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基礎編27* 「○○が起こらない確率①」○○が起こらない確率

 2つのさいころを同時に投げるとき,出る目の数の和が8にならない確率を求めなさい。ただし,2つのさいころの1から6の目は,どの目が出ることも同様に確からしいとする。(宮崎県2020)

今までのやり方で解けます。

 それでは、さっそく解いてみます。2つのさいころだから、表はこれ(基礎編5)。分母は36

スライド2

 次は分子を考えます。判定条件は和なので、それぞれのマス目について和を計算しましょう。

スライド3

 そのうち、和が8にならないのは

スライド4

 分子は31。なので求める確率は

31/36

教科書に載っている公式

 ○の数を数えるのに1つ1つ数えるよりも、○のついてない方が少ないから、36-5って計算した・・・って人いるかな? 鋭い!

 数学では、確率の問題に限らず「じゃない方」を考えた方が答えを求めやすかったり、早く解けたりする、ということがあります。

 確率のときには(「○○が起こる確率」ではなく)「○○が起こらない確率」を考えるということになります。そして「○○が起こる確率」と「○○が起こらない確率」の間には、次のような関係があります。

(Aの起こらない確率)=1-(Aの起こる確率)

スライド1

 絶対起こる確率は1なので、そこから起こる確率を引いたら、残りは起こらない確率、ということではあるのですが。

というわけで、この公式を使いましょう

 分母は36。それは変わらない。問題は分子。「和が8にならない確率」について、「和が8になる確率」の方が簡単に求められそうなので、

(和が8にならない確率)=1-(和が8になる確率)

の公式を使って、計算することにしましょう。

 「和が8になる場合の数」は

スライド5

表の中の5通り。なので、和が8になる確率は5/36

(和が8にならない確率)=1-(和が8になる確率)
            =1-5/36
            =36/36-5/36
            =31/36

え? こう解かなきゃいけないの・・・?

 いや~ 分数の計算は面倒だな、と思ったあなた。鋭い。結局は、この問題は分子の求め方を工夫すればいちばんすっきり解ける。

「和が8にならない場合」について、「和が8になる確率」の方が簡単に求められそうなので、

(和が8にならない場合)=(すべての場合)-(和が8になる場合)

という考え方で計算すると、いちばんすっきりするかな。。

 「和が8になる場合の数」は

スライド5

表の中の5通り。すべての場合の数は36なので、和が8にならない場合の数は36-5=31。

(和が8にならない確率)= 31/36

 結局、答えは同じですけど、あとはどういう発想をすると答えに素早くたどり着くか、ですね。

問題を解いたあとに・・・

 場合の数の引き算で考えた方が解くのは早いかも。とは言ったものの、

(和が8にならない確率)=1-(和が8になる確率)

という考え方が不要、というわけでもありません。次の確率編24は「○○じゃない方」とは書いていないけど、「○○じゃない方」を考えると素早く解ける定石テクニックの問題。

 「○○が起こらないことがら」のことを、高校では余事象といいます。事象、ということばを中学では使わないので、逆にまどろっこしい表現になっています。

 「○○じゃない方」を考える発想法は、数学ではときどき役に立つので、覚えておいてくださいね。


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