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ものを「作る」と「売る」話

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地場産業・伝統工芸・量産品の「作る」と「売る」に関する記事をまとめています。
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2020年2月の記事一覧

自分の仕事に誇りを持つのが大切

ある絵付けの職人さんは焼き物の工程で絵付けが一番大事だと言い、ある生地の職人さんは形作りが一番大事だと言っているのを聞いて、職人さん達は自分の仕事に誇りをもってるからこそ、素晴らしい仕事ができるのだと感じました。 職人の仕事は分業制が一般的であり、一つ一つの工程が無くてならないものであり、全ての工程が大切だと言えます。ただ個人だけでは完成せず、実感が湧きにくいという話も聞きます。 同様にデザイナーの仕事も、企画やデザインを請け負っていますが、製造や販売はクライアント側の仕

職人や生産者にとっての、卸問屋のメリット・デメリットについて

卸とは、「職人・生産者」と「小売り」を繋ぐ役目を担っています。 具体的な商品の流れは、卸業者は生産者・メーカーなどから仕入れた商品を、小売店に販売します。そして、小売店は消費者に販売します。 また小売業の各店舗に商品を安定供給するために、卸問屋が一定の在庫を抱えています。それにより、小売業者が必要な量の商品をすぐに提供できるという物流の役目があります。 つまり、「卸」とは商流と物流の両方があると言えます。職人・メーカー・生産者目線での、メリット・デメリットについて書いて

ものづくりに関わる人たちにとって、一番の課題は現代の価値観

特に伝統工芸にかかわる人たちにとって、一番大きな課題は販路とか品質ではなく、現代の価値観だと言えます。 安いほうが良い、モノにこだわらない、モノを持たないというこの価値観がある前提でものづくりしないと、ただ良いものを作っても売れません。 物にこだわらないこれはライフスタイルの変化といっても良いかと思います。少子高齢化、戸建てからマンション住まい、晩婚化など、昔と比べて生活様式も大きく変化しました。 ライフスタイルが多様化したと言えば分かりやすいかも知れません。独身でお金

自分が本当に欲しいモノは、現地で職人さんから直接買う。

自分が本当に欲しいモノは、なるべく現地で職人やメーカーから直接買うようにしています。特に工芸品に関しては、その産地で買うようにしています。これにはいくつか理由があるのでご紹介します。 ①好きなものを選ぶことができる。職人が手作業で作ったものは、質はどれも高く同じなるように作られていますが、一点一点違いがあり、個性があります。 例えば、木製品だと一つずつ木目も違いますし、陶磁器でいえば窯の状態や釉薬の掛け具合、土の収縮率で少しづつ違いがわかります。漆器の塗りも刷毛や生地によ

伝統工芸を現代の暮らしに取り入れる方法④ 企業とコラボする。

今までに3つの手法について話してきましたが、今回は企業とコラボして、伝統工芸を現代の暮らしに取り入れる方法をご紹介します。 伝統工芸を現代の暮らしに取り入れる方法 ① 伝統工芸の技術を転用する。 ② 伝統技術と最新技術を組み合わせる。 ③ アニメとコラボする。 ④ 企業とコラボする。 企業と伝統工芸がコラボすると聞くと、ノベルティとして伝統工芸を用いることがまず浮かびますが、その場合はただ既製品に名前を入れただけというパターンが非常に多く、コラボとは言えません。 両方の

作りたいものではなく、使いたいものを作る。

技術ありきで作りたいものを作るシーズ視点・プロダクトアウトの考えで作ったプロダクトは、ものとして使えるものになることは少ないです。結果、売れないのでクライアントもデザイナーも商社も困り、技術が広まることもありません。 そうならないためにも、その技術を活かして、まずは自分たちが使いたいものを作ることをしましょう。自分たちが使いたいものであれば、同じ価値観を持った人、同じ問題を抱えている人は欲しくなり、買います。そうすると、全員に利益があり、結果技術が広まります。 前回お話し

デザイナーの実績作りのために商品開発をするのはもうやめよう

先週、デザイナーの実績作りのために商品開発をするのはやめようという話を職人さんと話していました。 なぜデザイナーが職人さんやメーカーにアイデアを持ち込むのかというと、大きく2つのパターンがあります。 ①仕事にも実績にもなるので、作ってほしい。(職人さんがお金を払う。) 販売や開発費用は職人さん持ちになるので、負担がかなり大きいです。もちろん販売などもお手伝いする前提のデザイナーもいますが、基本にはクライアントワークと同じになります。 しかし、クライアントワークにとって大

