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さしみのおつくり

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かつおのたたき
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2021年3月の記事一覧

豚恋(とんれん)

大学時代に一度だけ、対面人狼をプレイしたのが人狼というゲームを知るキッカケだった。
あの日風邪を引いたりして、もしその場にいなかったなら、私はあの豚と皆を知り合わせることがなかっただろう。

前回スポットを当てた彼女が、アプリで人狼が出来るよ、と"人狼オンラインX"というアプリを紹介してくれた。
家にいる時も一緒にいる時もプレイしていた。

別れてからはしばらくやらなくなってしまい、YouTube

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真実

「どういうこと?」と引きつった顔であの子に聞いた。
腹部を擦りながら『お腹痛い!お腹痛い!』が最初の言葉だった。
そんな三文芝居をただただ無言で見つめていると、『あなたのことで相談に乗ってもらってただけ、本当に何も無い。ただの友だちだよ。』と答えた。
前科、と私が表現できる立場なのかは分からないが、そのことが脳裏によぎった私は、「お前からマッチョに電話かけてみろよ。」と、怒り気味に言った。
開口一

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結末

『寝言でしょー(友だちだった頃の呼称と違う)の名前呼んでたよ、ってママに起こされた笑』
『明日やっとしょーに会える、幸せだ。』
『あー好きだなー』

目眩がした。
十中八九クロだとは思っていたが、一縷の望みは無残にも打ち砕かれた。
マッチョって呼んでたのに、なんかしょーって呼んでるし。
覚悟していたとはいえ、ダメージは大きい。
あの子のこれらのツイートに対して、マッチョも裏アカウントで返信している

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墓穴

大学生活において二度目の春が訪れた矢先、純さんとモカちゃんカップルとマッチョとアキちゃんカップルが破局を迎えた。
私はというと、あの夏の日の出来事を周囲の友人たちに漏らさず一人で抱えていた。それなりに時間は経っているので自分の中では風化しつつあった。

マッチョはアキちゃんと付き合う前までは交際経験が無かったと言っていた。
アキちゃんの傍若無人かつ自己・他者に対する心無い行動に耐えかねて別れを決意

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言い訳

付き合い始めて3ヶ月ほどの出来事であった。
心臓がスンッとなる感覚になりながら、理由を訊ねた。
端的に言うと、『私は留学したい。なので勉強と留学資金を貯めるために塾講のバイト頑張りたい。好きだけど恋愛は負担になる。』とのことだった。

私は食い下がった。
「好きならそのままでよくない?私は会いたいとかデート誘ったりしないからそのままの関係は継続でいいじゃん。」と言った。
すると、『束縛したくない。

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免罪符

あの時から止まっていた時間が再び動き出した瞬間だった。

かつて公開したその時のやり取りである。
青が私で、赤があの子である。
私の家へやってくることが決まってから気が気でなく、ソワソワしていた。
洗濯物をただ一箇所にまとめただけだったり、片付けと呼べる代物ではなかった。
彼氏が居たため遠慮していたのかどうかは分からないが、付き合いのあるグループの友人の中で私の家をその時まで訪れていないのは彼女だ

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オブラートで避妊

私はほんの数秒、硬直したのではないか。
でも腕枕くらいノリで異性の友だちとするよね、変に意識しすぎなんだよね。
いや、恋愛経験値がトキワタウンのマンキーくらいしかない私の心はおそらく違うと言っている。

「大丈夫なの…?」と彼女に問う心配のていを装っていた私の顔はおそらくニヤけていただろう。
『大丈夫。』と彼女はそう答えた。
しばらくは、「今日は楽しかった、私はやっぱり地方から来てるのが丸わかりな

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理性

フレッシュマンセミナーと名を称したその行事の目的はよく分からないが、おそらく新入生同士の親睦を深めようとかそういうことなのではないかと思う。
1日目は、3年生の学生リーダーが我々を引率し、横浜の施設を数箇所巡って、2日目の朝に1年生147名の前で横浜の施設についてプレゼンテーションするといったものだ。そこそこいいホテルのダブルの部屋に泊まり、プレゼンテーションの総評などへ経て解散という流れだった。

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ワンチャンあればワンチャンいく

初講義当日になり、私は純さんと共に登校した。
「対面では全然話せないのにハメ外しすぎちゃいました。ハードル上げすぎちゃったかもしれません。緊張します。」
『まぁそんなもんよ。』
みたいな会話をした気がする。

学校へ着くと、「着いたー!集合場所行きますー!」とグループLINEを飛ばした。
集合場所で待っていると、ぽつぽつ人が集まりだした。
あらかじめ、「アッドモ タイチャンデス」と初めてのオフ

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浮かれすぎて空飛んじゃってるよ

(※記憶が曖昧なところは辻褄が合うように、適当に補完しています。)

「なんかキョドっているし、おかしな人なのかも」と桜色の女神はそう言いたげな目で私を見ていた気がした。

お昼になった。
レン兄の元へと足を運ぶ。
「なんか色々大変そうですよね。」と私が言うと、「大変だ。お弁当を忘れてしまった。」と彼の口から返ってきた。
「母が惣菜パン大量に買ってきてくれたんですけど、食べるもの無かったらどうぞ。

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三文小説

現在私は骨が露出するほどに、親のスネをかじる生活をしている。
そんな私でも、数年前は大学進学を機に上京し、一人暮らしをしていた。
一抹の寂しさと溢れんばかりに開放感が支配する四年間を過ごした。

一度目は入学試験、二度目に大学構内へと足を運んだのは、「履修登録はこうやりますよ、学生らしい生活態度はこんな感じですよ。」などもろもろの説明を10時から13時くらいまで受けるオリエンテーション・ガイダンス

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