失業保険を受給する際、どれくらいの金額になるかを社労士が解説


賃金日額とは


失業保険を計算する際には、まず、賃金日額を求める必要があります。


これは、離職前最後の6ヵ月に支払われた賃金の総額を180で除した金額です。


多く寄せられる質問で離職前に支払われた賃金であれば何でも含まれるのか?という疑問があります。


そうなると、年に1度のボーナスを受給してすぐに退職すれば、失業保険も多額に設定できるということも起こり得るでしょう。

もし、それが可能であれば、収入がなくなる離職後のことを考えれば、ボーナス支給月付近で離職した方が合理的であり、離職者も集中してしまうでしょう。

よって、臨時に支払われる大入り袋のような賃金、3か月を超える期間ごとに支払われるボーナスなどは除くとされています。

尚、賃金日額には上限額と下限額があります。


下限額には年齢は関係ありませんが、上限額には以下の通り年齢によって、段階的に設定されている点はおさえておきましょう。

また、最も高い年齢層は45歳以上60歳未満の層です。


年齢的にも子育て真っ盛りの世代とも言え、最もお金がかかる世代と言える為に、妥当な設定と言えるでしょう。

家を購入して住宅ローンを組む人も多いかもしれません。

住宅ローンを組むのであれば、知っておいてほしいのが住宅ローン控除です。

ここでは詳しくは解説しませんが、以下のブログでわかりやすく解説されていましたので参考にしてください。

話を戻します。

失業保険を計算する際の注意点として、賃金日額は毎年変更することが挙げられます。

具体例


式にすると以下のようになります。

賃金日額=離職前最後の6ヵ月に支払われた賃金の総額/180
分子に含まれない賃金
大入り袋、ボーナス、傷病手当金、退職金など

基本手当の日額とは


失業保険を計算する際に賃金日額の他に使うものとして、基本手当の日額があります。


これは、賃金日額に一定率を乗じたもので賃金日額と同様に年齢による上限額が設定されています。


具体例


・賃金日額および基本手当の日額・上限額

年齢区分        賃金日額   基本手当の日額
30歳未満          13,510円      6,755円
30歳以上45歳未満    15,010円    7,505円
45歳以上60歳未満    16,520円    8,260円
60歳以上65歳未満    15,750円    7,087円


受給資格者

賃金日額…2,480円

基本手当の日額…1,984円


尚、賃金日額と同様に基本手当の日額も毎年変更されます。

失業保険の受給条件については、前回の記事で詳しく解説しました。


失業保険の減額


失業保険の受給中に内職収入があった場合には、減額調整される仕組みがあります。


尚、内職収入とは、4時間未満の労働と定義しています。


しかし、実際には内職収入と称していてもそれに専念するためにハローワークの職業紹介にすぐには応じられないなど、他に求職活動を行わない場合は、働く意思および能力がないとみなされ、失業保険が受給出来なくなる場合がある点をおさえておきましょう。

尚、4時間以上の場合は就職とみなされ、失業の認定が後ろへずれることとなります。


失業保険は原則として、離職日の翌日から1年間が受給期間となります。


よって、後ろへずれることで、受給期間の終了日が先に到来することもあり得るということです。

尚、就職の場合は、現実の収入の有無を問いません。
そして、就職とは、雇用関係に入るのはもちろん、請負や自営業を開始した場合も該当します。

また、4時間未満であっても、雇用保険の被保険者となる場合は就職に含まれる点は留意すべきです。

具体例


そして、内職収入があった場合は、下記の書類(失業認定申告書)の1枚目、上から2番目の内職収入があった日および金額に記入をしなければなりません。

出典元:ハローワークインターネットサービス

それでは、実際に減額のロジックを確認しましょう。


まず、内職収入のみで賃金日額の80%を超えた場合は、その時点で失業保険は全く支給されません。


逆に、賃金日額の80%以内であれば、減額されないということです。


減額される場合

収入の1日分に相当する額から経費相当額を控除した額と基本手当の日額を合算した額が賃金日額の80%を超えた分が減額対象との理解です。

減額されない場合

収入の1日分に相当する額から経費相当額を控除した額と基本手当の日額を合算した額が賃金日額の80%を超えていません。
よって減額されません。

全く支給されない場合

収入の1日分に相当する額から経費相当額を控除した額と基本手当の日額を合算した額が賃金日額の80%を超えているために全く支給されません。

所定給付日数


これは、失業保険を何日分受給できるか?という時に用いられる日数です。


当然、自己都合退職より、解雇などの会社都合の方が多く設定されています。

具体例

出典元:ハローワークインターネットサービス

表の見方としては、自己都合退職の場合が上から2番目の表です。

年齢に関わらず、20年以上勤めた場合(長期に休んでいた場合などは含まれない場合もあり)は、基本手当の日額の150日分を受給できるということです。

よって、
例えば月給30万円の45歳の労働者が20年以上勤続(長期休職などはなし)し、自己都合退職した場合を確認しましょう。

30万円×6か月=180万円
180万円/180=1万円
1万円×(仮に最も低い50%として)=5,000円
5,000円×150日分=75万円


となります。これを1年間かけて受け取れるということです。

また、離職理由にかかわらず、65歳以上で退職の場合、高年齢求職者給付金という失業保険相当の手当が支給されます。


しかし、受給額は失業保険より多くなることはありません。

参考までに以下の表を確認しましょう。

高年齢求職者給付金

在籍期間    1年未満           1年以上
受給額     基本手当の日額の30日分   基本手当の日額の50日分



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