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川島 太一
2022年7月1日 22:41
「お父さん、さつきが何かくわえとるよ」 父とともに散歩から帰ってきた愛犬を見て、私は言った。「それな、さっきから離さんのや、どれ」 そう言って父はさつきの口に手を伸ばした。 さつきが我が家へ来たのは30年以上も前(この事実に一番驚く)私が中学生の時だった。マイホームを建てたはいいが、数年後に単身赴任になってしまった動物好きの父が、母に黙って保健所からもらってきた犬だった。「保健所に元気