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なぜ今リベラルアーツがビジネスに必要なのか

夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、計画なき者に実行なし、実行なき者に成功なし。故に夢なき者に成功なし。

吉田松陰

現在のビジネス環境

昨今世の中の変化が激しく、VUCAの時代と呼ばれています。VUCAはVolatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字から作られた造語です。この時代背景の中でリベラルアーツが必要と言われ始めたのはなぜでしょうか。

リベラルアーツの起源

リベラルアーツを語源まで遡ると、リベラルはラテン語のLiber(自由な)、Artsはラテン語のArsです。Arsを辞書で引くと、「アート」とは異なりとても広い意味があることがわかります。

1. skill, craft, art
2. trick, wile
3. science, knowledge
4. method, way
5. character

https://www.online-latin-dictionary.com/latin-english-dictionary.php?parola=ARS

リベラルアーツの起源は古代ギリシア〜古代ローマの頃まで遡ります。当時はヒトが自由人と非自由人(奴隷)に分かれていました。そこで、人が「自由になるために身につけるべきもの」としてリベラルアーツがありました。

リベラルアーツを構成する自由七科

リベラルアーツは数学、幾何学、天文学、音楽、文法学、論理学、修辞学の7つからなります。この内、数学、幾何学、天文学、音楽の四科をクォードリヴィウムと言い、文法学、論理学、修辞学の三学をトリヴィウムと言います。

リベラルアーツを学ぶことで何が身につくのか

四科に共通するのは、数に関係する計測することができる目に見えない法則や真理があるということです。音楽も音階の歴史を古代ギリシアのピタゴラス音律まで遡ります。つまりは、四科を学んで身に付くスキルとしては、目に見えないものの法則や真理を探求してモデル化し全体像を把握する能力だと言えます。また、それだけではなく四科それぞれは個別のものではなく相互に作用しています。幾何学で学んだことをもとに音楽を違う視点から見るなど、視点移動を行うメタ認知能力の向上も期待できたでしょう。
そして、三学では人に物事を魅力的に伝えるための表現方法を身につけることができます。
これら七科を学ぶことで自由人となって職業選択の自由が手に入り、ようやく専門的な知識を学ぶことができます。

現代では何を身につけるべきか

上記の能力は、現代でいうクリティカルシンキングやロジカルシンキング、メタ認知能力、そしてプレゼン力、語学力などのコアスキルとなるでしょう。

問題を見つけるには、まず将来の理想の姿(夢)があること

未来を予測する最善の方法は、自らそれを創り出すことである。

アラン・ケイ

VUCAの時代はこれまでよりも問題発見力が求められてくると言われています。これは問題自体が短期間のうちに変化し、不確実で複雑であり、曖昧になっているため、何に取り組むことが最善なのか分かりにくくなっているからです。そしてこのような環境の中で5年後や10年後の外部環境を予測し、外部環境の情報によってビジネス計画を立てようと思っても困難でしょう。自身で将来の理想の姿を定義し、そこへ辿り着く方法を考え計画しロードマップを作成して人に伝えていく。その時にリベラルアーツで学ぶコアスキルが役立つのでしょう。