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看護計画テーマ「神経精神科 躁うつ病患者の標準看護計画」
今回のテーマは「躁うつ」についてです。
現代では精神的に参ってしまう方は多くいらっしゃいます。
実習先でも仕事を始めても必ずと言っていいほどうつ病の患者様とは関わりますので覚えておくと必ず役に立ちます。
今回はボリュームがありますので、お時間あるときに読んでみてください。
躁うつ病患者の標準看護計画
躁うつ病とは
気分(感情)の障害を主徴とする。気分が高揚し意欲の発動性が亢進する躁状態と、反対に気分が沈滞・低下し意欲の発動性が抑制されるうつ状態がある。病型には躁病相、うつ病相の一方だけを持つ単極型と両方を持つ双極型がある。発病には生物学的要因(遺伝因子)や心理的要因(性格)、社会的要因(就職や結婚など)が関与しているといわれている。これらの要因が交互に関連しながら発症に至っている。うつ状態は、脳器質性疾患やその他の身体疾患から生じる精神障害、薬物使用から生じる精神障害、内因性うつ病、神経性うつ病などでみられる。精神症状が不明瞭で、身体症状が主となる仮面うつ病もある。
アセスメントの視点
精神分裂病と並んで代表的な内因精神病である。精神分裂病は人格にまで影響を及ぼすのに対し、躁うつ病は病相を繰り返しても人格の変化や障害が生じにくい。
躁うつ病の発病には、生物学的要因や心理的要因、社会的要因が関与しているのであるから、これらの要因を多角的に把握していくことが重要である。
一つの病相期にも軽重さまざまな程度がある。一夜にしてうつから躁へと一転してしまうケースもある。各々の状態に捉われることなく、患者の正常な時期の全体的人格像、患者像を把握しておくことが重要である。
症状
基本的な障害は感情の障害である。感情の変化に二次的に思考ならびに意欲の変化が伴う。
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検査
生化学、血液一般検査
甲状腺機能
CTスキャン
MRI
EEG
SPECT
心理検査: ツング、ベック、ハミルトン、MMPI
治療
1.薬物療法
1)抗うつ剤
三環系:トフラニール、アナフラニール、トリプタノール
四環系:ルジオミール、テトラミド
その他:ドグマチール、ミラドール、デジレル
2)抗躁剤:リーマス、テグレトール
抗精神病薬:セレネース、レボトミン、ロドピン
2.電撃療法
難治性のうつ病、自殺の危険が非常に高い場合、昏迷状態、副作用のため薬物を投与できない場合
3.精神療法
経過と管理
躁病相の持続はうつ病相よりも短く、多くは1〜2ヶ月のうちに回復する。まれには軽躁状態が持続する慢性経過をとるものもある。うつ病相の持続は数ヶ月から1年内外に及ぶ。まれに数年に渡ってうつ状態が遷延する遷延性うつ病もある。病相期と病相期との間には正常状態を呈する寛解期が存在するが、時にはうつ状態から躁状態へ、あるいは躁状態からうつ状態へ急激に移行することがある。特に抗うつ薬服用中にうつ状態から躁状態へ一過性に転化(躁転)する例が往々にしてみられる。
一般に躁うつ病の予後は良好で、各病相が寛解したあとには精神的欠陥を残さないのが通常である。しかし遷延性うつ病や老年期うつ病のように、なかなか完全寛解に至らない場合もある。また躁うつ病では再発を繰り返すことが問題で、そのため勤務に差し支えることがある。しかし、最近のリチウム療法などで再発予防の対策もなされている。うつ病ではしばしば自殺の転帰をとる危険がある。自殺企図はうつ病相の極期よりも、精神運動抑制が軽くなった回復期に起こりやすい。
看護計画(躁状態)
・アセスメントの視点(躁状態)
躁状態の特徴は精神的活動性及び身体的活動性の亢進である。気分や行動の混乱のレベルを見極め、それが身体的機能や日常生活に及ぼす影響について観察することが大切である。その障害のレベルに応じた対応が必要となる。刺激を避け、トラブルを起こさないよう注意し、安全と休息を確保する必要がある。
・問題リスト(躁状態)
#1.多弁、多動による他患者とのトラブル
[要因]・落ち着きのなさ
・気分高揚、興奮状態、易刺激性
・他患者への過干渉
・誇大妄想や敵対行動
・粗雑な行動
・観念や話題の脱線
#2.活動性亢進による夜間不眠
[要因]・睡眠欲求の減少
・落ち着きのなさ
・気分高揚、興奮状態
・疲労感の減弱・欠如
・際限のない活力
#3.注意散漫による食行動の乱れ
[要因]・食欲亢進
・食欲コントロール能力の低下
・消費エネルギーの増大
#4.身辺整理能力の低下
[要因]・粗雑な行動
・落ち着きのなさ
・集中力の低下
#5.多買傾向
[要因]・金銭感覚、経済観念の欠如
・気分高揚、観念奔逸
・浪費
#6.誇大性による服薬行動の乱れ
[要因]・副作用による苦痛の有無
・薬の必要性の理解の欠如
・病識の欠如
・楽観主義
・際限のない自信
・妄想による内服への不信感
#7.不穏状態による自傷、他害、器物破損
[要因]・他患者への過干渉
・集中力低下、注意散漫
・気分高揚、興奮状態、易刺激性
・思考の促迫化
・誇大妄想や敵対行動
#8.今後への不安
[要因]・生育歴、家庭環境によるもの
・自己の役割の喪失
・現実を直視することの不安
・興奮状態である自己の振り返りへの不安
#9.気分の高揚による無断離院
[要因]・病識の欠如
・環境への易刺激性、気分高揚
・入院の必要性の理解の欠如
・妄想による入院への不信感
・活動性亢進
・看護目標(躁状態)
睡眠・休息・活動のバランスがとれ、他患者とトラブルを起こすことなく落ち着いて安全に入院生活が過ごせる
必要な日常生活を自分で整えることができる
適切な栄養と水分の摂取を回復し、それを維持できる
病識をもち内服の必要性を理解できる
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