【自己紹介】ジャンルで区分されるのが嫌な作家のこれまでとこれから(2024年6月更新)
初めまして。野上大樹のnoteページへようこそ。
ぼくは第20回歴史群像大賞の優秀賞を経てデビューした小説家です。
名前は「野上大樹」。本名です。
実は、デビューしてから8年間は霧島兵庫という筆名で執筆してきました。しかし目立った結果を出せなかったことから、2023年に改名、というか腹をくくって本名で戦うことを決めました。プロOKの新人賞を獲得しての再デビュー、というわけでもなく、ぬるっと、いつの間にか名を変える。とある編集者いわく、「聞いたことないよね」だそうです。
これまでに「甲州赤鬼伝」「信長を生んだ男」「二人のクラウゼヴィッツ」「静かなる太陽」の4作品を霧島兵庫名義で出版しています。野上大樹としての第一作は本年6月26日発売の「ソコレの最終便」となります。
ぼくの作品はいずれも史実を材に取った作品です。このため歴史小説家というカテゴリーで括られがちですが、正直なところぼく自身はそういうジャンルに区分されることにしっくりきていません。
というのも、ぼくは「戦い」を描くことにはこだわりがありますが、歴史を描くことにこだわりはないからです。
歴史でもSFでもファンタジーでも事情は同じだと思いますが、創作上のジャンルとはあくまで舞台であり、その舞台上でなにを描くかが作家としての腕の見せ所になると考えます。
ぼくが描きたいのは歴史というより人間。それも戦いの渦中に身を置く人間たちの熱くて哀しいドラマです。
美しいものはより美しく、醜いものはより醜く、命を削るような極限状態だからこそ顕わになる人間性。ぼくはそこを突き詰めたいと志す小説家です。
これからのnote記事について
ざっくりとしすぎて恐縮ですが、方向性としては「創作にまつわるあれこれ」を書いていこうと思っています。
デビューからこんにちまで、商売的にも技術的にもけっして順風と言えるような状態ではありませんでしたから、一作品作るたびに、悲喜こもごも語り尽くせぬ出来事がありました。
そこで得たこと、学んだこと、感じたこと、そして現在の取り組みなどをお話しできればと思います。
以下、既刊本紹介です。
第一作
「甲州赤鬼伝」(文庫化済み)
設楽原の大敗北から始まる英雄譚。父と兄を失い、十四歳にして戦国最強を謳われた赤き鎧の軍団、「赤備え」を率いることになった甲州武田家・山県昌満の戦いを描く。
→短くも激しく生きた主人公の清冽さが、「エモい」と言われることが多いです。ラストバトルは鳥肌もの……らしい。
第二作
「信長を生んだ男」(文庫化済み)
兄が猛虎になるなら、おのれは猛虎を支える龍となろう。織田信長の弟「信行」の孤独な戦いを描く戦国悲劇。
→兄のためにすべてを犠牲にする、という弟の自己犠牲を「刺さる」と言ってくれる方がちらほら。兄弟BLかよ、とおっしゃる方も。
小説で初めて泣きました、と言われたときは、こちらも泣きそうになりました。
第三作
「二人のクラウゼヴィッツ」
(文庫化にあたって『フラウの戦争論』から改題)
名著「戦争論」誕生の陰には知られざる夫婦愛があった。プロイセンの軍人クラウゼヴィッツとその妻マリーによる語らいを織り交ぜ、ナポレオン戦争における六つの戦いをたどる思索と戦記の旅。
→小説新潮で連載された作品です。コミカルな夫婦愛にニヤニヤする、という感想が6割、リアルな戦場のドタバタ劇が楽しい、という感想が3割。騎兵突撃万歳!という熱い方が1割。
難解な戦争論に挫折した方がよく立ち寄ってくれます。戦争を学びたい者よ、来たれ!
第四作
「静かなる太陽」(文庫化済み)
誕生間もない明治日本が直面した国際危機「義和団事件」。暴徒に取り囲まれ、北京に取り残された11カ国の人々は55日間の籠城戦に突入する。敵は数万、こちらは500人。
会津と侍、ふたつの滅びを背負った男、陸軍武官・柴五郎中佐は彼らを守り切れるのか。
→守る者、攻める者、そして救わんとする者の三視点で描いたことから、義和団事件の全貌がわかりやすい、一気読み、と言われることが多い。
失われる人命、軍人同士の友情、日本人になりきれない男のアイデンティティーなど、抑えた筆致だからこそ、ぐっとくる、と言ってくれる方もいました。
第五作
最新刊「ソコレの最終便」2024.6.26発売
集英社の小説すばる「2022年6月号〜2023年1月号」において連載された作品です。
昭和二十年八月、ソ連軍の侵攻によって大混乱に陥る満洲を、特命を帯びた装甲列車が駆け抜ける。疾走距離2000㎞、タイムリミットは7日間!!
→連載時は霧島兵庫名義でしたが、単行本発売の際には野上大樹の名前で売り出されます。なぜか僕の誕生日である6月26日(水)発売です。ちょっと値がはりますが、デビューから9年の成果を全部ぶつけた渾身の一作です。興味を持っていただけたらうれしいです。
以上、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
今後、ぽつりぽつりと記事を投下していきますので、またお立ち寄りを!
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