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銭函

この前、小樽に行ってきた。小樽は友達と2人で巡った。最終日は各自の行きたいところに散らばり、札幌駅に集合した。

私はまず銭函駅で下車した。

銭函駅はエアポートライナーが通過する駅のため、小樽に行ったことのある人でも知らないかもしれない。小樽→札幌方向で温泉で有名な朝里駅の次である。車窓が海で埋め尽くされる区間の終了地点だ。

銭函駅には名前のゼニバコから連想されるように銭箱っぽいものが飾られている。銭函の由来も銭箱にあるらしく、綴りが少し違うくらいだ。

改札を抜けるとすぐに海岸線に出れる。道1本挟んで海だ。

私の目的地は駅から朝里方面へ線路沿いを歩き続けると到達できる。線路と漁師小屋の間の狭い道を抜けると海岸に出る。この海岸はただの海だ。何の変哲もない。

ただ1つ異なるところはサーフィンできる波が立つことだ。

小樽へ向かう初日の車窓から、胸サイズの波がブレイクしているところが見えた。サーファー・SUPが1人ずつ。波を2人占めしていた。ブレイクの形が完璧であり、一瞬で脳裏に焼きついた。まさか北海道に来てサーフポイントを発見できるとは。

この日はあいにく波はなく、うねりだけが浜辺に打ち寄せていた。ただうねりの形がサーフポイントであることを物語っていた。満潮のタイミングであったから、引き始めれば波が立つのでは。ましてこの日は大潮なだけに期待できた。

流木に座って写真を撮ったり、スケッチしていた。人はいなく、20分に1度くらい電車が走っていく。とても落ち着いた光景だった。

小樽もどちらかと言えば人の少なめな観光地であった。だがどこかしらに人が常に存在し、静寂は感じられなかった。銭函の海岸では何しても人から見られる心配がない。開放感に溢れていた。

求めていた場所・景色に巡り合ったと感じられた。

地元の人が生活するために少し触ったくらいの田舎。観光客のために整備されていない風景。これを求めていた。

小樽では良くも悪くも観光地化されている。PayPayで支払える・トイレのほとんどにウォシュレットがついているなど利便性は増しているが、田舎に流れるゆったりした雰囲気が失われつつある。

銭函ではそれが生きていた。

直感頼りの途中下車が1番求めているものを手繰り寄せてくれた。銭函が小樽旅行をより充実なものにしてくれた。

また小樽や札幌に来るときはサーフボードを持ってこよう。

ウェットスーツもセットで。

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