北海道|公立高校入試確率問題2022
分類: 融合A2(平方根)★★
さいころ2つは表!
すべての場合の数は,例によって36。
分子を、まずはこれまで紹介してきた方法で求める。
この問題、正解にたどり着くためにいくつものアプローチの仕方があります。ここでは、まずは表を作ってすべての場合を「列挙」するやり方でやってみましょう。
あらかじめ102を素因数分解しておくのがよいのですが,ここでは51=3×17と分解できるかどうかが、まずはカギとなりそうだ。
実は北海道が出題したのは・・・
実は最初に紹介した問題は、実際に出題されたうち(2)だけを取り出しています。実際の出題は、
(1)はいわゆる誘導問題で、この誘導なしでいきなり問題を解け、となったときに、先に紹介した方法はどうも遅すぎるのです。ノーヒントで、より早く答えにたどり着く方法を思いつくかどうかは、センスを試されてしまうところがあるので、誘導問題を置いたのだと思います。うまい具合に「まずは平方根のことわかりますか?」という融合問題として出題されています。分野の切り分けや、難易度の調節が、これでできているのです。
次に、この(1)に導かれて解くアプローチで紹介しておきましょう。
考え方2-1 列挙方式(手当たり次第?)
$${n}$$は2つのサイコロの目の和ですから、その範囲は$${2≦n≦12}$$です。2~12の範囲で、全部調べてみます。
$${n}$$=2のとき、$${102 \times 2= 2 \times 2 \times 3 \times 17 = 2^2 \times 51}$$となるのでOK
$${n}$$=3のとき、$${102 \times 3= 2 \times 3 \times 3 \times 17 = 3^2 \times 34}$$となるのでOK
$${n}$$=4のとき、$${102 \times 4= 2 \times 2 \times 2 \times 3 \times 17 = 2^2 \times 102}$$となるのでOK
$${n}$$=5のとき、$${102 \times 5= 2 \times 3 \times 5 \times 17}$$でNG
$${n}$$=6のとき、$${102 \times 6= 2 \times 2 \times 3 \times 3 \times 17 = 6^2 \times 17}$$となるのでOK
$${n}$$=7のとき、$${102 \times 7= 2 \times 3 \times 7 \times 17}$$となるのでNG
$${n}$$=8のとき、$${102 \times 8= 2 \times 2 \times 2 \times 2 \times 3 \times 17 = 4^2 \times 51}$$となるのでOK
$${n}$$=9のとき、$${102 \times 9= 2 \times 3 \times 3 \times 3 \times 17 = 3^2 \times 102}$$となるのでOK
$${n}$$=10のとき、$${102 \times 10= 2 \times 2 \times 3 \times 5 \times 17 = 2^2 \times 255}$$となるのでOK
$${n}$$=11のとき、$${102 \times 11= 2 \times 3 \times 11 \times 17}$$でNG
$${n}$$=12のとき、$${102 \times 12= 2 \times 2 \times 2 \times 3 \times 3 \times 17 = 6^2 \times 34}$$となるのでOK
したがって、条件に合う$${n}$$をすべて列挙すると、2,3,4,6,8,9,10,12。
考え方2ー2 条件から迎えに行く考え方
このように条件が11個なら、いちいち考えてもいいのですが、今度は条件からあてはまる場合を「迎えに行」って、答えを絞っていくアプローチをしてみましょう。
102を素因数分解すると、102=2×3×17。これに何かをかけて、とにかく同じ素因数が2回以上掛け算されていれば $${\sqrt{102n}=a\sqrt{b}}$$ の形に変形することができます。すると$${n}$$が「2の倍数」か「3の倍数」か「1以外の平方数」を因数に含むならば$${\sqrt{102n}}$$は$${a \sqrt{b}}$$の形をとります。($${n}$$は17にはならないことに注意。これが例えば$${\sqrt{42n}}$$や$${\sqrt{66n}}$$だったら違ってきますね。)
というわけで、この条件で考えてみると、2,3,4,6,7,8,9,10,12となります。
では表で
というわけで、和が2,3,4,6,8,9,10,12になる組み合わせを考えてみましょう。表を書いてみます。
「じゃない方」のほうが少なくないか?
ちょっと待て、「じゃない方」は、5,7,11と圧倒的に少ないではないか、とピンときた人は、センスが良いですね。
「じゃない方」を考えた方が速そうだ、と気づくと、$${n}$$が5か7か11のときを考えて、あとでひき算すればよいです。(大きいさいころの目の数,小さいさいころの目の数)と表すとすると、
$${n}$$=5となる組は(1,4)(2,3)(3,2)(4,1)
$${n}$$=7となる組は(1,6)(2,5)(3,4)(4,3)(5,2)(6,1)
$${n}$$=11となる組は(5,6)(6,5)
あわせて12通り。
ということは、和が2,3,4,6,8,9,10,12になる組み合わせは、36通りのうちの残り、36-12で24通り。
問題を解いた後に・・・
泥臭く解く? スマートに解く?
中学確率の問題としてもなかなかいい問題だなと思うのは、泥臭く解いて答えが出る問題にもかかわらず、スマートな解き方の探求のし甲斐がある、ということです。特に融合問題として平方根(というか、素因数分解)の知識を主に聞いています。
このnoteのシリーズでは、「列挙の漏れ」を防ぐため、まずは表で全部の場合を列挙して1つ1つつぶしていく、という安全な方法をお勧めしていますが、そこでも51=3×17がクリアできるかどうか、というちょっとした落とし穴もあります。そう簡単にはいきません。
さらに上級を目指す人は、もっと早くたどり着く場合があればその方法を身につける必要もあります。「条件から迎えに行く」と表現をしましたが、分子を独自に列挙して考える、というやり方も必要となります。
また誘導問題にしたがって素直に解くやり方の一方で、「じゃない方(余事象)」を思いついて、アプローチを切り替えることができると、さらに早く答えにたどり着くところも、数学の力を試す‘’いい”問題です。
平方根と確率と、数学的センスというか、確実に答えが出せるということ以外に、早く答えを出す方法が思いつくかどうか、ということもまたこの問題を分析するにあたって、なかなか心憎い問題ですね。
単純に見えて、いろいろ分析をしていくと、仕掛けが隠してある問題だということがわかります。
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