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(8) 地域限定「無料住宅」登場 の衝撃度



  ウクライナ大統領がプルシアンブルー社のビルを建てるお祝いに、農場をプレゼントしてくれるという。その実態は、広大な耕作放棄地らしいのだが、おそらく日本を人足代わりに使ってやろうという魂胆なのだろう。

農場見学の後は幾つかの工場を視察し、首脳会談に臨む。
日本の所有物になるというのに、ベネズエラ大統領が動くのは、その後は隠密行程が伴うためだ。カザフスタン、キルギス、タジキスタンという、中国新疆ウイグル自治区と接する3か国と、ウイグル問題に関して協議する。12年前の騒動の再現となるかもしれないので、今の政権間で事前に相談しようと言う話になった。
また、カザフスタン・バイコヌール宇宙基地で衛星(?)を打ち上げると知ると、6人の娘達が荷造りをして勝手に飛行機に乗り込んで待ち構えていた。大臣達か、もしくはプルシアンブルーの幹部がバラしたに違いない。

ウクライナとCIS諸国への訪問は久々だった。事務総長時代に一度立ち寄っただけだ。
ウクライナは日本の食糧供給先として、ロシアの1次産品と共に大きな役割を果たしてくれた。黒土地帯の穀倉地を日本政府が買い上げ、小麦、大豆、小豆、甜菜を北海道・十勝式ローテーションで栽培している。この広大な肥沃な大地の収穫量により、日本は小麦・大豆・砂糖の輸入の必要が無くなった。アメリカ・オーストラリア・中国からの食料輸入を停止した。
ロシアとウクライナで採れた作物は、シベリア鉄道でウラジオストックまで運び込んで、函館港まで船舶で運べば良かった。函館からはJR貨物で青函トンネルを経由して本州に運び入れる。つまり輸送コストが大幅に安くなり、低農薬・有機肥料利用、コルホーズ栽培の特級小麦を日本は手に入れた。

2020年頃、アメリカ国内でも許されていない農薬を、米国農家が「JAPの分だから構わない」と公言して使っていた。あろうことか、残存農薬まみれの小麦の輸入を許容し、流通させていた食糧庁と日本自滅党に対し、全国のうどん屋、パン屋がまともな小麦を輸入しろと政府に文句を言い始めていた。元々、食料自給率を上げるつもりのない政府だ。農家に金を与えるだけのチンケな対策しかしていない。その一方で輸入品に頼り、関税をせしめて、農薬の基準を緩くして国民の健康を全く考慮しない。ガン患者を増やし、人口を抑制し、医療機関と保険会社だけが儲かる仕組みが完成していた。
2人の内、1人がガンで死ぬ国が日本だ。福祉制度が充実し、安心な食材がもっと流通していれば「老衰」死が増えるはずなのだが、政府のガン細胞サイレンキラー攻撃に関心をしめさない日本人は、確実に減らされていった。日本では癌の原因も極めて曖昧なものになっており、「犯人」を特定しづらいように出来ている。あの人は肝臓ガン、肺がん、胃がんと部位も綺麗に分散する。そういう意味では同じ病名同士の横のつながりや、シンパシー好きな日本人には、受け入れやすい病気だったのかもしれない。

思い出して欲しい。その後のコロナ蔓延で「自宅療養」という名の感染者遺棄事件を率先して行ったのが当時の政府であり、国民の命と健康を守るはずの厚生省だった事を。政権交代時に、厚労省の暗部を全て晒した。年金や介護といった福祉政策を少しでも軽減するために、国民の健康を害する方向へ積極的に舵を切っていた。福島の放射能を抑止もせずに自然界へ垂れ流し、農薬塗れの穀物・野菜を輸入し、アメリカやオーストラリアの成長促進剤と抗生物質に塗れた肉を流通させた。放射能や農薬、禍々しい抗生物質を日々摂取し、体内に次第に蓄積されていく。ガンの原因で真っ先に疑わしいのは食生活環境だと、どうして誰も指摘しないのだろう? ガンの原因となる要素で日本は満ち溢れているというのに。コロナの際は島国なのに、日本だけが、無能な厚労省が大量確保した抗原検査キットを消費することに固執し、入国後も十分な隔離期間も設けずにバンバンと人を受け入れた。その後も、簡単に出来るはずの鎖国政策を取ろうとしない。人流を加速させる為にGotoトラベルとオリンピック開催とアクセルを踏み続け、空港では抗原検査をしただけで次々と受け入れていった。あっという間にデルタ株が蔓延して主流となり、一気にワクチンが無力化し、感染者が増えていく。ワクチン接種者がコロナに感染すると「ブレイクスルー感染者」という新しいカテゴリーに属する人種が作られた。ウィルスをバンバン持ち込ませておいて、それでも「安心安全」を連呼する異常さだ。ところがこれで終わらないのが、厚労省・自滅党・孔明党クオリティだ。

