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日本が誇る「品質」で、台湾ブランドを評価!キーワードは「イノバリュー」 #未来へ繋ぐ台湾エクセレンス

台湾ブランドを世界的なブランドへ育てるため、世界基準の評価を続けている台湾エクセレンス。
前回の記事でもご紹介したように、賞の選考では世界各国から専門家を招き、国際審査委員として携わっていただいています。

そんな選考の場面で、台湾エクセレンスの選考基準である「品質」について、長きに渡り日本を代表して審査に当たっていただいている方をみなさんにご紹介したいと思います。
 
第3回目の「#未来へ繋ぐ台湾エクセレンス」は、「台湾エクセレンス賞国際審査委員」を務めていただいている押村征二郎さんに、賞の評価基準や、台湾エクセレンスと他のアワードの違いについてなど、審査員という立場からみた台湾エクセレンスについてお話しを伺いました。
 

<台湾エクセレンス賞国際審査委員 押村征二郎氏プロフィール>
東京理科大学理学部応用数学科卒業
2002〜2010      目白大学経営学部教授、経営学科学科長

1980〜      日本科学技術連盟、デミング賞主査委員
1985〜      日本科学技術連盟、ISO品質マネジメントシステム判定委員
        ISO環境マネジメントシステム判定委員
        ISO情報セキュリティマネジメントシステム判定委員
1996〜          経営管理研究所 代表取締役

日本を代表し「品質」の審査を担う!そのきっかけとは

Q. ご自身の経歴についてお話いただけるでしょうか
 
私は東京理科大学の応用数学科を出まして、そのまま助手になり、講師になりました。
 
専門は統計学です。
統計学といっても、ほとんど品質管理を専門にしていました。
 
品質管理の勉強というのは、企業を訪問して、どうやったら不良が無くなるか、この会社がどういう風に成長していかなければいけないかということを、工場の現場や会社のトップにお会いして話を聞くなどといったことが主でした。
業種を問わず色々な企業の現場に赴くということを50年以上続けてきました。
 

Q. 台湾エクセレンスの審査員に就任された経緯とは?

台湾エクセレンスに最初に伺ったのは、西暦2000年でした。
そこから20回以上、品質管理の国際審査員として携わることができました。 

台湾エクセレンス国際審査員になったのは、私が日本の「デミング賞」の審査員をやっていたからです。 

デミング賞とは、日本に品質管理を普及させ、日本製品の品質を世界最高水準に押し上げた大きな礎となった、故William Edwards Deming博士の業績を記念して創設されたTQM(総合的品質管理)に関する世界最高ランクの賞です。

その審査員をしていた関係で、台湾エクセレンス審査委員に採用していただけたと思います。


台湾エクセレンスの指標、「innovalue(イノバリュー)」

Q. 台湾エクセレンスの審査員として、どのような観点を重視して審査していますか?
 
私は台湾エクセレンスの最終審査で、金賞を選ぶ審査を担当しています。 

最終審査では30製品ほどが対象になりますが、それらの製品は非常にバラエティに富んでいます。
大きなものは豪華なクルーザー、あるいは台湾の代表的なパソコン・自転車であるとか、工作機械などです。 

審査会場や展示会場には持ち込めないような大きな製品や、電子回路のように小さいもの、花瓶のような装飾品など様々です。

そのようにカテゴリーが全く違う中で優秀なものを選ぶというのは非常に難しいわけですが、台湾エクセレンスが創設されたときにこのようなキーワードがありました。 
それは、「innovalue(イノバリュー)」という新しい用語でした。 
「innovation(イノベーション)」で「value(価値)」を生むということを重視しよう”というのが審査の核となっていました。 

設立当初の名称「シンボル・オブ・エクセレンス」から「台湾エクセレンス」に変わってから、その考えが段々薄れてきて、品質の良いものやベストなものを選ぼうというような流れになっていた時期がありました。 
そういった流れに対して、台湾エクセレンスは、対象が船や自動車、あるいはソフトウェアやパソコンのようなものであっても、その製品には今までとは違った「innovation」があって、そしてそれが「value」をとっていれば、賞を与えるということがふさわしいのではないか、ということを軸として考えています。

私もこの「innovalue」という観点で審査を行っています。


台湾の経済とともに成長する、台湾ブランド

Q. 台湾のプロダクトの質や企業が注力している事業など、この20年間でどのような発展があったと思いますか?
 
私が審査員を始めた2000年当時、台湾はIMF統計による一人当たり購買力平価GDPが日本の0.78倍、日本よりも経済力がありませんでした。
それが2010年を境にしてその差が逆転し、2022年では70,000USドル世界ランク191国中第14位、日本の1.4倍の経済力を持っています。 

特に最近は、世界的に電子製品・電子部品が不足している状況ですが、その電子機器のほとんどが台湾で作られています。
また、工作機械や医療機器なども、台湾エクセレンスで評価されて世界的ブランドになりつつあります。

