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TRPG制作日記(241) 能力値と自己肯定感(ルールブック第三章)6 経済

現在、『太陽神の巫女-AmaterasuCard-』TRPGのルールブックの制作を進めています。

前回に引き続き、今回も経済の項目の制作を進めました。経済、とはキャタクターの能力値の一項目です。

ルールブックは、ロールプレイの参考になるように、能力値の背景についても書いています。同時に、社会環境についても触れています。


『太陽神の巫女-AmaterasuCard-』TRPGは未来を舞台にしたゲームです。

そのため、経済は重要な項目です。経済の変化が社会の変化を生み、社会の変化が生活の変化を生むからです。


ルールブック第三章『

能力値2 経済

 経済とはカードプレイヤーの家庭環境であり、彼等が過ごしている家庭の経済力を表現している数値である。経済が高ければ、上流階級であり、それだけカードや道具を購入することにためらいがない。八惑星連邦は貧困が根絶されているので、二十一世紀の貧困家庭で暮らしているような高校生は存在しない。そのため、宇宙都市の高校生たちの経済の最小値は6である。経済は住んでいる家の規模により判断できる。小さな一軒家や集合住宅で暮らしている家庭の高校生は、経済は6である。そして、多くの高校生はこの経済6の階層に含まれている。7になると、医者や弁護士、上級技術者などの専門家集団の家庭が含まれている。公務員や教師、運動選手も経済7である。経済7の家庭は多くの場合は知識人階級なので、自由で先端的な考えを身につけている高校生が多いだろう。新しいことに挑戦することが好きな両親から育てられた、新しいことに挑戦することに価値を見いだす自由主義的な高校生が多い。また、有名な大学教授や運動選手には社交界に出入りしている場合も多い。
 社会主義革命が起きても大企業は存在しており、大企業が存在していれば経営陣も資本主義社会と同じように存在している。政治家と経営陣は社会の支配者であり、他の階級とは異なる特別な集団を形成している。彼等の子女達は令息令嬢として、社交界に出入りすることが普通である。政治家と経営陣の令息令嬢は経済8に分類される。経済的に高い位置にいるため、文化的に高い位置にいるのが経済8だ。彼等の多くは幼馴染みで、しかも経済9の令息令嬢よりも一段低い位置にいるので、結束が固く、互いに助け合うことも少なくはない。また、同じ経済8でも、主に経済10や経済9の階層の令息令嬢と仲良くしている高校生もいれば、どちらかといえば高校内の経済7や6の同級生と仲良くしている高校生の二種類がいる。とはいえ、二つの派閥に別れているのではなく、中間の階層として活動しているに過ぎない。
 大企業の創業者とその一族は経済9である。彼等は経済8以下と比較すると、桁はずれた経済力を持っているために社長令息や社長令嬢など特別な名前で呼ばれる。屋敷や別荘をいくつも保有しているのが普通である。資本主義においては、正確には、経済8以下は労働者階級で経済9以上が資本家階級である。革命により階級社会は崩壊したが、それでも資本の保有者としての彼等が特権階級なのは変わっていない。社会は経済9の資本保有者と経済8の資本運営者により動いているのである。資本家階級にも階層がある。いくつもの大企業を束ねているのが財閥であり、財閥一族は経済10に分類される。財閥一族には五摂家が含まれている。財閥一族の令息令嬢は、財閥令息、財閥令嬢と呼ばれていて社交界の若者の中心である。社交界は財閥令息令嬢、社長令息令嬢、普通の令息令嬢の三つの階層がある。上下が明確なので、経済10、経済9、経済8の三つの階層には高校生でも上下関係が生まれやすい。一方、社交界に出入りする経済7は特別な重要人物なので経済8より重宝される場合がある。