予定通りにウィルスを上陸させ、全国に拡散させると、予測した通りにコロナが蔓延し、医療体制がパンクする。即座に感染者を自宅放棄するとアナウンスし、家族感染を誘発させて感染者を増やす。家族心中を狙っていたとしか思えない。死者の数が2万人を超え、東北の震災の死者約1万6千名を凌駕した。年金、介護料、医療費の支払い対象者を減らすべく努力していた、と言われても仕方がない所作を「さざ波」扱いして、タワシ頭のデカ顔野郎が無表情の顔をして「安心・安全」と連呼し続けていた。日本政府は農薬会社からは献金を受け、東電から献金を受け、そして危険な農産物・畜産物を扱う会社から献金を受け、厚労省は国民の抹殺を考えたかのように世界の事例や科学から目を背け、自分達の都合だけを優先して、医療制度も見直さない。国民の命と健康を蔑ろにする、それが日本自滅党と孔明党政権であり、2万人を死に追いやった殺人集団・厚労省だ。

当時、小麦はバター類と同じで政府調達品だった。需給に合わせて政府と農水省が価格を上げて、上前を撥ねていた。「政府調達」を改悪する方向に変え、政府のやりたい放題商品に認定された。その上、危険農薬で育てた小麦を平気な顔して輸入する。こんなことを続けていれば、早晩 悪行がバレるのは時間の問題だった。小麦はパン等で日々食べられるものだ。「粉もん」として必ず口に入るものに、本来認められていない農薬が使われていながら、政府調達の小麦となる。国民の命を軽視していたのは明らかだった。それも、コロナワクチン神話で国民を騙し、コロナ感染者自宅遺棄を政策としたことで「何か変だぞ、ニッポン!」と国民は ようやく悟ることになる。

世界的なコロナパンデミック期と気候変動が重なって、小麦の収穫量が世界的に下がり、日本政府が間抜けな事にワクチン調達に続いて、小麦の調達すら失敗した。小麦のストックが国内から無くなる寸前となった時に、まだ政党になって間もない北前社会党が大量のオージー産の小麦を買い上げて、あちこちの倉庫にストックし、それを全国へ開放して事なきを得た。ワクチンも小麦もバターも国内調達を考えもしないので、危機に直面すると調達リスクが高くなる。国民を危機に導く素敵な組織の名前を自滅・孔明党と言う。

小麦は梅雨のある日本で栽培するのは不向きで、北海道、北東北が主要産地となる。収穫量が限られる作物で輸入に頼らざるを得ない。今でこそ、品種改良で梅雨や降雨量にも耐えられる小麦が出てきたが、どうしてもモチモチした食感の小麦となる。高温多湿な環境により、コメのようになるのは仕方がないのだろう。モチモチパンも悪くはないが、当時、カフェとパン屋を事業として始めていて、サクッとした食感のパンを販売していた。それで国内産小麦には興味が無かった。それに、日本政府の仕入れる農薬まみれの小麦を使うつもりはなかった。
好き好んで犯罪者になるものは居ない。人が食べるものであり、ましてや販売・提供する側に立てば、細心の注意を払うのは当然だ。

オージーの農家から直接購入したのが始まりだった。半年もせずに富山県知事殿が国政に出ると表明し、新党を作って組織的な動きをする必要が出てきた。慌てて日本海側を中心に各地にカフェ兼選挙事務所を作ってゆく。
小麦の量も農家から調達する量を越えていたので、オージーの食糧会社から購入するようになった。そこで小麦の価格が高騰し、品薄になると知って日本の小麦の年間消費量を調べて1年間分購入した。政府の小麦より安く販売しようと考えた。購入に踏み切ったそもそもの発想は選挙対策だった。不景気な所で農薬塗れのクソ高い小麦よりも、喜ばれるだろうと考えた。

