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融合問題編《B1》中1・2図形範囲

 純粋な図形の問題と融合問題、という分類をしたので,このカテゴリーには「パターン化」できない雑多な問題が混じっています。そこで、このnoteでは何問か紹介することにします。
 図形の問題は、特に問題に書いてあることを,もうちょっと使える形に「読みかえる」力が試されています。そういう意味では,確率の問題というより、ほぼ図形の問題として問題を読み解けるかどうか,にかかっている,と言ってもいいでしょう。

問題を解いてみよう

問題1

 下の図のように,線分ABの延長上に点Cがあり、AB=13cm,BC=10cmです。正しくつくられた大小2つのさいころを同時に1回投げ,出た目の数の和を$${x}$$とします。線分AB上にAP=$${x}$$ cmとなるように点Pをとります。
 これについて,次の(1)・(2)に答えなさい。
(1) 線分CPの垂直二等分線が点Bを通るとき、$${x}$$の値を求めなさい。
(2) 点Aを,点Pを中心として180°回転移動した点が、線分BC上にある確率を求めなさい。

広島県2012

(1)
 「線分CPの垂直二等分線が点Bを通る」を、もう少し「使える形」に読みかえていく。
「線分CPの垂直二等分線が点Bを通る」と言うことは「PB=BC」である、ということです。PB=10cmなので、AP(x)は3cm。

(2)
 「点Aを,点Pを中心として180°回転移動した点が、線分BC上にある」を、もう少し「使える形」に読みかえていく。
 まず、「点Aを,点Pを中心として180°回転移動した点が、半直線BC上にある」ためには、AP≧PBである。つまり、x≧13/2(=6.5)・・・①
 もうひとつ、「点Aを,点Pを中心として180°回転移動した点が、CよりB側にある」ためには、2AP≦AC、つまり、x≦23/2(=11.5)・・・②
 xが6.5以上11.5以下になるのは,下の表で色で塗ったところ、20通りである。

 なので、求める確率は $${\dfrac{20}{36} = \dfrac{5}{9}}$$

答え  (1)3  (2) $${\bm{\dfrac{5}{9}}}$$

問題2

 図1のように,箱にはB,C,D,E,Fの文字が書かれたカードが1枚ずつ入っている。この箱からカードを1枚取り出し,文字を記録してから,カードを箱に戻す。これを2回繰り返す。
 図2のように,正三角形ABCの各辺の中点をD,E,Fとする。点Aと,記録した2つの文字と同じ点をすべて結んでできる図形が三角形となる確率を求めよ。ただし,箱からのカードの取り出し方は同様に確からしいものとする。
 例えば,1回目にC,2回目にFを記録したとき,この図形は3点A,C,Fを頂点とする三角形となる。1回目も2回目もFを記録したとき,
この図形は2点A,Fを結んだ線分となる。

 福井県 2020年改題

  たぶんこの問題のポイントは、たとえば1回目に[B]、2回目に[F]が出たときです。これらを結んだ線分は,結局2点ABを結んだ線分になる,ということに気づきますか? もちろん確率を使う問題なのですが,それをクリアしないと正解ができない、と考えると、この問題は確率の問題と言うよりは,図形の知識を確率を絡めて問うている問題、ということができるでしょう。
 表は次のようになります。(確率のことで言うと、取り出すときに元にもどしていることに注意)

 というわけで求める確率は、$${\bm{\dfrac{16}{25}}}$$。

問題3

 下の図のように、∠ABC=90°である直角二等辺三角形ABCと長方形ADEBがあります。辺BEの中点をPとすると,AB=BFです。また、文字を書いた5枚のカード,[B],[C],[D],[E],[F]が袋の中に入っています。この袋の中から2枚のカードを同時に取り出します。このとき,それらのカードと同じ文字の点と点Aの3点を頂点とする三角形が,直角三角形になる確率を求めなさい。

広島県 2017年

 表はこのようになります。

 やはりポイントになるのが、AB=BC=BF=EFなので△ABFや△DEFが直角二等辺三角形であることに気づくかどうかです。そうすると∠CAFが直角であり、△ACFが直角二等辺三角形になること、同じように∠AFDと∠DFAが45度になるので、∠AFDは90度になるので、△AFDはやはり直角三角形であることがわかります。ポイントはやはり図形の問題になりますね。
 答えは、$${\bm{\dfrac{7}{10}}}$$。

問題を解いたあとに・・・

 繰り返しになりますが、どうも入試問題集などでもこうした融合問題は「確率」問題として分類をされます。もちろん他の領域に比べて確率は独特、というところはあるのですが、しかし問題の中身を見ると,確率として問われていることはごくごく基本で、問題が正解できるかどうかの本質の所は、図形だったり関数だったりするのです。

このカテゴリーの問題


 三重県前期2023(立体)、千葉県2015(立体)、神奈川県2020年(立体)、北海道裁量問題2016(立体の断面)、福井県2020(三角形ができる)、滋賀県2020年(等積変形),富山県2011年(三角形の性質)


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