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秋の夜長、冬の夜伽

呼吸を忘れてしまうことを
溺れる、と云うらしい。
青白く光る携帯端末からの発信を
大した信仰心もなく眺め
顔のくすんだ洋酒で流し込む。

感情の波から滑落することを
退屈、と云うらしい。
小一時間ほど前から隣にいる人と
他愛なくかわした言葉が
身体に回りはじめた酔いを深めていく。

お月様
たまには頬紅でも塗って、微笑んでみちゃくれないか
嗤い話の一つも用意しておくから。
まともな頭の日にでも、考えといてくれないか。

心音は単音なのだけれど
鳴らされた跡を、なぞる様に余韻。
初めて認知したものを母と、信じ沿う
産まれたての雛のように。
様々なものは、完全なる個を望むのだけれど

お月様
たまには頬紅でも塗って、微笑んでみちゃくれないか
嗤い話の一つも用意しておくから。
まともな頭の日にでも、考えといてくれないか。

呼吸を忘れてしまうことを
溺れる、と云うらしい。
酔いが回りきった思考世界から、薄暗い酒場に戻ってくると
隣には、憂いの残り香だけがあった。
確かに呼吸を一つ消化し(それもやや深めの)
早々に店を出ることにした。

お月様
一通りご覧になったこの酔い様を
慌てる、と云うらしい。

『秋の夜長、冬の夜伽』

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