コロナ初期にワクチン調達で大失敗したのと同じように、小麦の調達も失敗していたのだが、ずっと隠し続けていた。ワクチン調達失敗も黙っていた。その理由は未だに明かされていない。国民に目を向けて真剣に考えていれば、起きないはずのものが、疎かになっている。万事がそういう政権であり、行政だった。ワクチンの調達失敗同様に、都合の悪いことはだんまりを決め込む。政府はワクチンの時と同様に平然とした顔で「直ぐに入荷する」と嘘をつきまくった。政府の備蓄が底を尽こうとした時に、富山県の備蓄を寄越せと高圧的な態度を取られてモリがブチ切れて、政府の隠していた嘘を晒した。その後、無能な政治を駆逐すべく、政権交代へと突き進んでいく。

政治家になったキッカケが、コロナ対策と小麦調達だったのは間違いない。
政権に就くと小麦とバター等、政府調達を撤廃しバターの高関税を撤廃し、バターと小麦を大量にロシアとウクライナから仕入れた。翌年は日本政府が自前の農場で栽培した穀物を運び入れた。仕入れとは、兵站事業とは、農作物や食料とは本来どういうものなのか、というのを、無能な野党に見せつけていく。

「農作物を買わないと、アメリカが必ず何かしら言ってくる、止めてくれ!」と参院野党のメガネザルが大騒ぎしていたが、交渉もせずに放置し続けるから、農薬まみれの農作物を買う羽目になるんだよ、バカめと、スパッと調達を停止して見せる。万事がギブミーチョコレート政権の、自滅党孔明党。食糧も兵器も米軍も政治も、何もかも全てがアメリカ従属。勝手に忖度するような連中だったので、アメリカはさぞ、やりやすかっただろう。
アメリカなど、数多ある弱点を使って揺さぶれば簡単に切り捨てられるのに、何もしない。
在日米軍を撤退させ、米国大使館の人員を窓口業務の人材だけ残して、余計な連中は不要と米軍と共に削減し、米国からの輸入品はゼロにする。それだけで日本の政治は大きく変わった。無能なオブザーバーが居なくなるからだ。寄生虫、ジャパンハンドラーは駆逐するに限る。
今の韓国を見ればよく分かる。あのままアメリカを居座らせていたら、ああなっていただろう。アメリカ軍の駐留費は毎年恒例のように増額してゆく。
アメリカの本質なるものを、今回のチベットが衆愚の前に再び愚かな実態を晒してくれることだろう。
新日本政府は「食の安全保障の確立」「対米従属支配からの脱却と自衛権確立」「米軍追放と自衛隊全方面能力の強化」この3点を政権初期に成し遂げた。日本を、そして国民の命を守るためだ。マニフェストや政府の方針として掲げない。当前の話として、選挙の争点にもしない。これらは国のルーチンワークでしかない。胸を張って語るような話では無い。

今回、ウクライナの黒土地帯で新しく手に入れた耕作放棄地は、既に大型農機が入って耕されており、春蒔きの小麦の種と大豆、小豆が蒔かれている最中だった。
これでウクライナの日本農園は北海道・十勝平野の2.5倍の面積になった。ロシアの日本農園と合わせると優に4倍近くになる。既に日本国内の需要は十二分に満たしている。それに北朝鮮での栽培もあるので、農地の問題は既に解消されている。それでも農地を譲り受けたのは、この穀倉地帯がチェルノーゼム、黒土地帯だというのが最大の理由だ。黒土地帯で栽培された作物は、北朝鮮産の栄養価を上回る。北朝鮮で土壌改良を10年間続けていても、この黒土には及ばない。それも、大雨が少なく 表土流出率が極端に低いからだ。自然農法をやるのなら、ウクライナ・ロシアは世界最強と言えよう。
今までは日本農園内の栽培に限定していたが、その掟を破る。AIとロボットをウクライナ・ロシアのあらゆる農場で活用、推進してゆく。インディゴブルー社の契約農場並の農家、漁港に進化させて、黒土地帯の農産物をインディゴブルーとミレニアムが一手に引き受けて、EU・北欧で販売する。そのように、ウクライナ政府と取り決めさせていただいた。これも日本政府の食生活への取り組み、1次産業への取組みがウクライナに評価されたからだ。