デザイナー、職人、リモートワーク

今現在、コロナウイルスの影響によってリモートワークが推奨されています。noteでもリモートオフィスというお題が始まったので、この機会にフリーランスのデザイナーのリモートワークについて話していきます。 そもそもフリーランスはリモートワークですらない。リモートワークは会社以外での勤務、主に在宅勤務のことを指します。つまり、フリーランスに勤め先はないので、どこで仕事をしようが自由です。 今現在は借りている事務所(コワーク)があるので、そこに通って基本的には作業や仕事をしている感

伝統工芸を現代の暮らしに取り入れる方法③ アニメとコラボする。

マンガ好きなプロダクトデザイナーとしても活動している自分ですが、伝統工芸とアニメや漫画、ゲームをコラボする流れをよく見かけます。 アニメと伝統工芸という日本が誇れる2つの文化ですが、共通点も多くあります。例えば、細部にまでこだわって良い物をつくるという「ものづくり」という点、時代に合わせて「進化」してきたという点で共通しています。 伝統工芸は時代の生活や流行、使い手に合わせて数百年と技術を進化させてきました。同様に、アニメも生活や流行、視聴者に合わせて多種多様なスタイルに

伝統工芸の技術を転用する実例

前々回の記事「伝統工芸の技術を転用する。」の実例を載せるべきだったと、今思ったので書きます。 技術を転用するという手法は、デザイナーが携わっていることが多いです。デザインアプローチとしてよく使われており、ある技術を他分野に転用し、新しい価値を創造する手法です。 それでは、紹介していきます。 ①effe(眼鏡→防災笛) 鯖江眼鏡 現在、福井県は「福井市」や「鯖江市」を中心に日本製めがねフレームの約95%を生産し、世界最高品質のめがねを全国・世界へ届け続けています。 19

伝統工芸を現代の暮らしに取り入れる方法② 伝統技術と最新技術を組み合わせる。

前回は、①伝統技術をそのまま他分野に転用する方法をお伝えしました。 今回は、伝統技術と最新技術を組み合わせて、新しい価値を生み出し、現代の形に取り入れる方法を紹介します。 デジタル全盛期時代の現代では、商品開発分野においても、3Dプリンター、レーザーカッター、切削機、IoTなどもデジタルツールが一般的な道具となっています。 プロダクトデザインの業界でも、設計に用いる3DCADや、試作や検証をするための3Dプリンターなどのテクノロジーが広く使われています。これらを利用する

伝統工芸を現代の暮らしに取り入れる方法① 伝統工芸の技術を転用する。

伝統工芸品というと、高価であまり身近に感じにくいと印象を持つ人が多いかもしれません。 しかし、元々の工芸品というのは、古来から日本での日常生活に根付き、形や機能を変えて、活用されてきた日用品や家具です。つまり高価で特別なものだけでなく、気軽に普段の生活で使われていたものがたくさんあります。 数百円、数千円のものもたくさんあり、陶磁器や手紙など手頃な工芸品は、日常使いにも、贈り物にも最適です。 伝統工芸の強みは、変化に対応する能力でした。形や機能を変えても、その高い技術力

なぜ伝統工芸品は高い?

「匠の精神」や「繊細な美しさ」が感じられる日本の伝統工芸品。 文化的な価値の高いもので、お手頃な値段でも手に入れるものも多くあります。一方で、その値段をみて驚く人も多いと思います。伝統工芸品というと、高価であまり身近に感じにくいと印象を持つ人が多いかもしれません。 今回は「伝統工芸品が高い」、その理由を紐解いていきます。 理由① 職人の高い技術力日本の生活と共に作り上げられてきた伝統工芸品は、職人の高い技術力によって支えられており、日本のモノづくりの原点だと言えます。

防災士が考え、宮城県石巻市で誕生した家具工房が作る、木の防災ボックス

今日から、またクラウドファンディングという名の先行販売をします。 今回は石巻工房さんと開発した、木の防災ボックスです。 富山デザインコンペで準グランプリを頂いたものを商品化しました。 リターンには初期生産50個限定の石巻ボウサイボックスをお贈りします。 日本の職人が作った国産家具。 頑強で室内外で長年使え、インテリアにも馴染みます。 結構いい値段しますが、先行発売分はほぼ原価です。 興味ある方は、この機会にぜひ。 PRや拡散、支援して頂けると大変ありがたいです。