シェア
川島 太一
2024年7月6日 13:44
「これ、なに?」 週末に帰省していた私は実家のリビングにぶら下がっているものを見て尋ねた。 それは青い網でできており、籠のようで三層のそれぞれの面には何やら不格好な黄色いものが並べられていた。「それ? ああ、お父さんが作っとる干し芋やがね。好きなの食べやあ」 新聞を読んできた母は顔を上げて、さも当たり前のことのように答えた。 定年退職するまで父が台所に立つ姿をあまり見たことがなかった。