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なぜライカM型が特別なのか

こんにちは、フォトグラファーの吉田タイスケです。

先日イタリアはミラノのライカストアにて、人生初の「M型体験」をしてきたので、作例と所感をここに書いておきます。ライカのM型が気になって眠れないんだ!という人の参考になれば、何よりです。

ちょうどお目当ての中古があるのはわかっていたのでお店にお邪魔したんですが、「どうぞ1時間、外で好きに撮ってきてください」と身分証一枚で快く貸していただいたのはこちら、Leica M-P type240!どうですかこの外観。こんな可愛いカメラは他にありませんYO(カメラは見た目です、はい)!もう買います!持って帰ります(心の声)!

現在最新のライカはM11ですが、それよりも二世代前、約10年前に発売されたカメラです。M型のデジタルライカはM8からM11までそれぞれに特徴があり、皆「好みのM型ライカ」が違っていて、そこも面白いですね。自分にはM240が良さそうだなと思って、使ってみました。では早速、1時間ドゥオモ周辺を歩いてきた作例をどうぞ。

いかがでしょうか。raw→jpegほぼ撮って出しです。ちなみにレンズはApo-Summicron M50mm。参考までに、普段使っているライカQ3のミラノ画像を続けて載せます。10年前と最新カメラの画質の差はどんなところにあるでしょう。

以下はQ3の画像です。1800万画素、Pモードで撮影、全てjpeg撮って出し。

Q3は比較参考までということで、深くは取り上げません。今回は1時間撮影して感じたM型の「ズバリここが特徴だろ!」という点だけ書いておきます。

結論:もう何と言っても「マニュアルフォーカス+レンジファインダー」

これに尽きます。いや、見りゃわかるよ、知ってるよレンジファインダーと言われれば、身も蓋もないんですが、ライカレンジファインダーの何が特徴かと言えば「フレーミングを追い込めない」ということです。

まず、ライカのファインダーはガラスが素通しで、そこにブライトフレームと呼ばれるレンズの画角に応じた枠が映し出され、中央にある小さな四角い二重像を合致させることでピントを合わせるわけです(ゾーンフォーカスは今回置いておきます)。

で、マニュアルでピント合わせするわけですから、どうしたって意識は中央の二重像に全集中します。しかもレンジファインダーは元々視差が存在するので、見ている枠内とは微妙にずれた写真が撮れることになり、また、ブライトフレーム(枠)の外も同時に見えているので、「枠の中だけに集中して画面構成する」ということが、どちらかと言わずとも、他の一眼EVFに比べれば時間がかかるし苦手です。

これが「ライカで撮ると急に下手になったように思える」原因ですし、そして同時にライカM型を使う最大のメリットなんです。

街歩きをしながらのスナップは瞬間勝負です。M型で撮る時、意識は中央の二重像にほとんど持っていかれ、ブライトフレーム(枠)の四隅への構成意識は低くなります。しかも枠の外まで見えている状態+視差もある中、厳密なフレーミングはやりづらい。つまり、逆に言えば「撮りたいものだけに嫌でも集中させられる状態」なんです。

カメラの構造上視差があるので、写った写真には意図しなかったものが入り込むこともあります。プロはもちろん、今まで構図を意識して撮ってきた人ほど、小さな違いを大きく感じるはずです。しかしそれは「フレーミングができない」のではなく「フレーミングから解放される」ということなんです。これがめちゃくちゃデカい。

「写したいと思ったものだけに集中できて」「フレーミングから解放される」ことが、ライカM型最大のメリットであり、そこに今まで以上に自由で、且つ伝わる写真が撮れる可能性があるんです。

じゃあ、「他のマニュアルフォーカスのレンジファインダーでもいいじゃん」と言われれば、はい、そのとおり(←エー!)。レンジファインダーという点ではそうですが、ライカはそこにカメラ筐体とレンズの完成度が加わります。プラスで見た目のデザインも(笑)。そのデザインが愛されていることは、カメラを人に向ければ相手の反応ですぐにわかります。

ほんと、よくできてるんです。

ずっと考えてました。たくさん写真を混ぜたら、どれがライカで撮ったのかはわからない。ライカじゃなければ撮れない写真があるわけじゃないし、他のカメラで撮った写真を「ライカ風」に加工することもできる。じゃあ、なぜライカなんだということを。

その答えのひとつが、「撮りたいものだけに集中できる、撮影体験の自由さ」なんです。その体験やそれが写真にもたらす要素は、あとから「ライカ風」に加工した写真では追いつけない。

とか書きつつ、M型は持っていないんですけどね。今年中に買います。やったー!バンザイ(予祝)!

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