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【20歳の挑戦】初のレッスンと決意したこと

20歳の挑戦、はじまります🎩
不器用な体(脳性麻痺)と、ちょっと強めのこだわり(自閉症スペクトラム)を持つぼく。いつしかぼくも「みんなと笑顔になりたい」「ぼくもステージに立ってみたい」という思いが芽生え始めていました。脳出血でリハビリをへて復活したパフォーマー「てのひらさん」の背中を追い、練習やリハビリをがんばっています!

▼前回の話&「てのひらさん」についてはこちら


ドキドキ!夢のような初レッスン

チャチャタウン小倉でのパフォーマーてのひらさんのショー。その次の日に、てのひらさんがぼくに初めてのレッスンをつけてくださることになっていた。
ショーの次の日で疲れも残っているのでは、と思っていたけれど、「また明日ねー」とショーの後に声をかけてくれたことがうれしかった。
と、同時に、《てのひらさんがぼくにショーを教えてくれる》という夢みたいな話は本当なんだ…とジワジワ実感が湧いてきて、興奮がおさえられなかった。

レッスン初日、カラオケルームで待ち合わせ。
「お待たせしてしまった…!」と焦っていたら、てのひらさんが笑顔でイェーイ!と手を挙げてくれた。
そういえば、大道芸祭で会った時も、てのひらさんがぼくにイェーイとハイタッチをしてくれたことを思い出した。あの時とはまたちがう、うれしいけど引き締まった気持ちだった。

ドリンクを取りに、てのひらさんの後ろをついてドリンクコーナーへ。「たいようちゃんコップをとって」と声かけしてくれるてのひらさん。コップをとって、「このくらいの量の氷でいいのかな」と確認しながら氷のボタンを押す。

何を飲もうかなと迷う。おかわりに一緒に行った時は「歌った後は喉が疲れるだろうから、味が薄いものを飲むといいよ」とアドバイスをもらい、烏龍茶をチョイスした。 
体の麻痺で右へ傾きそうになる。
だけど、背筋が真っ直ぐになるように気をつけて、烏龍茶が入っているコップを両手で持った。コップと前方を交互に見ながら、溢さないように慎重に歩く。

部屋の入り口のちょっと重たい扉を開ける時は、左手にコップを持ち、右手でドアを開けなければならない。左右の手の動きや力加減や力を入れる方向がちがって難しい。おまけに足元には、沓摺くつずりがあって少しまたごさなければならない。

一つ一つをクリアして、やっとテーブルにコップを置けた。安心して、ふぅ〜と大きな息がでた。
てのひらさんがまた「イェーイ!」と一緒に喜んでくれて、それがうれしくて身体中の緊張が一気にほどけていくのを感じた。

いよいよ、発声練習がはじまる

初めてのレッスンでは、カラオケルームで発声練習をすることになった。
両足をしっかりと地面につけて、お腹を意識しながら、「アエイウエオアオ、オアオエウイエア….ン」と五十音順にひとつひとつ発声していく。
姿勢を意識しながら、てのひらさんと一緒に声をだした。一回の発声だけでもヘトヘトだ。てのひらさんが歌っている「LOVE」をぼくは歌った。てのひらさんは歌声を聴いて、キー設定を教えてくれた。その設定で歌ってみると、すごく歌いやすくてうれしかった。

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発声練習の言葉を、ぼくのiPadのメモ機能へ一緒に確認しながら入力した。
ひとつずつ丁寧に確認しながら、ぼくのペースに合わせて、てのひらさんは優しく見守ってくれた。
「画面から流れてくる映像や音が気になる?」と気にしてくれたりもした。 

途中休憩では、トイレに一緒に行った。そしたら、「帰りは自分で帰ってきてね」と、てのひらさん。えっ?!ぼくは戸惑いながら一人で自分たちのカラオケルームを目指した。途中、間違えて別の部屋へ入ったけど、「これもいい経験だね」と笑ってくれた。

「次回もう一度、やってみよう」できたら、「ここではもう一人でいけるね」と、ぼくの背中をそっと押してくれるてのひらさん。一緒なら、どこまででも行けそうな気がした。

レッスンの最後に、てのひらさんは"Feeling Good"を歌ってくれた。てのひらさんが復帰後まもなく立った厚木の大舞台でも歌った曲だ。どんな気持ちであの舞台に立ったのだろう…。そんなことに思いを馳せた。


「一人で行けるよ」

レッスン後のてのひらさんとの食事も、楽しみの一つ。「たいようちゃんは、カルボナーラが好きなんだね」とぼくの選んだメニューを確認してくれた。
ジャークチキンを先に食べてしまいそうになると、「ご飯もたべるといいよ」と声をかけてくれたりした。
食後のデザートをてのひらさんと食べると、ぼくは自然と笑顔になっているようだ。

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母が「この笑顔がいいわ」とぼくのほっぺをつつく。そんな母の姿を見て、「ぼくの母ちゃんもそうなんだろうな」とてのひらさん。
みんなで頷きながら、笑った。

お店のトイレに立った時、母がついてこようとしたら、てのひらさんが「一人でいけるよ」と母を止めた。ちょっとできるか不安だったけど、てのひらさんからそう言われると出来る気がした
戻ると、母は「たいよう、出来たね!」と喜んでいた。ちょっと照れ臭くもあったけど、これからは自分で行ける!と思えた。

また会う日までにできること

てのひらさんが7月に東京へ1週間行くことが、なんだか寂しくなっていた。次回のレッスンの日程は決めているのだけど、会いたいと連絡をしてみた。東京行きの荷造りや配送もあるし、お皿洗いや洗濯もするから難しいとのことだった。

残念だけど、ぼくも、てのひらさんが東京に行っている間、お皿洗いや洗濯をたたむことを頑張ってみようと思った。

早速、食べた後の食器を洗う。洗いながら、《てのひらさんは食器を洗う時、(麻痺した)左手をどう使ってるんやろう?》と独り言のように呟いていた。ぼくの洗っている姿を見守っていた母は、「そうだねー、てのひらさんに聞いてみるといいね」。と言った。

てのひらさんは、さっそく退院直後に食器を洗っている動画を送ってくれた。
「やっぱりてのひらさんは、自分でするんだな」とぼくの中にストンと入ったと同時に、「ぼくも挑戦し、自分で出来ることを一つでも増やそう!」と思った。

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これからも、「不器用な体とこだわり」をもつぼくの挑戦をnoteで書いていきます。よかったら見守ってください!

written by 中尾太耀
supported by 中尾つぐみ・清永東誉
edited by 渡邊めぐみ
(Team Taiyo)

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