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なぜ伝統工芸品は高い?

「匠の精神」や「繊細な美しさ」が感じられる日本の伝統工芸品。

文化的な価値の高いもので、お手頃な値段でも手に入れるものも多くあります。一方で、その値段をみて驚く人も多いと思います。伝統工芸品というと、高価であまり身近に感じにくいと印象を持つ人が多いかもしれません。

今回は「伝統工芸品が高い」、その理由を紐解いていきます。


理由① 職人の高い技術力

日本の生活と共に作り上げられてきた伝統工芸品は、職人の高い技術力によって支えられており、日本のモノづくりの原点だと言えます。

その高い技術を身に付けるために、数十年も長い期間の修業期間を経て、成果物である伝統工芸品を作りあげます。つまり、一つの伝統工芸を作り上げるための、その経験の積み重ねが必要であり、その対価でもあります。


理由② 時間のかかる手作業

基本的には機械を用いず、伝統的な技法で手作業で行うため、製品を作るのに、数日、数週間から数か月かかることもあります。加えて、修行してきた数十年の技術が背景にあり、その技術力が伝統工芸品を生み出します。

その製品を作る時間の全てに人件費がかかり、成果物の伝統工芸品に費用が加算されます。

ただ伝統工芸品は一点一点手作業で作られるので丈夫であり、丁寧に扱えば一生物として使えます。さらに伝統工芸品の魅力の一つでもある経年優化があり、使えば使うほど馴染み、風合いも時が経つにつれて良くなります。


理由③ 作る人と売る人が別

職人さんの仕事は作ることです。つまり、成果物の伝統工芸品は直接消費者に届けられるわけではなく、売るために間に入る地場問屋、問屋、商社、小売店が販売を担当します。

この間に入る人が増えるほど、その成果物である伝統工芸品は高くなります。つまり、職人さんが問屋さんに10,000円で納めても、小売店で最終的に消費者が買う値段が5倍の50,000円で販売されることも少なくありません。

職人さんから、直接買うことができればそれに越したことはありません。

ただ、これには難しい理由があり、職人さんが自ら商品を開発し、多く注文を受けても、生産管理、流通、販売までを職人さんが担うのは非常に難しいです。職人さんは「作る」が生業であり、「売る」人が別に存在している方が仕組みとしては正しいかもしれません。


理由④ 原材料の高騰

これは以前も書きましたが、職人にとって必要不可欠な材料や道具が不足しています。伝統工芸品が売れないので、そのものの生産量が減少することに伴って、原材料の生産量も減少し、道具や材料を作る職人も減っています。

手仕事は全てが繋がっています。原材料の高騰は、成果物の伝統工芸品の売価に直結し高騰します。道具や材料の危機は、生産量が減少したり、価格が高騰したりと、工芸品業界全体に大きな影響を与えます。


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