【三宅香帆】なぜ働いていると本が読めなくなるのか【読書感想文】
この本は「私たちが働き始めると本を読めなくなってしまう理由」を教えてくれる本です。
必ずしも時間がないから本が読めなくなったわけではない
著者は本が読めなくなったのは、もっと社会構造的な問題だと指摘しています。
ようは、社会人一人ひとりの関係性のことになります。
仕事に全身全霊で取り組むことを求められすぎている
私たちはプライベートや趣味よりも仕事を第一優先にするべきだし、仕事になにより時間を使うべきだと考えています。
そういった考え方が趣味ができないくらい働きすぎてしまう1つの原因になります。
今は働き方改革でブラック企業も減ってきているし、必ずしも会社が大変な労働を強制しているわけではない。
それに今は休みたければ休めるし、残業したくなければやめられる。
どうしてもやめたければ退職代行を使うからです。
それでも私たちが仕事第一で働きすぎてしまうのは、「プライベートを犠牲にしてたくさん働く事が素晴らしい、かっこいい」と思い込んでいるからです。
本は自分が望んでいない情報が入っていることが多いから
今は良くも悪くも、なるはやでコスパよく「正解」に到達する事が求められています。
またSNSもネットも自分で検索して調べるわけなので、自分の好みにあったものや望んでいる情報ばかりが出てくるがことが多いです。
このように多くの人はなるべく早く実生活や仕事で役に立つ情報をコスパよく摂取したいわけです。
だが、本には自分が望んでいない情報、または役に立たなさそうな情報、この本ではそのことをノイズとよんでいますが、そういうノイズが混ざってしまうことが多いわけです。
読書は長い上にどんな情報が向こうからやってくるのかわからないために、なるべく早く仕事で役に立つ情報をコスパよく摂取したい人にとってはコスパが悪いと感じられます。
そのため、「本が読めなくても」ビジネス書や自己啓発本をチェックしている人はたくさんいます。
自己啓発本には、自分が望んでいない情報やノイズが少ないからです。
働いてもなかなか楽にならない社会の格差
特に現代では、短い時間でたくさんのお金を稼ぎ出せる人と、働けど働けどなかなか暮らしが楽にならない2極化が進んでいます。
そして、親が金持ちかどうかという要素によって余裕がある暮らしができるかどうかも決まってきます。
働いてもなかなか生活が楽にならない人たちは、当然時間もなくなるし、本や釣り、旅行などの趣味をやる余裕さえなくなってしまいます。
結果的に「仕事をするために生きています」みたいな、仕事がすべての生き方になってしまいがちになります。
一方、そこまでハードに働かなくても余裕を持って暮らしていける人は、平日昼間からスタバで本を読めるし、その本がすぐに自分のやっている仕事に役に立たなくても、楽しめるわけです。
全身で働かずに、半身くらいで仕事や趣味にコミットする
ようは、全力で仕事をするのではなく、その半分くらいで仕事に取り組むということです。
この本では、具体的には週3日勤務で正社員になれるくらいがベストだと指摘しています。
まずは、仕事に全力出している人は他者にも全力を求めてしまいがちですが、自分が半分くらいの仕事をしていれば、他者への要求が高くなって人間関係が悪くなることを防ぐことができます。
半分くらいの仕事をしていれば、燃え尽き症候群や適応障害、うつ病になりづらいですし、自分の居場所が増えて心のゆとりが出てきます。
今の時代は、男女ともに仕事と家事、育児を担当する時代なので、より半身で働くことが求められています。
1つのことをにコミットしすぎるのを称賛するのをやめる
まずは、サラリーマンが徹夜して無理をして資料を仕上げたことを褒めるのをやめて、お母さんが日々自分を犠牲にして子育てしていることを褒めるのをやめる。
日本に溢れている「全身全霊」「頑張りすぎ」「身を粉にして働く」ことを褒める文化をもういい加減にやめませんか?ということです。
仕事以外のことにコミットできていない状況に疑問を持ち、「バランス」を意識する
学生時代に趣味を楽しめていたのに、社会人になった途端に仕事以外のことができなくなるのってどう考えてもおかしいからです。
食事もパスタや中華、寿司、ラーメンなどバランスよくさまざまな種類を楽しむように、人生も仕事ばかりすることに疑問をもち、もっとバランスよくいろんなことを取り入れるべきだと思います。
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