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デザインコンペの活用方法(メリットとデメリット)

皆さん、こんにちは。
プロダクトデザイナーの三島です。

今回は、デザインコンペの活用方法について話していきます。

まず、「デザインコンペに出したいなら出せば良いし、出したくないなら出す必要は全くない。」と思っています。

ただ一言付け加えるなら、まだ仕事のない若手や学生の方はデザインコンペには積極的に出していった方が良いとは思います。デザインコンペは一つのチャンスであることは間違いないので、挑戦する価値はあります。

一方で、プロのデザイナーであれば、クライアントワークで確実に収入を得られるので、あまりメリットはないかもしれません。

ただクライアントワークとの違いは多くあり、分けて考えても良いと思います。デザインコンペをそもそも知らない人や否定的な人もいると思うので、デザインコンペのメリットとデメリット、自分なりの活用方法について話していきます。

メリット(活用方法)

①商品化
②実績作り
③賞金稼ぎ
④繋がりが増える
⑤クライアントワークの練習
⑥著名なデザイナーや審査員に評価してもらえる

つまり、メリットはそのまま活用方法に繋がります。

①商品化
プロダクトのデザインコンペの大きなメリットは、提案したデザインが商品化に繋がる可能性があることです。学生や若手が直接メーカーなどに提案することは難しいですが、コンペを活用し提案するのも手です。

②実績作り
受賞することで、CVに書けたり、ポートフォリオに作品を載せることでき、実績に繋がります。実績を積み重ねることがデザイナーにとっては非常に大切なことで、仕事を呼び込むためには大事な要素です。

③賞金稼ぎ
デザインコンペによってですが、上位入賞には賞金がほぼ貰えます。有名なデザインコンペになるとグランプリには200万、一般的には100万円、マイナーなところで30万円程度が貰えます。

④繋がりが増える
入賞すると、まず表彰式が行われます。そこで主催者、著名なデザイナー、デザイナーの知り合い、将来のクライアントなど繋がりを増やすことができます。また展示会などにも出展することがあるので、そこでも繋がりを増やすことができます。

⑤クライアントワークの練習
デザインコンペをクライアントワークの一環として取り組むことで、企業が意図することや課題を読み解く練習にもなります。一方で、クライアントワークとは大きく異なる点もあるので注意が必要。

⑥著名なデザイナーや審査員に評価してもらえる
デザインコンペの審査の多くは、現役で活躍している著名なデザイナーやバイヤーであることが多いです。その方々から直接評価をもらえることは貴重であり、一次審査を通過すると直接プレゼンすることができます。


次に、デメリットの点を考えてみます。

デメリット

①クライアントワークとは似て非なるもの。
②スペックワークになりやすい。
③盗作される可能性がある。


①クライアントワークとは似て非なるもの。

まずデザインコンペはヒアリングや打ち合わせができず、クライアントとコミュニケーションが取りにくいという点にあります。デザインすることに置いて、クライアントが求めているものが何かを綿密な打ち合わせを通じて知ることが大切になってきます。

メーカーや工場が依頼主の場合、実際に現地に訪れその会社の持つ技術や特徴を把握するのがデザイナーの大事な仕事になってきます。打ち合わせを通じ、今その会社に必要なモノをデザインするのが必要になってきます。

多くのデザインコンペの場合、その部分が欠けるので、コンペ主催者が求めているものと応募者が考えているものでズレが生じる場合があります。つまり、クライアントワークと、かけ離れたものになることがあります。

それを傾向と対策で応じるのが、本ブログのテーマになってきます。


②スペックワークになりやすい。

スペックワークとは、作業した時点では報酬が発生するか分からない仕事。つまり、とりあえず作業して、クライアントが気に入ったら報酬を払われる仕事のことを指します。

コンペの最大の問題点はここにあります。つまり、デザインコンペは提案をしても、報酬は発生しません。入賞して、初めて賞金が支払われます。

極端な話で、100案集めた中で最も良い1案だけにお金を払う。というのが、今のデザインコンペの現状です。他の99案に対しては対価は支払われず、デザインコンペが嫌いな方はここが大きな焦点になっていると思います。

建築コンペとかだと、入選した時点で参加報酬が支払われます。これをデザインコンペなどにも取り入れ、一次審査通過で参加報酬を支払うなどの形にすると良い按配になりそうです。


③盗作される可能性がある。

オープン式のコンペというものがあり、受賞作品を公開することで盗作されるケースがよくあります。さらに最悪の場合では、主催者側にアイデアを真似されてしまう可能性もあります。

また、オープン式のコンペに関わらず、デザインコンペには盗作がつきものです。これは主催者の取り扱いによって、大きく変わってきます。受賞後の著作権をどうするかを確認し、受賞後には話し合いの場を作ったほうが良いと思います。

結論

やっぱり若手や学生はデザインコンペにはどんどん参加し、利用していくべきだと思います。デザイナーとして生きていくには実績をつくるために行動を起こしていくのが一番であり、コンペはその手段としては優れています。

デメリットの部分はデザイン業界全体で改善していくことが可能であり、するべきです。そして中堅デザイナーと呼ばれる位置まで来たら、若手にデザインコンペの枠を譲るという形にしていくのが良いのかなと思います。

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