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21世紀へ #06


 ハンディーマッサージャーの防
水機能にヒントを得て、オムツに
も防水機能を付けたら、どうなる
かと考えたら、グッドアイデアが
浮かんだ。

「そうだ! これに防水機能を付
けて、防水機能付き水着にしたら
どうかな? ねぇ、井上君」
彼女に意見を求めた。

「なんで、水着ですか?」

「いや、オムツではなくて、いっ
そ、水着にしてしまった方が、
オムツのイメージより、良いし。
それに、プールの中で、おしっこ
をしても、この水着なら問題ない
でしょ?」

彼女は、キョトンとしている。
何を言い出すのか、この人は?
と思っているに違いない。

「決めた! オムツではなく、
水着にする。その名も、『水着風
自動おむつ装置』だ」

「それじゃー、やっぱりオムツじゃ
ないですか~。それに、名前が長
すぎます。『アプデパンツ』では
どうですか? アップデートして、
機能更新できるパンツです」

「ふむ。それもいいな。よし、
それで行こう」

 アップデートできるパンツか。
オムツよりは断然、イメージがい
い。しかも、防水機能付きだ。
水の中でも使用できる。
 よし、隠し機能として、エクス
タシー機能を付けよう。
 エクスタシー機能は失敗の中か
ら生まれた、画期的な機能だ。
 これは、確実に売れると確信し
た。

 開発も一区切りついた。
「井上君、開発もひとくぎりつい
たし、ぱーっと打ち上げと行きま
すか」

「はい。わたし、高級料亭でステー
キが食べたいです」

「え? 高級料亭?」

「ええ」と、彼女は当然のように
答えた。

「この商品が売れたら、高級料亭
でも、高級レストランでも、どこ
でも連れていけるけど、今は焼き
鳥屋で我慢して。お願い」

 一応、開発も成功し、商品化の
めども付いたが、この頃には資金
が、乏しくなっていた。
 会社は、まだ二人だが、社員も
増やさないといけないし、量産化
の体制も作らないといけないし、
商品の宣伝もしないといけない。
これから、お金がかかる。

 打ち上げは、赤ちょうちんの焼
き鳥屋で行うことになった。

つづく

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