慌てずに失業保険を受給するための知っておきたい条件を社労士が解説

失業保険を受給するための条件


失業保険を受給する最初の条件は雇用保険の被保険者であることです。


これは、雇用保険が適用される会社で週20時間以上かつ31日以上雇用される場合は、被保険者となります。

次に被保険者が離職の日以前2年間で被保険者期間が通算して12か月以上との条件があります。

被保険者期間とは在籍していた期間のうち、賃金の支払い基礎日数が11日以上ある月を指します。

よくある質問で、「賃金」には何を含めるのか?が挙げられます。


これは現実に労働したことを要しません。


よって、賃金支払いの基礎となった日数に含まれるのは有給休暇や休業手当の対象となった日も含まれます。

具体例


離職の日以前2年間とあるのはあくまで自己都合退職者などを想定しています。


しかし、場合によっては、解雇などの会社都合での退職の場合もあるでしょう。


よって、以下の表を確認しましょう。

         算定対象期間    被保険者期間
自己都合退職     2年間         通算12か月以上
解雇など       1年間       通算6か月以上

算定対象期間とは、在籍期間のことです。


結論としては、自己都合退職の場合は、在籍2年間で給与の支払い基礎日数11日以上の月が12か月以上あることが条件で、解雇などの場合は2年間が1年間になり、12か月の部分が6ヵ月となります。

具体例

具体例として、以下のパターンはどうなるかもおさえておきましょう。


①11日カウントできない月の取り扱い
②深夜労働があった場合

①について

※期間とは、在籍していた期間です。

期間         1ヵ月   15日以上1ヵ月未満   15日未満
賃金支払基礎日数  11日以上   11日以上        ― 
被保険者期間       1ヵ月         1/2ヵ月          ―

よって、在籍していた期間が15日未満であれば、そもそも算定しません。

15日以上1ヵ月未満のケースとは、例えば、4月20日から5月11日の場合、賃金支払基礎日数が11日以上あれば、1/2か月としてカウントされます。

②について


深夜労働を行って翌日にわたり、かつ、その労働時間が8時間を場合には、これを2日として計算します。

失業の認定とは


失業保険を受給する条件には「失業の認定」を受けることが求められます。


そもそも失業保険は、失業している日(失業していると認定を受けた日に限る)に支給されます。

この失業の認定を受けようとする場合、自宅最寄りのハローワークへ行き、求職の申し込みをしなければなりません。

具体例


イメージがわきづらいと思いますので、具体例を見てみましょう。


まず、会社から「離職票」が送付されてきます。その離職票と運転免許証などの身分証明書を持って、自宅最寄りのハローワークへ行きます。

そこで、ハローワークの職員が失業保険の受給資格があるか否かを確認します。


もし、受給資格の条件を満たしていなければ、離職票にその旨が記載され、戻ってきます。


受給資格が認められれば、次は求職の申し込みをします。

求職の申し込みとは、ハローワークに対して、仕事に就こうとする意志を示すことです。

待機期間とは


失業保険を受給する条件は、退職理由によっても異なります。

自己都合退職の場合は、以下の記事も参考にしてください。


しかし、どのような退職理由であって、待機期間を満たす必要があります。


これは、「通算して7日」となっている点をおさえましょう。

継続の場合は、当然、引き続いた期間のことを指します。


しかし、待機期間は「通算」であるため、待機期間を満たす前に短期間で離職を複数回繰り返したような場合は、合算できるということです。

また、待機の期間についても失業の認定を受けることが必要です。


よって、他の勤務先で働いた場合などは、失業の認定がされません。

具体例


実際に例を確認しましょう。

3月31日付で離職の場合、会社は離職票を離職日の翌日から10日以内にハローワークへ手続きをしなければなりません。


その後、離職者宛にハローワークから確認された離職票が送付されてきます。


この時点で10日+(郵送される期間も含めて)3日=4月13日と仮定します。


その翌日である4月14日に離職者が自宅最寄りのハローワークへ行き、この日から7日が待機期間(4月20日まで)という考え方です。


給付制限期間とは


給付制限期間とは、待機期間をクリアした後でも離職理由によっては、すぐに失業保険を受給できない期間のことを指します。

最も多くわかりやすい例がいわゆる自己都合退職の場合です。


考え方としては、好き勝手に離職した場合と解雇された場合では同じタイミングで支給する必要性も乏しいのではないかとの考え方からきています。

一般的に自己都合退職の場合は約3か月間が給付制限期間とされ、この間、失業保険は全く支給対象となりません。

しかし、仕事がない点は自己都合退職でも一緒です。


よって、給付制限期間は失業の認定はありません。


すなわち、内職収入などがあっても、失業保険と減額調整は行われないということです。

具体例


具体例を確認しましょう。先ほどの、4月21日に待機期間が終了したケースであれば、7月頃から失業保険が受給できるというスケジュール感です。

尚、給付制限期間は、「待機期間満了後」からカウントする点もおさえておきましょう。

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