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TRPG制作日記(260) キャラクター目的(ルールブック第三章)2

現在、オリジナルゲーム、『太陽神の巫女-AmaterasuCard-』TRPGのルールブックを制作しています。

TRPGは参加者がゲームマスターとプレイヤーに別れて、ゲームマスターが進行を行いプレイヤーがキャラクターを演じて楽しむゲームです。

プレイヤーは自分が演じるキャラクターの情報が書かれた、キャラクターシートを読んでキャラクターを演じます。

キャラクターシートの基本ルールは以下です。

■ルール8(キャラクターシートⅠ) キャラクター設定には外見、名前、年齢、性別、性格(アマテラスワールド)、宇宙都市の六項目がある。外見のみが絵で、他は文字列で記入される。能力値には容姿、経済、運動、社交、技術、ランクの六項目があり、すべて1から10までの数字である。自己肯定感は50からは始まりプレイ時に変動して、最小値は0で最大値は100である。プロフィールは250字以下の文章で記述され、デッキには六枚のアマテラスカードが登録される。キャラクターシートⅠの内容は、覚醒宣言により書き換えることができる。

■ルール9(キャラクターシートⅡ) キャラクター背景には非公開情報などが800字以下の文章で記述されている。キャラクター目的は最大四つの項目があり、それぞれに点数が設定されている(四項目の合計値は100)。これらはプレイ開始後にキャラクターシートに書かれている指示に従い徐々に効果的に公開していく。また、禁止事項は守るべき項目だがゲームマスターの指示が優先される。絶対非公開情報はロールプレイの参考のために書かれており公開しない。キャラクター背景にはキャラクターシートⅠの内容を書き換える覚醒宣言が書かれている場合がある。

今日は、キャラクターシートの内容の一部である、キャラクター目的に関係する部分を仕上げました。


ルールブック第三章『

キャラクター目的

 カードプレイヤー全員が目標にするシナリオ目的とは別に、それぞれのカードプレイヤーにはキャラクター目的が存在している。キャラクター目的は非公開情報であるキャラクターシートⅡに書かれていて、自己紹介では公開しない。また、キャラクター背景とは異なりプレイ中もキャラクター目的には何が書かれているのかを明かさない。「私のカードプレイヤーのキャラクター目的の欄には、このような内容が書かれている」とプレイヤーが説明することはプレイの雰囲気を著しく破壊することになるだろう。キャラクター目的には四つの項目があり、それぞれに点数が付いている。また、キャラクター目的にはシナリオ目的と無関係なカードプレイヤー個人の目標の他に、シナリオ目的と関係することや基本的なルールと関係する項目もある。代表的なキャラクター目的としては、以下のような内容がある。

■鬱状態の仲間を出さない。
■仲間全員の自己肯定感を50以上にする。
■シナリオ目的を達成する。
■子供達に焼き菓子を届ける。
■「九尾の狐」カードを手に入れる。
■3回以上対戦を行う。
■3回以上対戦を行わない。
■覚醒宣言を行わない。
■最終対戦時に覚醒宣言を行う。
■秘密の情報を隠し通す。

