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「パクるな、オンリーワンになれ」ど素人さん流・TikTokをバズらせる3つのポイント

インフルエンサープロダクション・VAZの創業者であり、現在はSI株式会社とMisfits株式会社の2つのマーケティングエージェンシーを経営する森泰輝が、TikTokで活躍するクリエイターとの対談を通じて「SNSの可能性」を探っていく連載ブログ「森泰輝のTikTok道場」。

今回の対談相手は、『ど素人ホテル再建計画@沖縄県恩納村』として活躍されているTikToker、通称・ど素人さんさんです。

ど素人さんは、お金を一切かけずに、SNSの力だけで、経営危機の大赤字ホテルの再建に挑戦中。TikTokアカウントはフォロワー数6万人突破し、1コンテンツの最高再生数は300万回を超えるほどの人気を誇っています。

ホテルのアカウントだけでなく、あらゆる業種のアカウントで“バズ”を連発するコンサルタントの顔も持つど素人さんは、いったいどのような視点でSNSを成長させているのでしょうか。

界隈ではその名を知らない人はいない凄腕TikTokerに、ホテルの再建を任されるきっかけから、オリジナルな“バズらせ術”まで、余すところなくお話を聞きました。

執筆:池田 美空 編集:オバラ ミツフミ

経営未経験の“ど素人”がホテルを再建するわけ


森:
ど素人さんのTikTokアカウント「ど素人ホテル再建計画」が大バズりしていますね。そもそも、どのようなきっかけで赤字ホテルの経営を始められたのでしょうか?

ど素人:手がけたSNSが大バズりして、その様子を見たホテルの方が連絡をくれたんです。

話すと長くなるのですが、もともとは旅人としてSNSで発信活動をしていました。しかし、新型コロナウイルスの影響で西アフリカの孤島に閉じ込められ、自由な発信活動ができなくなり、仕方なく現地の人向けにTikTok動画を配信し始めたんです。

お金を稼ぐ手段がないのに、飛行機が飛ばず日本に帰れないという危機的な状況を脱するべく、「この国で有名人になってやろう」と立ち上げたアカウントでした。

これが大バズりして、地元のメディアに取り上げられたかと思えば、ニューヨークタイムズをはじめ世界的なメディアでも取材していただき、日本の大手テレビ局にいたってはほとんどニュースにしていただきました。

最終的には現地の大統領が出演するPVを作成するまでになり、その様子を見たホテルの方が、「うちのホテルを再建してくれ」と連絡をくれたんです。

森:ホテル経営未経験のど素人さんに再建を頼むまでのストーリー、興味深いですね。動画製作など、クリエイティブ系の仕事をした経験はあったんですか?

ど素人:動画製作とSNSの運用コンサルは経験していました。ホテルの再建といっても、できることから始めたというのが正直なところです。

最初は「ホテルを買ってください」と依頼されたのですが、ハネムーンから帰ってきたばかりで金銭的にもキツく、今でも一人の社員として経営を担っています。

森:じゃあ、社員契約をして、ある程度の予算をもらって、経営をしている……?

ど素人:予算はゼロです。再建にかけた費用は僕の人件費だけなので、実質的に1円もかかっていません。すべて協賛で成り立っています。

アカウントをバズらせる不変の法則


森:
協賛だけでホテルの再建をスタートできたのは、やはり「僕はいきなり沖縄の大赤字リゾートの再建を託されたど素人です」という一言の破壊力が大きかったように思います。動画のフォーマットは、どのようにして開発されたのでしょうか?

ど素人:そもそも、TikTokには“バズる法則”が存在します。答えは「稀有度の高さ」です。動画のクオリティが高いとか、高い機材を利用していて画質がいいとか、そうしたポイントはあくまでサブ要素。稀有度こそが、バズるかバズらないかを分ける最重要点だと考えています。

例えば、「かわいさ」。ルックスに上下は存在しませんが、もし「日本で最もかわいい人」がいたとすれば、無条件でバズるはずです。でも、「日本で1000番目にかわいい人」はバズらない。これは、稀有度の問題です。

森:ど素人さんがバズったのも、稀有度が高いからなのでしょうか?

ど素人:「ど素人が経営」「視聴者と経営」「大赤字から再建」「成功までの過程」というキーワードを組み合わせたことで、稀有度が高くなり、バズにつながっています。

もちろん組み合わせが重要で、僕の場合はどれも視聴者が気になるキーワードだったので、こうして注目していただけています。

森:僕はTikTokを運用するにあたって、まずは人気アカウントをTTP(徹底的にパクる)することを推奨しています。稀有度を一旦捨ててでも、真似することで運用に慣れていく必要があると考えているからです。ど素人さんとは意見が異なりますが、TTP戦略に関して思うことはありますか?

ど素人:いざ自分で運用するとなると、もちろんTTP戦略は優れたアプローチだと思います。

ただ、TTPだと突き抜けられないんですよね。アカウントをいい感じに伸ばせても、本家を超えることはできない。そう考えると、コスパが悪いと思ってしまうんです。

森さんも、本当はオンリーワンが最も優れた戦略だと思いつつ、難しいからきっとTTPを推奨していますよね?

