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【時事抄】 衆愚政治は世の常、落ちれば単なる人になる

米国経済が気になって仕方ない。
ドル円相場に注目している個人的な理由もあるわけですが、政策金利を0%から5%以上に引き上げてもなお、絶好調。株価は最高値を超えて、失業率は3.8%の低空飛行を続けたまま。ついにはFRBは6月に利下げするという。政治が統計数字を歪めているのではないか、とも妄想している。

閏年の2024年はオリンピックイヤーですが、各国で大きな選挙が重なる年でもあります。日本経済新聞が経済との関係で大きく記事にまとめてましたので、見てみましょう。

<要約>
今年は米国大統領選挙を始め、世界主要国で国政レベルの選挙が実施される。票集めのために大衆迎合的な経済政策が行われやすく、国際通貨基金(IMF)は財政赤字の拡大に警鐘を鳴らす。ばら撒き政策を通じて金余りが加速し、インフレが再燃するリスクも高まっている。

18日に閉幕したG20財務省・中央銀行総裁会議の参加国のうち、既にインドネシア、ロシア、韓国で国家レベルの選挙が行われ、今後も8つの地域で国政レベルの選挙がある。最大の焦点は11月の米大統領選挙だ。

共和党候補のトランプ前大統領は、前回大統領だった2017~20年の間、財政赤字が計5兆6千億ドル(約860兆円)に及び、その前に4年の2.5倍だった。今、再び企業向け減税を公約に掲げる。再選を狙う現職バイデン大統領も25年会計年度は前年比4.7%増を打ち出す。財政赤字は1兆7千億ドルを超える見通しで、GDP比の債務残高は第二次大戦期を超える水準だ。どちらの候補が当選しても、財政赤字の悪化が進む見通しだ。

英国はスナク政権のもとで財政規律を保つが、GDP比の政府債務は100%に達し、戦中・戦後を除けば歴史的高水準にある。欧州連合(EU)もポピュリスト政党の勢力が拡大している。新興国も構図は同様で、総選挙投票が始まったインドは政府支出が前年比6%増。ブラジルはルラ大統領が政権復帰した23年に基礎的財政収支が赤字に転落した。

G20各国はコロナ禍での経済下支えのため積極財政を展開した。今コロナ対策が一巡したが、財政健全化への動きは鈍いまま。物価上昇を誘発する状況は続き、インフレ抑制に目指す中央銀行の努力に水を差している。専門家は債務の増大やインフレ拡大が各国の経済成長を鈍化させると予想する。大衆迎合的な政権は自国の利益追求を優先しがちで、国際協調への関心が低い。G20が抱える国際協調への機能不全に拍車がかかる。


記事の中で、今年の主要各国の選挙スケジュールが一覧として掲載されていましたので、転載させてもらいました。ご覧のように国政レベルの選挙が続いています。各国の政治家たちは、勝ち残るため手段を選ばずというところでしょう。

「日本経済新聞」2024年4月20日の記事より

「衆愚政治」と批判するのは簡単ですが、政治家は選挙で投票者から最も支持を集めないとならない宿命を負っています。清濁混じる世の中で、国家財政やマクロ経済の安定といった大義に賛同して票を入れる、見識と判断力に優れた有権者ばかりでないのは当然のことです。

猿は木から落ちても猿だが、議員が落ちれば、ただの人だ」、そんな名言を吐いた昭和の政治家がいました。

18世紀スコットランドで「国富論」を世に残したアダム・スミスは、「神の見えざる手」という比喩で逆説的な論を提示して人々を驚かせました。自己の利益を追求することが、価格というシグナルを通じて、なんと社会全体の資源が適切に配分され、より豊かな繁栄と調和につながる、という奇説でした。これはその後の大英帝国の発展を促し、市場経済の基本的な考え方として現代にも引き継がれています。

政治の世界においても、立候補者が地元や自国への利益誘導することで、「神の手に導かれて」世界全体の繁栄につながるという概念を生み出せないだろうか。そんな妄想を広げながら春の暖かな日差しを浴びつつ日曜の昼を過ごしてました。

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