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今のまま、以外を選ぶアーティストたち

アーティストに、追い風が続いている。
ゼロから1を生む “表現者” たちが求められる時代に、選べる未来が分岐し続けている。今日の活動に悲観しているクリエイターがいたならそれは、方法に気付いていないだけだ。警戒している場合じゃないそこにはもう、先人がいる。必要なのは、覚悟だ。

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太一(映画家):アーティスト業界情報局
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日本未発表の国際映画業界情報 あるいは、
監督がスタジオから発する生存の記
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『 最近のはなし: 』

国際映画人には、「ワクチン パスポート」が必須になってきた。

ワクチン接種済みおよび14日間が経過している公的な証明書がなければ、渡航後の活動に支障がある。なかなかに深刻で、既に入れない現場が出てきている。たとえば命が削られると証明されても構わない、ワクチンに是非あれどわたしは、早期に接種したい。

日本限定の常識に、足を引かれる気は無い。命や健康など、どうでもいい。
わたしは国際映画を創る。ワクチン パスポートが必要なのだ。

さて、はじめよう。

『 ディベート風、口論 』

Appleの発表会から長かった“プレゼンテーション”のブームが過ぎ、主戦場をオンラインに移した現在、“ディベート風”のエンターテインメントが強い。ビジネスマンたちも影響を受けて、振り幅の広い論調で、言葉を発している。

映画人も多分に漏れず特に“プロデューサー”は、コロナ禍、5G、サスティナブル、SDGsを主題に、クラウドファンディング、オンラインサロン、リモートワークの最適化を語り倒している。

残念ながら、古く、拙い。
まず、“ディベート”になっていない。
“論破”を目的に感情を糧とする大声と早口は、
よくてディスカッション、せいぜい“口論”である。

経験の浅いプロデューサーは論点を見失った瞬間、
感情にすがらざるを得ない。自分も通った路、それは理解できる。
だが、それでは許されない。映画とは、「ディベート」なのだから。

『 映画:ディベート論 』

ディベートとは、古代ギリシャにまで遡る継承されてきた“技術”だ。
相手を説得する技術ではなく、観客を魅了するためのドラマツルギーのこと。現実社会に何らかの影響を与えることを目的として、開かれる。

大統領候補者同士の討論会や裁判が、ディベートだ。
そして、「映画ディベート」とは狭義の教育ディベートではなく、
広義の公的議論でもない。

“映画ディベート” が奪い合うのは勝敗ではなく、観客の可処分時間である。
その極端な活用例が、カトリックの教義の立証に用いられた“洗脳術”としての技術や、政治によるプロパガンダとなる。

我々映画人は、映画を生きている。
映画とは、「映画館で上映されているFilm」である。
まぁ、「デジタル上映も可」とする。
念のため、「ストリーミング配信も映画」と認めてみる。
場合によっては、「TikTokやYouTubeショート」も、
映画でないとは言い切れない。

映画ディベートはいま、
観客の可処分時間を求めて、活発化している。

『 映画の表現方法は、映画に限らない 』

巨匠先輩が、新作短編をYouTubeで発表する。
受賞コメントはZoomを介し、舞台を映像化して映像を舞台化し、一次停止前提のストリーミングで4時間の長編を発表し、100年後まで公開禁止の作品を国際映画祭にエントリーする、などと。

ならばわたしのような雑魚に、ルールなどあろう筈がない。

国際映画を撮影しにくいなら、国際映画人と共にリモートで映画を創ってやる。いや、目新しくないから更に、国際映画人と世界Topのアニメーターと共に、“コミック”を創ってやる。

なかなかだが、もう一歩。国際映画人とアニメーターに“俳優”を加えてコミックを生み出し、それをオーディオ コミックにし、さらにそのビハインド動画をドキュメンタリー映画にして公開さらに、その過程で生み出される素材たちをNFT化して、世界初の限定作品として観客に直接届けてみる。

いまはここまで、全部やる。
優秀な仲間たちと共に生み出すすべては、「映画」である。

あぁ、ところで。
まだ日本に入っていないニュースをお知らせしておこう。

■ 最新国際News:引退までのカウントダウン、クエンティン タランティーノ監督が「オーディオブック」に進出

クエンティン タランティーノ監督は予てより宣言している最後の長編監督映画について、まだ発表していない。そんな中、自身が監督したアカデミー賞受賞映画「ワンス アポン ア タイム イン ハリウッド」の小説版をこの夏に発表する予定だ。10本目の映画を撮り終えたなら映画界を引退するタランティーノ監督は、その後、テレビの仕事と本の執筆に専念すると語っていた。引退に先立って発表されるこの小説が、同監督のヒット映画「ヘイトフル エイト」の主演女優である“ジェニファー ジェイソン リー”を起用した、11時間という長さの「オーディオブック版」になることを明かした。ジェニファー ジェイソン リーはヘイトフル エイトの中で、絞首刑になる事が決定している逮捕されたアウトローの犯罪者を演じていた。このオーディオブック版小説は出版業界から、「遊び心のある衝撃的な始動だ!」と評価されている。「クエンティン タランティーノ待望の初作品はアカデミー賞受賞映画を基にした、陽気で美しく、残酷であると同時に常に驚かされ、時に衝撃的な小説である。」タランティーノ監督自身はこの小説が、映画の内容から逸脱することを示唆している。このオーディオブック版小説は、ハーパーコリンズ社との2冊の契約の一部であり、2冊目の本は「Cinema Speculation」と呼ばれている。内容についての説明がある。「映画界で最も有名な映画監督の1人であり、熱心な映画ファンでもあるタランティーノ監督が、1970年代の映画を深く掘り下げ、エッセイ、レビュー、個人的な文章、そして心をくすぐる「もしも」を豊富に織り交ぜている」とある。要するに、少なくとももう1冊の本が比較的近いうちに出版され、将来的にはもっと多くの本が出版される可能性があるということだ。 - MAY 16, 2021 THE PLAYLIST -

『 編集後記:』

引退間際、タランティーノ監督の新作は「オーディオブック」。自身の受賞映画を主題にしながらもスピンオフ展開を拡大しているオリジナルだ、という記事。

この地味なトピックの価値に気付いた読者は、かなり情報感度が高い。

メディアの発展に伴い映画作品は増加、シーズンものの連続ドラマも一般化し、映画監督の物語プラットフォームは大きく広がっている。

ように観える。
だが実のところ、観客たちのドラマ離れは顕著であり、
ただ冗長かつ壮大な世界観をビジュアルで押しつけることは、需要に対する逆ベクトルになっている。YouTube(※つまりはGoogle)がオリジナルの“ドラマ製作”から撤退を発表し、「もう“脚本型ドラマ”の時代ではない。」と断言したことを、軽視するのは危険だろう。

わたしも肌感として完全に、“ドラマ:物語”というフォーマットが廃れていることを感じている。人々はより日常との親和性ある、“発展し続けるリアル”を求めている。完成、完結したはずの大ヒット映画がオーディオブック版小説として拡大発信されてることは、とても良い進化の選択だ。

進化を続ける映画、が求められはじめている。

進化するために過去の素材を駆使し、未来を紡ぐ編集に挑む、映画製作の現場へ帰るとしよう。では、また明日。

■ 太一(映画家):アーティスト業界情報局 × 日本未発表の国際映画業界情報 あるいは、 監督がスタジオから発する生存の記