 二十二世紀の日本の高校生には、サロンと呼ばれる制度がある。これは生徒が自分達で主催する集まりであり、「文学と絵画を勉強する会」や「ボードゲーム研究会」などの高校生達が自分達の興味があることをするための集会である。申請することで、委員会から予算を貰えるが、それとは別に両親から資金援助をして貰うことで、より活動を活発にすることもできる。そのため、経済が高い子女が主催するサロン、経済10か経済9の令息令嬢が主催するサロンが人気が高い傾向にある。また、主催者の人柄もサロンが人気になるかどうかに影響する。サロンに参加できる権利は主催者が独断で与えるため、人気のある生徒が主催する有名サロンの会員であることは特別な感覚を抱かせる。有名サロンに招待されるために、あるいは参加を希望して拒否されないために高級な人間関係の構築に必死になっている高校生も多い。同じサロンの会員は結束が固く、そのため派閥と呼ばれることがある。派閥の呼び名は、近衛派や西園寺派など、たいていは主催者の名前を入れることが一般である。
 一方、特定の趣味で結ばれた、有名サロンの対極にあるサロンも存在している。彼等は上流階級の仲間入りをすることよりも、気の合う仲間達と、自分だけの人生を楽しむことに価値を見いだしている。釣りや登山など、または神社巡りなど、特定の趣味をテーマにしたサロンを開催して、参加者を選ぶことが少ない。しかし、自分達が好きなことに対しては誇りを持っているので、それを侮辱されると恨みを持つことが多い。特に主題を決めずにおしゃべりと買い物だけを楽しむような、ただの仲良しサロンもあるが、このようなサロンが存在するのは申請することで委員会から予算が貰えるからである。太陽神の巫女の世界でサロンが制度化されて予算まであるのは、ただ高校生に主体性を身につけさせるためだけではなくて、生涯の親友や将来の伴侶を見つける機会を与えるためであり、そのため委員会がサロンとして認定する基準は会員二人以上と非常に軽い。サロンとは仲間集めの手段である。
 ロールプレイにおいては、経済は社会階層として認識しておくのが妥当で、経済の値が高いほど人間を区別するのが好きで高慢な傾向にある。もっとも、経済10と経済9は人間を区別して自分を特別に見せようとする傾向は少なく、どちらかといえば他人を支配することに喜びを見いだす傾向がある。そのため、経済7の知識人階級や経済6の自由な労働者階級は彼等のことを苦手と感じるようだ。アマテラスワールドでは、八惑星連邦の宇宙都市で権利とされているような生活保障がないので、経済5以下の準貧困層や貧困層が存在している。経済5は贅沢が許されないような生活をしている労働者である。特に迫害されている妖怪たちに経済4以下は珍しくなく、経済4は生きていくことが難しいような長時間労働者である。経済3は差別を受けている日雇い労働者で、低賃金で長時間労働を課せられている。経済2は家族がいない重病者で、数年で死ぬことが確実な人間や妖怪たちである。また、経済1は死亡するほどの貧困で、死亡するので、経済1の登場人物は原理的に存在しない。
 人間が生きていくためには人間が生きていくことができる環境が必要で、生活可能な環境の欠如が貧困である。経済とは死からの距離であり、経済10は環境要因による死から最も遠い環境で、逆に経済1は直ちに死亡する状況である。また、経済は本人の生存を維持するためだけではなくて、家族、一族の生存にも関係している。家庭を維持できる権利こそが経済なのである。人間が生存可能な環境を構築するためには労働が必要で、労働により人間が生存可能な環境が生まれる。哲学的には、自然を変化させて人間が生存可能な環境に変化させていくことが労働の本来の意味である。八惑星連邦では人工知能と機械が労働を行うことで、また社会主義制度による資本主義への制限のために、経済5以下の国民が一人も生まれないような状況が維持されている。一方、アマテラスワールドは封建社会を再現した仮想世界である。そのため、人間と妖怪による労働で生活環境を維持しているので経済5以下が存在しており、貧困で死亡する人々も珍しくはない。アマテラスワールドでは、宇宙都市から接続している高校生達は、全員が権利が保障された特権階級として認識される。

』ルールブック第三章


今日は以上です。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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