以上のような、多くのシナリオで採用されているキャラクター目的の他に、「喧嘩していた河童と仲直りする」や「好きな同級生に贈り物をする」など、特定のカードプレイヤーに特有のキャラクター目的が書かれている場合もある。キャラクター目的には、「山奥で暮らす天狗に手紙Aを届ける」などのように、シナリオ攻略の助けになる項目もあるかもしれない。滅多にないが、「仲間全員の自己肯定感を50以下にする」など他のカードプレイヤーに敵対的なキャラクター目的が書かれている場合もあるだろう。32条の基本ルールには、プレイヤーはシナリオ目的とキャラクター目的の両方を達成するように努力すると書かれているが、シナリオ目的とキャラクター目的が両立できない場合はキャラクター目的を優先するのが原則である。しかし、これは原則であり、実際にどのようにカードプレイヤーを演じるのかは、キャラクター背景を参考にしてプレイヤーが判断しなくてはならない。キャラクター背景とキャラクター目的の関係を分析して、どのように振る舞うのかはプレイヤーの自由である。キャラクター目的は参考であり、キャラクター目的の達成を最重要視する必要はない。
 キャラクター目的は点数が付けられていて、合計点は100点である。プレイ終了時には最終的な自己肯定感を点数にして、それに達成されたキャラクター目的の点数を加えることで成績にする。ルール上の自己肯定感の最高値は100で、キャラクター目的の合計値も100なので、自己肯定感が最高ですべてのキャラクター目的を達成した場合は成績は200点満点になる。逆に、カードプレイヤーが鬱状態ですべてのキャラクター目的を達成できなかった場合は成績は0点である。しかし、シナリオ目的も、自己肯定感もキャラクター目的も参考でありセッションの目的ではない。プレイヤーの目的はキャラクターを演じて楽しむことであり、ゲームマスターや他のカードプレイヤーと協力して即興の物語を生み出すことである。TRPGの目的は楽しむことであり、シナリオ攻略や高い成績を取るためではない。逆に、シナリオ目的もキャラクター目的も、プレイヤーがロールプレイを楽しみやすいように配慮されている。キャラクター目的はカードプレイヤーの個性を反映していて、能力値や自己肯定感と共に、プレイヤーが自然なロールプレイを実現することを助けるだろう。キャラクター目的があるのは、シナリオ目的があるのと同様に演技の楽しむためなのだ。
 プレイヤーが自分でキャラクターシートを制作する場合に、最も注意深く考えるべきなのはキャラクター目的かもしれない。キャラクター目的に書かれるべき内容は、キャラクターシートⅠの全内容とキャラクター背景の結果である。特に、キャラクター設定の項目の一つである性格(アマテラスワールド)との関係には注意する必要がある。カードプレイヤーの性格が、「他者から仲良くして貰いたい慎ましい性格」、または「新しいことに挑戦することが好きな規範的性格」である場合には、協調性が高いので、キャラクター目的にシナリオ目的を達成するが含まれているのは自然であり、さらに規範的性格である場合はシナリオ目的を達成するという項目の点数は高く設定されているべきだろう。目的に向かって仲間をまとめる意欲がないのであれば、そのカードプレイヤーは規範的性格と呼ぶことはできないからだ。逆に、「協調性や誠実性を馬鹿にしている利己的性格」のカードプレイヤーのキャラクター目的に、シナリオ目的の達成の項目があり、しかも点数が80点ならば、キャラクター背景に実は恥ずかしがりの規範的性格の持ち主であるとでも書いていない限りは、そのキャラクターシートは破綻している。利己的性格なら独自の目的を持つべきなのだ。
 参考として、キャラクター設定・性格(アマテラスワールド)とキャラクター目的の関係を以下に列挙する。

平均的性格 → 仲間に鬱状態を出さない。贈り物をする。

慎ましい性格 → シナリオ目的を達成する。覚醒宣言をしない。

規範的性格 → シナリオ目的を達成する。仲間の自己肯定感を70以上にする。

利己的性格 → 珍しいアマテラスカードを手に入れる。鬱状態にならない。

当然、これらは参考であり、プレイヤーはカードプレイヤーを制作するときに、創意工夫を凝らしたキャラクター目的を考えることが好ましい。特に、利己的性格のカードプレイヤーを制作する場合は、シナリオ目的とは関係のない独創的な目的を設定してあげるのが適切である。規範的性格や平均的性格とは異なり、利己的性格には個性的で特別な背景が必要となる。全員が同じ方向に向かっているときに、他の人々と同じ方向を向かないことには理由が必要なのだ。最後に注意点だが、性格理論は利己的性格や慎ましい性格のキャラクターが規範的性格に成長するという発達理論が背景にある。しかし、性格にはただ一つの正解があり、全人類は規範的性格という正しい性格を身につけるように成長するべきだという自由主義は資本主義が前提になっていることは留意すべきである。太陽神の巫女の世界は資本主義ではないので、正しい性格など存在しない。豊かな社会では利己的性格は個性なのである。むしろ、与えられた目標に他人を巻き込むことに快感を感じる規範的性格の方が危険かもしれない。いずれにせよ、陽神の巫女の世界では性格や人生の目的に正解などはない。


』ルールブック第三章

今日は以上です。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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