広大な農場を視察している姿を、ウクライナのテレビ局が放映する。
ウクライナにとって、農産物の最大の得意先が日本とインディゴブルー社となる。そのお得意様が、ウクライナの一次産業を更に活性化しようと考えていると聞けばニュースになる。
12年前に始めた航空機製造を昨年インドとバングラデシュに移管したが、その工場の空き建屋では組立ラインを用意して、自動車用エンジンの製造が始まっていた。また、タイ、ビルマ、インドの企業から自動車用部品が届き、乗用車、ミニバンの組み立ても始まっていた。今まで航空機の部品を製造していた工場では、車載用半導体製造と各種太陽光発電パネル製造が始まっている。工場内は社外秘扱いとされ、撮影は許可されなかったが、完成した製品や車両が次々と貨車に積まれ、コンテナに格納されたり、貨車に固定されて貨物列車としてEUに向けて運ばれていく映像が流れた。ウクライナがプルシアンブルー社の自動車・半導体・電子部品の製造拠点になったのを知らしめる映像だった。
工場が深夜も休まず動き続けているのは誰も気が付かない。電気が全く付いていないからだ。組み立てロボットには、有り体に言えば視覚機能は必要ではない。真冬になっても暖房を入れる必要はない。その情報が漏れないように周囲に警備用のAIバギーが配置されている。
「ウクライナ政府の支援を頂き、農産物並びに工業製品生産の欧州の拠点とさせて頂く事になりました。ウクライナ経済にもプラスになると確信しております。今後、人員の採用も行いますので、大勢のウクライナの方々に検討いただけると幸いです」
モリがそんなコメントをして、その数分のニュースは終わった。プルシアンブルー社と日本が、欧州進出に本腰で動き出したと誰もが考える。それは事実なのだが、隠れ蓑に過ぎない。
実際の手順はプルシアンブルー社が全て対応し、勝手にやってくれる。
モリはウクライナ大統領と会談を済ますと、ロシアのソチで暫く療養をすると言いながら、足取りが分からなくなる。ロシア政府と密談しているのではないかと、マスコミはクレムリンの動きを暫くの間チェックし続ける。しかし、モリは何時まで経っても現れなかった。

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ベネズエラ大統領機がキエフを飛び立って、黒海に向けて飛行中にレーダーから消えた。普通の航空機なら「墜落か?」と疑うが、日本の航空機は隠密行動がお約束なので、慣れっこになっていた。
アメリカと中国は、モリがウクライナに訪れて、暫くは欧州向け製品や食料品事業に注力するのだろうと、額面通りに受け取っていた。日本政府が敢えて動かず、対応をモリに任せたのも、ウクライナとモリの関係を優先したのだろうと勝手に推測する。
翌日あたりから、中欧のチェコ、ハンガリー、ポーランド、オーストリア、ブルガリア、ルーマニアの中堅デパートをプルシアンブルー社が買収したと報じられるようになった。各国の首都のデパートをミレニアムへ店舗を変え、順次出展内容を変更するという。今年は流通に力を入れて、欧州に浸透しようと考えたのだろうと噂し合った。

そのデパートの交渉に臨んでいたのは、上海にいた志木率いる客室乗務員仲良しグループだった。スッチーだっただけに、ウィーン、ブタペスト、ワルシャワ等の主要都市は何度も訪れて知っている。「Millenniumブランド」に相応しいデパートを選んでほしいと社長のゴードンに言われて、あれこれ見て回って、相応しいと思ったデパートを決めると、プルシアンブルー社の担当者がウクライナから現地に向かい、交渉に望んでいった。
西欧ではなく、中欧・東欧の大都市からじっくりと攻めていく構図にも見え、西欧各国のデパートの中には、ミレニアムの資材部門に近づき、日本製品の供給を打診する所も現れた。そう思わせておきながら、暫くの間は動くつもりはなかった。中欧のデパートの立ち上げと成功に注力してゆく。オーナーが偏屈なのだろう、焦らすのが殊の外お気に入りらしい。ベッドでも同じようにされると知っている人々が、ここキエフにも何人か居た。

