3分間 ~カップラーメン~

これは、カップラーメンにお湯を注いで完成するまでの3分間の話。

テレビを点けると、櫻井翔がニュースを読んでいた。信じたくなかったが、今はまだ月曜日だ。

環はもうすぐ中学3年生。学校、部活、塾…どれも欠席したことはない。けれど何も良いことがない。つまらない。全部やめたい。モチベーションはゼロだ。

環(たまき)はおなかが空いているわけではなかった。
ただただ何かを口に入れたいんだ。

カップラーメンの手に取る瞬間、覚悟を決めたはずなのに、罪悪感に駆られる。忙しいお父さんが、夜ご飯を作ってくれた。今日も美味しかった。おかわりも沢山した。それなのに意味もなくカップラーメンを食べてしまう。凄く悔しかった。

カップラーメンはあと1分半でできる。少し急いで手を洗いにいくと、鏡の中の自分と目が合った。泣きそうになった。涙なんて出ないけれど。

ダイニングに戻ると、10秒を切っていた。アラーム音で家族を起こさないために、タイマーを止める。

蓋を開けると、頭が痛くなるほど悔しくなる。全然痛くはないけれど。

とにかく美味しかった。スープも全部飲んだ。ほっとした。

もう数時間後には次の1日が始まる。そう思うと吐きそうになる。別に吐かないのだけれど。

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