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市川猿翁さんと私の話

先日、私ミヤガワの話を書かせて頂きました!

その中でサラ~としか書かなかった市川猿翁さんの講義のことを書きたいと思います。
カモンFMのラジオ「30万人のドラマ」でもお話させて頂いたものです。

はてさて、私の母校、京都造形芸術大学(現・京都芸術大学)は何かと話題に富んだ大学でして、在学時もニュースでも聞くような著名な方々が客員教授や特別講師をされていました。
当時、例えば千住博さん、秋元康さん、宇川直宏さん、テイトウワさん、シモーヌ深雪さんなどなど…

ファッションライブの様々な準備をする中で、思い出した講義があります。

先日惜しくも他界された市川猿翁さんの講義です。

たぶん、その講義を受けていなかったら今回ショーを作ることは出来なかったと思います。だってステージなんて全くの未知の世界でしたから。
あの時、どのように舞台が作られるかを見れたから、今回ファッションショーが出来たんだと思います。

その講義では日本の様式美についてのお話、
演出のボリュームの置き方、バランスなどの話をよく覚えています。

例えば、歌舞伎では見得を切ることからも分かるように、動きを止めて魅せるという様式があります。
歌舞伎に限らず、日本ではTVのドラマや特撮、バラエティーの演出においても、ピタッと止めることで区切りを作ったり、拍手や盛り上がるポイントを作ったりしますよね。
これは、西洋には無いものだったそうです。西洋では常に緩慢と動いていて、終幕の場面でも動きがあるのだとか。

アニメーションでも、ディズニーや海外のアニメって凄く動いている印象ありませんか?
日本のアニメの場合は、動くときは動き、止まるときは止まる、緩急があるのが特徴と言われていました。
それは作り手が少なく膨大なコマ数を描けなかったのもありますが、歌舞伎や能といった止まって魅せる様式美があったからこそ、という面もあるんだろうなぁ~と、このお話を聞いて思ったりしたものです。

市川猿翁さんはその歌舞伎の様式美や演出技法を用いて、オペラ『影のない女』の演出をされたこともあります。
「やっぱりこのピタッと止まったほうが格好良いですよね、それを西洋の方も分かってくださいましてとても好評頂きました」と、舞台の映像を用いてお話してくださった姿を覚えています。

それから、舞台上の役者は
「たっぷりたっぷりじゃない方がいいんです」という言葉。
全員の役者が気合をこめて、張り切ってやると、重くなるのだと、
だから主役は「たっぷり」しても脇役は「あっさり」ぐらいがいい。
そのコントラストがある方がいい。

その頃若さもあり頑なに「全てに気合を込めた渾身のものでないと」と張り詰めていた私は、その言葉にアッなるほど…と腑に落ち、それからはその美学というのは心のどこかに留めています。

これが今回どのように活かされたかというと…

今回のショーでは、ウォーキングは基本的にはモデルさん自身におまかせしたのですが、途中止まって魅せる所を作ってほしいことをお伝えしました。やっぱり歩き続けるより、その方が見栄えがありますし、見応えもあったように思います。

また、最後のドレスがランウェイを歩き、雰囲気をたっぷり作った後は、
エレクトーンの盛り上がる演奏に合わせてモデルさんが出てずらっと並び、演奏の最後の音で打ち上げのようにフィナーレになるような演出にしました。

これは、ランウェイの緊張感から解き放ち、ご観覧の皆さまの感情を拍手に変えてワッと出せるタイミング狙ったものでした。
ご観覧の方にも心地よさと感動が残ったんじゃないでしょうか!?

実はこの市川猿翁さんの講義、たった3日間のものだったんです。
その3日が今回のステージに大きな指針をもたらしたなんて、
本当にどうなるか分かりませんね~😊

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