【短編小説】アイコの想像力は工場まで届く
機内食の五目焼きそばには、まったく具が入っていなくて、油まみれの味気ない単なる焼きそばだった。これだからユニット航空は乗りたくない。
上司との短期出張を終えて、サンフランシスコから帰国の飛行機に搭乗していた。
俺はタケヒロ。大手通信会社で働く26歳。大学では情報工学を専攻し、通信技術の研究をしていた。入社して3年近く経過し、昨年新規事業を担当する事業開発部に異動になった。1年目の頃は慣れない仕事に必死。週末もビジネスや会計の勉強に費やし、学生時代から付き合っていた恋人とも