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若者の投票率は昔から低いのか?

「若者は投票に行かない」「若年層投票率が低い」

このようにメディアで報道されて久しく、

事実、最新の衆院選(2017年)の20代の投票率は33%であり、

世代別にみると最も低いです。

では、投票率の高い高齢者が20代の頃はどうだったのでしょうか。


□ 昔は高かった若者の投票率

総務省の統計データから、年代別の投票率がどう推移しているのかがわかります。

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https://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/news/sonota/nendaibetu/

結論から申し上げると、昔の若者の投票率は、現在の若者と比べるとかなり高いです。

そしてその投票率の高さは、現在もほとんど変わっていないことがわかります。

下の表は、上記の国政選挙の投票率データより、20代投票率と現在の年齢における投票率とを比較したものです。

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50代~70代の方が20代の時の投票率は60%前後あり、

現在もその投票率を維持しています。

現在の60代以上の高齢者は、当時から投票に行くことが習慣となっていることがわかります。

また、2000年代付近で20代の投票率は急激に落ちており、政治に関心がない若者が増えたのは、20年ほど前からということも興味深いです。


□ なぜ昔は投票率が高かったのか?

若年層投票率がなぜ高かったのか、具体的な研究が見当たらなかったので・・ここからは私見となりますが、、

40年~50年前の若年層投票率がなぜ高いのか、

社会状況の違いから、2つ理由があったのではないかと推測します。

・ 学生運動が活発であった
・ 生活が豊かになり、政治への関心が薄まった


・ 学生運動が活発であった

現在の60代~70代が若い時代を過ごした1960年~1970年は、

学生運動が非常に活発であり、多くの若者が、政治権力への闘争を通して、

政治的関心が高めていったことが考えられます。

現在は政治とは全く関係のない世界で活躍する、

北野武、坂本龍一、テリー伊藤などの有名人が学生運動に関わっていたことを考えると、多くの若者が政治問題に触れていたことがわかります。


・ 生活が豊かになり、政治への関心が薄まった

私の友人の多くは、自分の生活と政治はあまり関係がないと感じているようです。

戦後の日本は高度経済成長から安定期を迎え、

1970年から、40年でGDPは30倍近くになりました。

大学を卒業して定職に就くことができれば、ある程度の生活は保障された社会です。

生活を脅かすような政治状況でなければ、関心が生まれにくいのかもしれません。

そういう意味では、今回のコロナウイルスの対応によって、

学校が休校となったり、職場に出勤できなくなったり、

政治がいかに日々の生活に影響するかを自覚することができたかもしれません。


□ でも、投票率は上がってほしい。


劇的に投票率を改善することは、難しいです。

しかし、若い人には投票に行ってほしい、

と、投票率を見て、選挙のたびに思います。

投票しないことは、「現在の政治に対する意思表示がない」

「民意はない」と判断されるからです。


政治的な世代間の格差は起こり始めています。

例えば、国家財政悪化による消費税の増税です。

財政の悪化によって、増税しなければならないのは理解できます。

しかし、我々の生まれる前から大量に溜められてきた借金の返済のために、

なぜ若い世代が増税されてまで負担しなければならないのか。

消費税が3%~5%の時代を長く生きることと、

10%~15%の時代を長く生きるのでは、生涯負担が違いすぎます。

増税の是非はともかく、そのような世代間の格差が存在するのです。


そんな問題をともに考え、解決していくために、一人でも多くの若い世代の方が、政治に興味を持ってくれるような社会にしていきたいと思います。


とはいえ、政治に関心のある若者が、無関心な若者を批判して

「なぜ行かないのか!」と責めたところで問題の解決にはなりません。

私はたまたま人生において政治を学ぶ機会を得たので、

これからも政治的問題をわかりやすくお伝えできるよう、

日々鍛えてまいります。









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