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基礎編17* 「偶然2つの分母」お互いに影響しない2つの偶然

 二つの箱A,Bがある箱がある。箱Aには数の書いてある3枚のカード1,2,3が入っており,箱Bには数の書いてある3枚のカード1,3,5が入っている。A,Bそれぞれの箱から同時に1枚のカードを取り出すとき,取り出した2枚のカードに書いてある数が同じである確率はいくらですか。A,Bそれぞれの箱において,どのカードが取り出されることも同様に確からしいものとして答えなさい。(大阪府2018A)

問題を解く前に・・・

 これまでは、AさんとBさんに偶然を分担したときに、2人には全く同じ偶然が起こりました。さいころ2つ・2回とか、同じ袋から2回・2個取り出すとか、同じカードの組から2回・2個取り出すとか・・・

 ところが、今回の問題のようにそれぞれ違うことが起こる偶然を分担する、という問題もよく出てきます。どんな偶然が起こるのでしょうか?

 さっそく問題を解いてみましょう。このタイプの問題を解くと、これまでなぜわざわざ2人に登場してもらって考えてきたか、ちょっと分かるかも知れません。

分母は・・・

Aの箱から取り出す係をAさん、Bの箱から取り出す係をB三にそれぞれ分担してもらいましょう。

Aさんにとって起こる偶然は・・・

スライド1

なので表は

スライド2

 つづいて、Bさんにとって起こる偶然は

スライド3
スライド4

 なので、表のマス目を数えて、分母は 

 ここで気をつけるのは、2人が起こす偶然の間には何にも影響がない、ということです。問題文には「同時にひく」と書いてますが、ちょっとタイミングがずれようが、かなりずれようが、影響はありません。影響がなければ、表はいじる必要はありません。

分子は・・・

 「同じ数のカードを引く」という条件に合うのは、

スライド5

2つだけです。分子は 

答えは・・・

$${\bm{\dfrac{2}{9}}}$$

問題を解いた後に・・・

 偶然が2つ起こる、というとき、2人に分担すると、それぞれにとって起こる偶然がはっきりする、ということで、2人になりきってどんな偶然が起こるか、という考え方をしませんか? というのがこのnoteの趣旨です。

 で、今までは「たまたま」同じ偶然発生装置を使って2つの偶然を起こしていた(さいころ、カード、玉・・・)わけですが、2人にとって違う偶然が起こることをこのようにかけ合わせて考える、ということもできる(むしろ、現実ではそっちの方が多い)わけです。

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問題一覧

類題 大阪府A2021、大阪府B2021、広島県2021、宮崎県2021(2)、都立八王子東2021
同じ考え方 岩手県2021

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