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幸福主義とメディア

 「幸福主義」とは、2016年に雨音多一が提唱した言葉で、「ポスト資本主義の一形態」を指した用語である。

 資本主義社会は、「大量生産・大量消費」を前提とした社会形態であった。これに対して幸福主義は、「小ロット・小生産・多品目生産」の社会である。そこに至るには、インターネットによる流通の革命的な進歩が必要であった。個人の好みが多様化し、インターネットを使って個別に注文・購入が可能になった。

 これ以前の資本主義社会では、TVによる宣伝が強大な影響力を持っていた。例えば「午後も◯◯ お◯◯◯◯りテレビ」で、「ココアが体に良い」と放送されれば、その日の午後スーパーマーケットのココアが完売する。「ゴマが良い」と放送されれば、売り場からゴマが無くなる。このTVというマスメディアの影響が非常に大きかった昭和後期・平成前期には、商品の大量販売・大量消費が起こっていた。

 それから時を経て、インターネット文化が隆盛してきた現代のメディアでは、違った様相を呈している。ツイッターやYoutubeの影響力が非常に大きくなった現在。インターネットはTVやラジオに匹敵するメディアとなり、個人のニーズを汲み出すようになったのだ。そして消費者とマスメディアとの新しい関係の構築が行なわれはじめている。

 マスメディアが、インターネットの影響を受けて変わり始めているのではないだろうか。例えば、ある朝情報番組では、街角インタビューが非常に多く見受けられる。別な情報番組では、ツイッターによる投稿がTV画面の下に流れている。資本主義時代のスタジオを中心とした番組から、幸福主義時代では人々の行き交う街の息づかいが分かるような番組構成になっている放送が多いのではないだろうか。これはメディアの発信する情報が、インターネットを用いて、フレンドリーかつ双方向的に変化している事例ではないだろうか。

(結)

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