見出し画像

【20歳の挑戦】皿洗いも、いつかはステージにつながる一歩?!ぼくの日々のチャレンジ

20歳の挑戦、はじまります🎩
不器用な体(脳性麻痺)と、ちょっと強めのこだわりを持つぼく。いつしかぼくも「みんなと笑顔になりたい」「ぼくもステージに立ってみたい」という思いが芽生え始めていました。脳出血でリハビリをへて復活したパフォーマー「てのひらさん」の背中を追い、練習やリハビリをがんばっています!

▼前回・初レッスンの話はこちら


ステージに立つことをめざして…でも涙


舞台芸術が子どもの頃から大好きだったぼくは、いつかステージに立ちたいという大きな目標ができた。「不器用な身体」(脳性麻痺)と一緒に生きるぼくがお客様にパフォーマンスを見てもらうために、まずは「自分で出来ることを増やす」ことを目標にして、もう少しで1ヶ月となる。

ぼくの先生は、リハビリを経て復活したパフォーマー・てのひらさん
「てのひらさんは、どういうふうに食器を洗っているのかな?」というぼくの疑問に対して、退院直後の皿洗いの様子を撮った動画を送ってくれた。
それを見て、ぼくも出来ることをやっていこうと思った。

食前の皿運びや食後の皿洗い。バスタオルやハンドタオルを畳み元の位置にもどす事。次の日の準備。
食後の皿洗いをして気がついたことは、食べすぎるとそのあと体が動きにくくなるということ。これからは腹八分にしようと思った。
それでも食後すぐには動きたくなかったから、時計をみて「◯分になったら洗おう」と自分で決めた時間に洗うようにした。


次は、洗濯物。タオルの両端を持って、端と端がずれない様にたたむ。 バスタオルとほかのタオルを分けて重ねていく。
てのひらさんのオリジナルてぬぐいを、手できれいに伸ばしてたたむ。
こういう地道なことをしていると、地道すぎて、 「今していることが、人前でのパフォーマンスに繋がるんだろうか」とだんだん悲しくなって涙がでてきた。
畳んでいたタオルで涙を拭う。


悲しくなりながらも、次の日も皿洗いをしてタオルをたたんだ。
てのひらさんのツイキャス(ライブ配信サービス)「てのキャス」で、てのひらさんがぼくの頑張りを紹介してくれた!そのとき、《自分で出来ることが増えたら、誰かを助けてあげることが増えるね》とコメントをもらった。
そのとき、目の前の霧がぱぁっと晴れる感じがした。
そうかぁ!ぼくも人の役に立つことができるんだ。


てのひらさんに相談だ

てのひらさんの東京滞在中の話をたくさん聞いたあとに、《 自分で出来ることを増やすことが、将来パフォーマンスにつながるのだろうか》と自信がなくなり、悲しくなったことを聞いてもらった。

てのひらさんは、「例えばパフォーマンス中に手ぬぐいを使うとき、綺麗にたためた方が観ている方が気持ちがいいよ」と教えてくれた。なるほど!そうかもしれない。ぼくの所作がスムーズにきまり、お客様が喜んでくれる姿が想像できた。


演技のレッスンでよみがえる、いろんな訓練の日々

レッスンではタンギング、発声練習や歌、演技を指導して頂きぼくが好きなマジックと歌がてのひらさん色に染まっていく様子も楽しい。練習も頑張るぞ!

いつもぼくの言葉が出るまで待ってくれて、
最後までしっかり聞いてくれるてのひらさん。

レッスン中、ぼくは1歳のときから受けていたST※のことを思い出した。

※ST…言語聴覚療法(Speech and language Therapy)のこと。コミュニケーションや食べることに障害を持つ方々の言語や聴覚、摂食嚥下機能の獲得、回復、維持を支援し、生活の質を高めるために行われる訓練や指導のこと。

ぼくは、集中したり、暑かったり、体が疲れたりすると、口の周りの筋肉が緩くなってよだれがでてしまう。
幼い頃はスタイでよかったけど、小学校に入ってからは母が作ってくれたバンダナをした。
1日に何枚も替えなければいけなかった。大きめのスナップボタンを前で留めて後ろへ回し自分で取り替える事ができた。
色とりどりの鮮やかなバンダナは、いつの間にかぼくのトレードマークになっていて、今では懐かしい思い出だ。

STの先生とは、口のマッサージのあと口に棒を挟んでキープしたり、ガムを口の中で丸める舌の運動をした。学校の先生とは、朝の会がはじまる前に一緒に「あいうべ体操」という口の体操をして、口の筋力を鍛えた。
作業療法や理学療法、集団療育など、小さい頃からたくさんの先生のお陰で今のぼくがいると思う。


訓練というとひたすら辛いことに耐えているイメージがあるかもしれないけれど、先生や訓練中の友達に、ぼくの大好きな歌謡曲を一緒に歌った。
曲調をつけず歌詞だけを伝えて「何の曲でしょうクイズ」を先生やリハビリ中の友達に出してみんなと楽しく訓練ができて嬉しかった。

左片膝立ちはバランスが取りにくいけれど左右に置かれたポールに長い棒を使って輪投げを入れていく。
2018年12月


輪投げのポールを少し遠ざけて挑戦
2018年12月


口だけではなく、歩くのも訓練が必要。石膏で膝下まで足型をとって作った膝下までの革製装具はとても重かったけど、浮き上がった踵がしっかりと地についたはじめての感覚は忘れられない。地面を蹴って歩いたり、走ったり。自分で色々なところへ出かけられるようになったのはうれしかった。 準備に時間がかかったり、靴を履き替えたりして、遅れそうになってみんなの後ろを先生と追いかけた。

振り返ってみれば、ぼくのこれまでの人生は、訓練と挑戦の連続で、そこにはあたたかな笑い声や歌もたくさん響いていた。一歩一歩、歩いてきたのだった。それはこれからも変わらない。


大きくなったぼくの足と、ファーストシューズ


時計をつけてみると、起きた変化

レッスン後、「たいようくんは時計ってつけてないの?」とてのひらさん。
ぼくは時計を持っていなかった。バスに乗って、すぐに時計を見に行った。
気に入ったのは、ゴッホ「星月夜」のデザインのスウォッチ。
美術館でゴッホの絵画を観た時、 黒いもみの木と対照的に黄色く光った三日月がとても印象的だったのだ。
時間をパッと確認できると先の見通しが持て、気持ちにも余裕が生まれた。
これから、どんな時をてのひらさんと過ごしていけるのだろう。
時計を見て、じんわりと楽しみな気持ちが湧き上がってきた。

***
これからも、「不器用な体とこだわり」をもつぼくの挑戦をnoteで書いていきます。よかったら見守ってください!

written by 中尾太耀
supported by 中尾つぐみ・清永東誉
edited by 渡邊めぐみ
(Team Taiyo)

***
ここまで読んでくださり、ありがとうございました!
「スキ」も押してもらえると励みになります。

Twitterでも舞台芸術についてつぶやいています😊
フォローよろしくお願いします。

#舞台芸術のツボ #20歳の挑戦 #不器用な体 #こだわり #大道芸 #フェスティバル #不器用な左手 #てのキャス 


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?