見出し画像

どこの消防本部に入るかで全然違う!

これから消防士を目指される方でどこの消防本部を受験しようかと悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
というのも、消防という組織は基本的には自治体単位で構成されていて、全国で約730本部ほど存在しています。

つまり、受験者は数ある候補の中から、自分で入りたい消防本部を選んで、試験を受けるということになります。こうなると当然悩むわけです。

例えば、A市は地元だけど採用人数が少ないから、採用人数の多いB市を受験しようかな?どうしよう?と悩むケースも往々にしてあります。

受験者は何とかして消防士になりたいという思いで受験しますから、採用数が多かったり、倍率が低い本部を受けようかな。とか色々考えるわけです。

そこで、この《入口》は強く意識するんですが、一番大切なのは入ってからですね。
同じ消防といっても、どこの本部に入るかで、その後の消防人生が大きく変わってきます。

今回は政令指定都市(大規模消防)から地方中核市(中規模消防)へ転職した私の経験から考えたことを伝えたいと思います。

裁量権が全然違う

私は消防1年目から3年目までの期間を首都圏の大規模消防で勤めました。
日々の業務をしながら、「入って数年はこんなもんだろうな」といった感覚で自分で考えて仕事をするというよりかは与えられたことをこなしていくといった意識で仕事をしていました。

消防車の運転に関しても、大規模消防では入って2,3年目の消防士が行うといったことはありませんでした。車の運転は7,8年目から覚え始めるといった印象を持っていました。

しかし、これが転職してみてビックリ。中規模本部では3年目からバリバリ消防車の運転をこなしているし、予防業務に関しても、入って数年目の消防士がイニシアティブをとってガンガン査察に行く姿を目の当たりにしました。

最初はこの仕事、「おれがやっていいの」「おれにできるのか」といった感覚で戸惑いはありましたが、1年経つ頃にはそれが普通になっていました。

転職して間もないころは、この人たちとんでもない能力者集団なんじゃないか?とかビビりあがっていましたが、決してそんなことはなく、これは組織として個人に与えられている裁量権が全く違うことから生まれる差なんだと認識しました。

昇任のスピードが全然違う

昇任のスピードに関しては全く違います。
どちらが早いのか、
それは大規模消防のほうが早いです。(ただし、人による)

これは内規(各消防ごとのルール)で決められていて、大規模本部のほうが年数が浅くても昇任試験を受けることが可能でした。
例えば、大卒は3年目から昇任試験が受験できたと記憶しています。
全国的にも大規模本部のほうがこの傾向が強いみたいです。

一方、現在の中規模本部は大卒は6年目から受験できるルールとなっています。この辺りを比べてみても考え方が全く違います。

さらに、昇任試験はその後も続いていくわけですが、次の昇任試験を受けるための経験年数も大規模本部のほうが短い傾向があります。

現に私の大規模消防時代の同期は既に消防司令という階級で一般的な会社でいう課長補佐の役職にまで上がっている方もいます。

ちなみに私はまだ消防士長という階級で一般職です。

大規模消防は試験次第で上がっていくことが可能な実力主義
中規模本部は試験もあるけれど、基本は年功序列がベース

そんなイメージです。

仕事内容(幅・深さ)が全然違う

大規模消防と中規模本部は仕事内容が全然変わってきます。
というと「同じ消防なのに仕事内容が違うってどういうこと?」と考えるかもしれません。

ここでいう仕事内容とは、消防士一人ひとりが受け持つ仕事の幅や深さの違いがあるということです。

大規模消防は単純に人数が多いです。
ということは、仕事を細分化して取り組むことができるんです。

例えば、救急隊に配置された人は「あなたは1年間は救急専門になるため、その間は火を消しに行くことはありません。」
といった形になります。

これが中規模本部だと、
「今日はあなたは救急隊です。」「ちなみに、明日は救助隊です。」
といったことが普通なんです。

さらに、仕事を細分化することのメリットとして、専門性が高まることがあります。それ専門で時間を費やすことが可能なので、その分野に特化することが出来ます。
逆に中規模本部だと、高い専門性を身に付けるといった部分では大規模本部の消防士のほうが有利かもしれませんが、幅広く仕事をすることができるので、オールラウンドな能力が身に付きます。

この辺りは、2つの消防本部を経て感じた大きな違いでした。

まとめ

いかかでしたでしょうか。
消防士といっても、入る消防本部の規模によって様々な違いがあります。
自分の歩みたいキャリアや取り組みたい仕事内容など考え方は人それぞれです。ただ、倍率が低く入りやすいから、ここの本部にしようといった感覚では入ってからのギャップに戸惑うかもしれません。
受験する前に、この辺りをチェックしてみて自分にあった消防本部を選択し、活躍していってもらいたいと思います。

消防本部の規模は基本的に自治体の人口に比例しているのですが、複数自治体を一つの消防が管轄している場合など分かりずらい場合は各消防本部が出している「消防年報」などのHP等で確認してみるといいですよ。








この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?