中国とアメリカは、両国に展開しているStellantisNVグループが、一時販売休止していたエンジン車の販売を再開したのに気が付かなかった。中国・欧州の一部の国が年内でエンジン車販売は中止となるが、プルシアンブルーのディーラーでもPeugeot/Citroen/Maserati/Alfaromeo/FIAT/LANCIA/OPEL の 販売を始めていた。全車にプルシアンブルー製の新型エンジンを搭載しており、2035年の排ガス規制をクリアーしてきた。アメリカ、日本、欧州の一部の国でも来年以降は販売可能となる。東南アジア、南アジア、中央アジア、中東、アフリカ、中南米では特に規制はなく、従来通り車の購入が可能だ。
北米Stellantis NV社・旧ChryslerのDodge/Jeepディーラーも、プルシアンブルーのエンジン搭載で販売が始まった。それぞれの車種向けにエンジンの設定が変わっており、同じエンジンとは思えない仕上がりだった。
この一斉蜂起のような販売攻勢に、他社のディーラーは暫くの間、閑古鳥状態となる。プルシアンブルーグループの全ての新車に最新のAIナビが搭載されていた。自動運転機能もこっそりとレベル5越える機能を搭載しているが、先進国ではまだレベル4・高速道路限定となっている。これでドライバーが事故に遭う確率は、想定されない天変地異や道路ごと破壊されるような事でもなければ限りなくゼロとなった。勝手にブレーキが掛かるし、そーっとバレないようにハンドル補正が働く。ドライバーのハンドルやブレーキとは異なる動きをする、そんな自動操縦プログラムだ。

欧州へ進出するにあたり、Stellantis NVが傘下に加わったのはプルシアンブルー社にとって大きな意味を持つ。今までイギリスとスウェーデンのブランドしか所有していなかった。そこに、フランス、イタリア、ドイツの大衆車ブランドを手に入れる。高級車ではなく大衆車メーカーとして市場に入り始めていく。しかし、その実態はエンジンとトランスミッションとタイヤとAIナビがプルシアンブルー製だが、それだけでも大衆車が高級車に変わった。
欧州の高級車を、Stellantis NVグループの大衆車が凌駕していく。静粛性が高く、高出力で低燃費、排ガスの少ない新型エンジンとエンジン駆動に適したギア比を持つトランスミッション、そして足回りの良い欧州車の足元を支えるかのように、MoonStarTire社の高性能タイヤが標準装備され、欧州の道を走り廻る。しかも内緒の安全装備も標準搭載されている。そこに、PB Motors社共通の「Long Life Maintenance Program」によって長期保証が施される。この長期保証だけで購入候補になってしまうのだが、この高性能車が大衆車プライスで購入出来るのも、グループの乗用車販売台数増によって、採用部品ごとに値下げが反映されるからだ。そして、プルシアンブルー社が全社で利益が平等に享受出来るよう調整する。まるで利益を均等割にしたかのように。それだけ、AIや部品で利益が発生するからだ。

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インドネシアでオープンしたそご・う改め新生ミレニアムは、買い物客でごった返していた。売り場も一新され、デパ地下食品街は2フロアとなり、階上は衣料品RbyやRs Sports自転車のNebraska 時計のAndesWatch 宝石店は貴金属店と一緒になってインド資本の店舗が入り、化粧品Pearlと日本の新ブランドが欧州ブランドに割って入っていた。
当然ながら、店内の電気代は掛からない。各テナント料も割安となった。
デパートなのであっても当然なのだが、ジャカルタの富豪が貴金属店に現れるようになる。お目当てはカシミールサファイヤの商品の数々であり、求めやすい価格のダイヤモンドだった。宝石店はインド財閥が経営していた。