台湾の経済発展に関しては、台湾政府が非常に大きな力を持っており、長期的にどのような産業を伸ばし、どういった戦略を持っていくかを強いリーダーシップを持って主導しています。
そこは他の国とは大きく違う点ですね。 
そういった発展に、台湾エクセレンスという賞がとても貢献していると私は確信しています。


「将来これは伸びる!」と感じる製品を選ぶ

Q. 台湾エクセレンスと他のアワードの違いは、どのようなところですか?
 
私が審査員として携わっている「デミング賞」との比較でお話したいと思います。 

デミング賞の審査では、「事実で管理し、事実をもって判断する」ということが重視されているので、その企業についてかなり詳しく隅々まで観察して評価します。 
ですから、現場にも行きますし、その現場の作業者にもインタビューして、どう考えて実施しているのか、改善活動をしているのかということを事実(データ)で評価します。 
最終的には審査員が判定しますが、重要なのは「将来の発展に対する必要な組織能力がある」企業に対し与えられる賞であるという点です。
 
では台湾エクセレンス賞はどうか。
 
私が2000年に台湾エクセレンスを担当した時に、「台湾エクセレンスはどういった観点で製品を選ぶのか」というプレゼンテーションがありました。 
台湾は日本と似たような環境であり、資源が非常に少なく、国内マーケットもあまり大きくありません。
そこで「台湾エクセレンスは、台湾のブランドを世界に押しあげる戦略」としたのです。

当時、台湾製品はブランド名を挙げても「どこの会社?」といわれるような状態で、世界的に売れてはいませんでした。 
それが今日、台湾は経済の発展と共に成長し続けて知名度も上がってきました。 

台湾エクセレンスは、台湾のブランドを世界に押しあげる戦略として立ち上がった施策ですので、その精神を忘れないように、最高製品だけを選ぶのではなく、むしろまだ名の知れていない製品であっても将来性のある製品を選ぶというのが本質であると私は思っています。 

今はまだ世界ブランドになっていないけれど、将来これは伸びる可能性があるというところに賞を与えるということに意味があるかと思います。 
「Innovalue」という素質がある、そういう製品・企業に対して賞を与えるという部分が、他のアワードとは違う点であると思います。


成長に安住せず、さらなる発展を目指す

Q. 今後の台湾エクセレンスに期待することはなんですか?
 
日本の人々も、台湾製品について興味があると思います。

ASUSやAcerなどのパソコンメーカー、ジャイアントやメリダなどの自転車ブランドといった知名度のある企業の製品はもちろんですが、私が注目して欲しいのは、台湾エクセレンス賞に選出されるものは、将来的なASUSやAcerであり、ジャイアントやメリダのようなブランドになる可能性があるということです。 

台湾エクセレンスは台湾の戦略として成功しており、今後も伸びていくと思いますが、これに安住してはいけません。 
どこの国にも、栄枯盛衰があります。 
今後も新しい戦略を作って新しい概念に変えていかないと、今までのように伸びてはいかないので、そういった点に期待したいと思っています。


日本のみなさんが、安心して台湾製品を使えるきっかけに

Q. 台湾エクセレンスの受賞製品を日本のユーザーに勧めるとすれば、どういった点がポイントとなりますか?
 
「台湾エクセレンスの受賞作品というのは、非常にバラエティに富んでいます。そして台湾エクセレンスを受賞した製品は、従来の製品よりも技術的に良いところがあって、それが世界的に評価されています。」とお伝えしたいです。
例えば「これが台湾エクセレンスを受賞した工作機械ですよ」と言われても、「それが日本の工作機械とどこが違うの」と思うかもしれませんが、
台湾エクセレンスを受賞した製品は、今までの製品とは異なる新しい技術を使っていて、それが評価された製品だと知れば、「ああ納得。じゃあ使ってみようかな」ということになるかと思います。

  
Q. 台湾エクセレンスを通して、日本の皆さんにメッセージをお願いします
「台湾エクセレンスのロゴマークがついているということは、世界的に技術革新があって、それを世界の人たちが評価している」ということを目安にして、製品を選んでいただきたいと思います。


〜〜〜
 
 
今回の押村さんへのインタビューでは、「日本から見た台湾」という点でも、非常に興味深いお話を伺うことができました。
 
わたしたちも引き続き、日本のみなさんに台湾エクセレンスを知っていただくことで、台湾製品に触れていただくきっかけづくりをお手伝いできればと考えています!
 
 
次回の「#未来へ繋ぐ台湾エクセレンス」にご登場いただくのは、押村さんのインタビューでも話題に挙がっていた日本エイサー株式会社 代表取締役社長 詹 國良さん。
世界160以上の国と地域で展開するAcerの、日本国内での展開や未来のビジョンをお伺いします。
 
お楽しみに♪
 
 
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