デザインコンペの傾向と対策について
皆さん、こんにちは。
プロダクトデザイナーの三島です。
今回は、デザインコンペの傾向と対策について話していきます。
前回、デザインコンペで、入賞率を高める5つの方法で、「傾向と対策を考える。」を紹介しましたが、この「デザインの赤本」の全体のテーマでもあるので、今回はそれを掘り下げていきます。
この傾向と対策を考えることが有効なのは、毎年開催されるデザインコンペです。過去の受賞作品を考察し、審査員の癖や志向性を読み取ったり、主催企業の方向性や課題、過去のテーマを参考に考えることができます。
一方で毎年あるデザインコンペは有名なものが多く、参加者がとても多いです。そして同じ人が他のコンペや過去に入賞、入選している例はほとんどありません。非常に狭い門をこじ開けるための方法の一つだと考えて下さい。
① 主催について
デザインコンペでは、ほぼ必ず主催がいます。例えば、KOKUYO DESIGN AWARDであれば、文房具やオフィス家具を製造・販売するコクヨ株式会社。富山デザインコンペティションであれば、デザインウエーブ開催委員会(富山県、富山市、高岡市)。
つまり、企業であれ自治体であれ、主催の目的があって初めてデザインコンペを開催されます。それが商品化のアイデアを探しているのか、企業や自治体自身が直面している問題を解決してほしいのか、様々です。
その主催についてリサーチすることは、コンペの傾向と対策を考えるうえで非常に重要です。このメーカーはどのような製品を作っているのか、この自治体の地場産業は何か、何を推していきたいのかなど、調べてみることは、アイデアを生み出すうえでも非常に有効です。
② テーマ
先程も書いた通り、デザインコンペのテーマには、主催の目的が直結しています。毎年変わることもありますが、企業や自治体自身が直面している問題を解決してほしい場合、次の新しい何かを見つけたい場合、そもそも何が課題なのかを考えてほしい場合などがあります。
言ってしまえば、テーマは主催からの「問い」だと思います。それに対する「答え」をデザイン案で見ることが求められています。
デザインコンペにおいて、テーマは非常に大切な要素であり審査基準でもあるので、これから外れるとまず入賞することは難しいので、テーマに対しては徹底的に悩んで考えてみましょう。
③ 過去の入賞作品
昨年までの受賞作品とは言ってしまえば、「答え」です。つまり、このデザインコンペで主催と審査員が求めているのは、過去のグランプリと非常に近いものになります。それはデザインやアイデアという意味で近いという意味ではなく、方向性や完成度、視点の面白さとして近いという意味です。
そして過去に入賞したものと似ているアイデアやデザインは、まず入賞することはありません。その意味でも応募するデザインコンペのアーカイブは、全て確認した方が良いです。
他にも過去の入賞作品を見ることで、このデザインコンペはアイデアの面白さを重視するのか、どんな審査基準なのか、問いや答えに対する密度や深さを求めているのかがわかります。
④ 審査員
デザインコンペにおいて、審査員は主催が誰であるかと同じくらい重要です。なぜならデザインコンペの審査は、審査員の「経歴」や「好み」に左右されることがあるからです。もちろん、審査員の方々はちゃんとしている方ばかりなので公平に審査されますが、何をもって基準にするかは人それぞれなので、結局は審査員次第ということになります。
これは結構意見が分かれますが、狙えるのであれば、審査員に向けての提案をするのもありだと思います。審査員の好きそうなデザインやアイデアを提案することで通りやすくなるかもしれません。
どっちにしろ、審査員については調べたほうが良いです。その人がデザイナーなのか、バイヤーなのか、一般人なのかで全く異なります。さらにデザイナーならば、どんなデザインをするのかは最低限調べた方が良いです。
⑤ 応募人数
応募人数に関しても、注目したほうが良いです。ただ多ければ難しい、少なければ簡単という訳ではありません。応募人数によって、応募作品の見せ方などを変えていった方が良いと思います。
例えば、応募人数が多い場合は、一つの応募作品にかける時間は10秒とかそこらなので、インパクトのある見せ方がまず必要になります。そして、最終審査に進むための中身の濃さが必要になります。特にアイデア勝負、視点の面白さが評価されやすい傾向にあります。
一方で、応募人数が少ない場合は、最初からじっくり審査される傾向にあります。つまりは、インパクトあるヴィジュアルというより、中身の濃さや深く掘り下げるなどを優先したほうが通過しやすい傾向にあります。
次回以降から、特定のコンペに絞って傾向と対策を考えていきます。
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