インドネシアの石油会社プルタミナ系列のガソリンスタンドの料金が下がった。ガソリンの供給をエクソン社から提供して貰うようになった為だ。そしてガソリンスタンドにEV車用の充電器とミニコンビニIndigo Blueが備え付けられた。
ジャカルタの旧イオ・ンモールは「Indigo Blue Grocery」と店名を変えた。
日本の流通業がインドネシア経済に新たな提案をしてきたと、報じられるようになる。インデイゴブルーの各店舗で購入すると、次回使えるクーポンが発行される。その時の購入額の15%と、馬鹿にならない金額だった。同じようにガソリン・電気スタンドとコンビニは5%のクーポンが発行される。
共に、会員登録をスマホやPCで行い、電子決済サービスAskaで支払う客が限定だがAskaはインドネシアでも主流なので、造作無いものだった。この割引の原資が同業他社には謎とされた。インディゴブルーの商品は全品2−3割引きで販売していたからだ。

クーポンのからくりの秘密は「電気収入」だった。

PB Homeというプルシアンブルー系列の住宅販売会社がインドネシアに進出してきた。「自家発電する家」を販売するというので興味本位に調べると、一見普通の家なのだが価格が11万USドルなので人々が飛びついてゆく。ローンを組むのなら、プルシアンブルー銀行が応じた。ユニークだったのは融資の条件だ。「30歳以上の家長で、火災保険と地震保険に加入する事ができる人」だった。その保険も、プルシアンブルー銀行のものを契約必要がある。この保険契約を結ぶほうがハードルが若干高かったかもしれない。収入の有無や勤続年数を聞いてくるからだ。
この自家発電住宅、日本円で約1千万円の家なのだが、20年ローンを組むと、決まった量の電力は銀行の所得としてローン返済金に充てられる。余剰の電力は、居住者が利用して構わないというものだった。
つまり、無料で家が建てられる。20年経てば家は完全に自分のものとなる。今までの家の販売価格は500万円位だが、ローンモデルとしては少々安過ぎるので、倍の値段とした。

銀行から見れば、電力という確実な収入が見込まれるので、返済の不安は一切なくなる。PBHomeが500万円で建設して、プルシアンブルー銀行が1000万の20年ローンを組んで、PBHomeに750万円を支払う。これで3方が丸く収まる。これで完了、20年後が来るのを待てばいい。20年後は外壁や屋内の設備を交換する必要があるかもしれないが。
PB Homeの注文が殺到し、インドネシア中の工務店がPB Homeに取扱店登録に現れた。「勝ち馬に乗る」のは当然だった。

インドネシアで「無料住宅の販売が始まった」というニュースが世界中で流れた。無料住宅とは、なんぞや?と誰もが注目する。記事を一読して大騒ぎになる。確かに無料住宅だった。住宅ローンの返済を、電力で賄うという発想は斬新過ぎた。しかも、簡単には真似出来ないビジネスモデルだ。

アジア各国から「我が国でも、是非!」と要請が沸き起こったが、プルシアンブルー社は「まずはインドネシアから順に対応させて下さい」と答えた。
各国の住宅販売は停止に近い状況となる。住宅の買い控えが生じる国も出てきた。
この既存の住宅メーカーの存在が各国ごとに有る。各国の住宅に関する規制も有る。だからこそ「やる!」と決めた国しか出来ない。インドネシアは栄えあるトップバッター役を担ってくれた。
受けてくれた理由は簡単だ。人口増加対策が出来ておらず、経済界からは、人口増加に応じた発電量の更なる追加が要請されていた。インドネシアは赤道圏に位置するので、陽光量に問題はない。住宅発電には理想的な土地と言える。個々の住宅が電力を不要となれば、発電所の負荷は下がる。また、住宅コストが掛からないのだから、新しい土地へ、人が動き始めるかもしれない。金持ちは現在の住まいから離れないだろう。人によっては快適な住環境を求めて郊外へ移動するだろう。更に政府がジャワ島以外で職を斡旋し、住宅をただで用意してくれたなら、移動する人々も出て来るかもしれない。そういったキッカケを齎すかもしれない壮大な実験を、インドネシア政府は始めたのだ。日本の「無料住宅」というツールを使って。

