②・③の正多面体の目も,お互いにほかの2つの正多面体の目に影響されることはありません。ですから,下の樹形図のように起こりうるすべての場合をかき並べると,そのどれが起こることも同様に確からしいといえます。

 すべての場合の数は48通り。そのうち,和が10以上(10も入りますよ!)の場合は〇印をつけた10通りですので,その確率は $${\dfrac{10}{64}=\dfrac{5}{32}}$$  と求めることができます。

 なお問題文に「2つの正六面体を同時に投げたとき,上面に書かれた数の和が10以上になる確率は,$${\dfrac{1}{6}}$$になります」と書いてありますが,実際に確かめると

で,確かにそうですね。

 選択肢ア~ウを選ぶには,$${\dfrac{1}{6}}$$と$${\dfrac{5}{32}}$$を比べるわけですから,それぞれ通分して正六面体$${\dfrac{1}{6}=\dfrac{16}{96}}$$と正四面体$${\dfrac{5}{32}=\dfrac{15}{96}}$$で,かろうじて2つの正六面体の方の確率の方が高いことがわかります。

 ・・・と,まじめに解きましたが,上にかいた樹形図,問題用紙の片隅に制限時間内にかききれますか? んなこったーない,というわけで,公立高校入試として×問題です。

確率 $${\bm{\dfrac{5}{32}}}$$   記号 

上級者に求められているのは?

 この問題,正多面体についての大問の4つあるうちの最後の問題で,そういう意味ではちょいむずに設定してあると思われます。
 「3つの正四面体を同時に投げたとき起こりうるすべての場合の数」と,そのときに「底面に書かれた数の和が10以上になる場合の数」にどのように数え上げるか,上のような樹形図をいちいちかいていては間に合わない問題なわけです。前者は4×4×4で「瞬間的に」求めることを要求しているのだと思われますし,後者はたぶん次のようなことが「しれっと」いろんな解説に書かれて,時間内に解き終わるためにはこのような解き方を要求されるような気がします。

 正四面体の底面に書かれた数のことを「正四面体の目」と書き表すと,3つの正四面体の目の和が10以上になる(順序を考えない)組合せは
(1){4,4,2}★
(2){4,4,3}★
(3){4,4,4}◎
(4){4,3,3}★
である。
 ここで,同じ目が出るものが2つでもう1つが異なる★の場合について,「1つ目の正四面体で出る目」「2つ目の正四面体で出る目」「3つ目の正四面体で出る目」の順序を考えた並べ方を考えると,たとえば(1)を例にすると(4,4,2)(4,2,4)(2,4,4)のように,それぞれ3通りある。
 また,(3)の出方はただ1通りである。
 (1)~(4)の場合は,それぞれ互いに同時には起こらないので,3つの正四面体の目の和が10以上になる場合の数は
      3×3  +  1  =  10
      (★)    (◎)
で10通りあることがわかる。

 何度も言いますが,これは高校に入って原理原則からしっかり学んだ方がいい問題です。中途半端にテクニックだけ学ぶと,後々苦労します。


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