森:おっしゃる通りです。ただ、SNSのプロでもない限り、オンリーワンのアカウントをつくるのは非常に困難なので、あえて「TTPしろ」と伝えています。

ちなみに、オンリーワンのアカウントをつくるために、ど素人さんが意識していることってありますか?

ど素人:とにかく「自分を知る」ことです。現在25を超えるアカウントのコンサルをしていますが、すべての企業を徹底的にリサーチしています。事業内容はもちろん、スタッフさんのことも深掘りして、オンリーワンになれるポイントを見つけるんです。

ど素人さんが注目するTikTokアカウント


森:
ど素人さんが持っている“バズらせテクニック”も気になります。こっそり教えていただけませんか……?

ど素人:僕はコンセプト設計を重要視しているので、魔法のようなテクニックは持っていないのですが、「最初の2秒で結論に近い話をしてしまう」というのは必勝法です。

結論ファーストにしつつ、それでも続きが気になる構成にすることで、視聴維持率を高めています。

また、人間は「ストーリーに興味を持つ」生き物なので、コンサルを手がけるすべてのアカウントにストーリー性を持たせています。

ただ打ち上げ花火的にバズっても仕方がなく、継続的に観てもらえるからこそ意味があるので、「興味を持ち続けてもらえるアカウントになっているか」は強く意識していますね。

森:僕もTwitterで日々TikTokアカウントの紹介をしているのですが、コンテンツにうまくストーリー性を盛り込んでいる「アノニマス/Anonymous」さんに注目していました。アカウントそのものにストーリー性があるわけではないものの、コンテンツにはストーリーがあるなって。

ど素人:アノニマスさんはうまいですよねー。彼のコンテンツにはショート動画の本質が詰まっていると思います。

ただフォトグラファーとしてストリートスナップを乗せるのではなく、道端で声をかけ、会話を交わし、そのやりとりまで公開しているスタイルは、ストーリーテリングそのものです。

同じ路線でいくと「大変身ちゃんねる」にも注目しています。ただビフォー・アフターを紹介するのではなく、「家族と絶縁」「友だち0人」など必ず冒頭に演者のストーリが開示されるので、感情移入して最後まで見てしまうんですよね。

YouTubeアカウントも開設していますが、TikTokを観た後は、短時間では語りきれなかった魅力の虜になっているので、必然的に長尺動画まで観にいってしまうんです。

森:ただストーリーがあるだけではダメで、やはり応援されるストーリーじゃなければ意味がないですよね。

過去にど素人さんのフォーマットを真似たコンテンツでバズっているアカウントを見つけたのですが、反感を抱かれても仕方がない目立たせ方をしていて、コメント欄に批判の声が相次いでいました。

ど素人:応援してもらうには“ザコキャラ感”が重要です。それこそ森さんがツイートしていましたが、電車男のように「素直でいいやつだけど情けない」タイプは、やはり応援されます。

僕も“ど素人”とか“大赤字”とか、とにかくどうしようもない状態からスタートしています。これがホテルを経営した経験があり、お金をかけて再建するのであれば、これほど応援していただけなかったはずです。

それでいて、黒字化を目指して少しずつ経営状況が改善されているので、ストーリー性もある。この振り幅は、アカウント運用における重要な視点だと思います。

TikTokerであり、視聴者であれ

森:今日はたくさんお話ししていただいて、どうもありがとうございました。ちなみにど素人さんは、これからどんなキャリアを歩んでいくのでしょうか?

ど素人:ど素人ホテル再建計画」を始めたときは、ちゃんと実績を残して、ホテルの再建を手がけていこうと考えていました。コロナ禍で経営が厳しくなったホテルはたくさんあるはずで、僕にとってはビジネスチャンスだと思っていたので。

ただ、ショート動画界隈で話題をつくれたので、これから先も裏方としてコンサル業を続けていきたい気持ちもあります。もともと表に出るのが苦手な性分なので、コンサルをしながらバズを生み出していく仕事は向いているので。

森:SNSコンサル起点で事業を生み出していく道もありますよね。絶対にバズらせられるなら、業界を問わず事業をつくれるはずなので。

最後になりますが、記事を読んでくださっている読者の方に向け「TikTokを運用するうえで、これだけは忘れないでほしい」ポイントを教えてください。

ど素人:「視聴者としての感性は武器になる」とお伝えしたいです。

いちユーザーとしてTikTokを利用しているときって、「つまらないからスワイプする」「おもしろくて最後まで観ちゃう」ということを無意識にしているはずです。この感覚を丁寧に紐解いていくと、人がなにに興味を持つのか、どうすればおもしろいと感じるのか……といった本質が掴めます。

それらを自分の強みとかけ合わせれば、オンリーワンなアカウントがつくれるはずです。

◾️ ど素人さんのTwitterアカウントをフォローしよう!

◾️ TikTok運用に困ったらSI株式会社に相談しよう!

SI株式会社は、ヒカルやラファエルなど有名YouTuberを輩出したインフルエンサープロダクション・VAZのファウンダーであり、アジアを代表する30歳以下のリーダー「Forbes Asia Under30」Media, Marketing & Advertising 部門に選出された森泰輝が代表を務めるマーケティング・エージェンシーです。


Misfitsの森泰輝です!誰もがSNSのパワーを享受できる未来に向けて事業を創っています。書いてほしい記事のリクエストがあれば教えてください!