ネーション紙のボージャン・クルキッチ記者は、ジャワ島での取材を重ねて、インドネシアと日本の両国政府の強固な関係を感じずにはいかれなかった。嘗ての日本は、インドネシアに対して円借款やODAでの援助は行うにしても、本当の意味でインドネシアに必要な支援策があったかというと全く無かった。実際に齎された費用やインフラで、いま現在も活躍しているモノが何もないからだ。明らかに税金の無駄使いと浪費を続けただけだ。それはインドネシアに限らず、日本の援助のレベルはどれもこれもお粗末なものだった。売りたいモノありきの援助を考えるので、日本にはプラスでも、援助を受ける側には何の役に立たないものばかりだった。

しかし日本の政権交代以降、援助した「モノ」が大活躍を始める。フローティングボード上での海上発電や、プランテーションや農地での太陽光発電の導入が進んだ。この自然エネルギーがサブ電源の役割を果たし、エネルギー政策が機能し始めた。しかし、ジャワ島の人口増加に歯止めがかからず、再度、電力不足の可能性が出てきた。
そこへ火力発電の補足システムの第2弾として、水素発電を日本から取り入れると両国が発表した。発電所を増やすしかない苦肉の策かと思っていたが、それだけでは終わらなかった。それが、住宅による太陽光発電だった。

PB Indonesia社やエクソン社の日本側の企業と現地エネルギー会社プルタミナ社との間で、綿密に計画が練られ、ジャワ島からカリマンタン島、スラウェシ島への移住プロジェクトも立案されている。具体的には両島でプルシアンブルー社が工業団地と居住区を作り、雇用するというものだ。日本が進めようとしている年金介護福祉病院政策を、ジャワ島、スマトラ島以外の住民を対象に始めると宣言すれば、移動する人々も間違いなく出て来るだろう。
ジャワ島よりも住民サービスが進んでいて、大企業で雇用されれば、どちらがいい暮らしが出来るか、それは自ずと判断できるだろう。

「これが援助というものではないか。本当のパートナーシップとは正にこういう事なのではないだろうか」クルキッチ記者は最後にそう纏めていた。

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クルキッチ記者のジャカルタ発の記事には、
「日本の次なるターゲットはインドだが、日本のアプローチを迎え入れるインドでは、人口がインドネシア以上に多いので、制限を課す事を考えている。発電住宅の販売を特定の州に限定し、大都市圏の住宅は建設許可を出さない制限を、インド政府は考えているという」
とあった。
アメリカに、チョコレートを配る以外に、そんな芸当ができるだろうか?とチベットでの協議の行方を、ネーション紙の山田記者は追っていた。

国連の人権監視団は被害者の家族から事情を聞き、被害者達を一時韓国の病院で治療・カウンセリングをする方向だと伝えていた。中国政府・人民解放軍の調査内容を聞き、実際に犯人達への尋問も行っていた。

アメリカ政府の国務長官はインドからチベット入りした、チベット亡命政権首脳と協議を重ねていた。亡命政権と立場上まだ呼んでいるが、首相から「前国連事務総長に携わってほしい。国連からの支援を受け続けたからこそ、今まで頑張って来られた。全てではなくてもいいので、彼を、そして日本政府を呼んで欲しい」と会談の席上あからさまに要請されたと漏れ聞こえてきた。モートン国務長官は困惑して、日本は多忙だ。それは出来ないと諭すように言うと、
「これがラマ14世が残した遺訓の一つなんです。「モリに頼れ、彼に教えを請え」とね。」首相は国務長官に食い下がリ続けた。

アメリカ側との会談を終えたチベット亡命政権は、会談後の記者会見の場で、この遺訓を掲げて見せた。「必要ならば、この発言のVTRも公表します。モリさん、この放送をご覧になられたら、是非チベットに立ち寄って頂きたい。私達にも、あなたの知恵を貸して頂きたい。インドネシアのように、そしてベネズエラのように!」

亡命政権の首相はそう言って、深々と頭を下げた。隣に居るマートン国務長官がヤレヤレといった顔をして暫く悩んでから、マイクに向かった。

「私からもお願いしたい。モリ、君の力が必要だ。チベット再興に力を貸して欲しい」

その頃、名指しでご指名頂いた男は、通常ではありえない高度、・・1万メートルを越えた所ではしゃいで居た。


(つづく)


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