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【 第一線アニメーターが、コミックを描く ① 】:はじまり

事実だ。ならば、「完成作品」と「制作過程」もっと言えば、「企画開発過程」も含めて公開してみたい。つまり “ プロセスのエコノミー化 ” を図るべきだと想うのだ。さて「コミック」の世界に、現代の新常識は通用するのか。

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太一(映画家):アーティスト業界情報局
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日本未発表の国際映画業界情報 あるいは、
監督がスタジオから発する生存の記
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『 作画監督が、全原画で挑む “コミック” の世界 』

ド・メジャー劇場映画の作画監督自らが全カット書き下ろしで、コミックを生み出す。前代未聞の挑戦なワケだが、企画開発は実現した。
正直なところ、偶然が引き起こしてくれたラッキーなのだが。

超一流現役アニメーターゆえの彼らは、恐ろしく忙しい毎日を送っている。我々実写映画界の映画人もそこそこに闘っているのだが、彼らはもはや、生命体として次元が違う。透過光の作画デスクに向かう日常作業は当然、会議の合間にもWacomのタブレットにペンを走らせ、移動機内はモチロン、国際映画祭でのフォーマルにも膨大な資料と作画キットを携行。年末年始の会議が途切れる休暇こそは担当作業量を消化するチャンスとばかりに没入。煩悩が潜入するココロ容量すら残されているとは想えない。

“有名だった作品に参加していた学校講師”ではない、絶賛現役の最メジャーたちなのだ。そんな彼らが全力で、“コミックを描き下ろす”。

原作と脚本を担当しているわたし太一はと言えば、これはもしかしてとんでもない出来事なのではないか、と理解し始めたところだ。

『 開かれたクリエイティヴ:閉ざされる業界 』

実写映画業界は元よりアニメーション業界は特に、“プロセス エコノミー”の意識に遠いように感じる。成果物である作品が完成するまで、未発表を通すのが通例で、アニメーター本人に至っては、作品の自分発信を徹底自粛している。

たとえば、“企画開発”についての業界反応は顕著だ。

企画を開発する過程で集うパートナーたちには箝口令をしき、その仔細たりとも漏らさないことを徹底している。スタッフに配布されるSCRIPT(映画用脚本)と画コンテには全ページに、各人の名前とシリアルナンバーが印字されているのは常識だ。徹底的な情報封鎖と、綿密なマーケティング設計を経て、“製作発表”というローンチに備えるのだ。続いて、作品概要発表、スタッフ発表、キャスト発表、キービジュアル発表、制作ビハインド情報公表、キーマンのインタビューで分割情報発表、TEASER発表そして、予告編公開まで、その各イベント間を徹底的な沈黙で貫くのだ。実写映画に関して言えば、野次馬の封鎖、写メ厳禁、ロケ先宿泊施設封鎖、そして“クラップボード(カチンコ)”には、偽の映画タイトルと監督名を記載して漏洩情報を攪乱する。その業界常識は末端スタッフにも徹底されており、SNSでの発信は元より「公式な情報解禁」が通達されるまで、身内への口外にも意識を張るのが常識。

企画は発足した瞬間、針の穴ほどの間口から徹底管理されたルートのみを通ってターゲットにのみ、開示される。NDA(秘密保持契約)に基づく罰則規定の下で。まるで、スナイパーの狙撃だ。

もう時代が違う。

各国のデファクトスタンダードは、「プロセス エコノミー」である。
企画は発足の瞬間に内容まで、SNSに開示される。
全世界からの自薦パートナーを厳選して、企画は大きく成長していく。
キャストのオーディションどころか、交渉開始すら公的にニュース化を許し、撮影現場も隠さず、一般人のSNSが最新の映画製作状況を拡散する。TEASER映像すら公開前に、舞台裏のBehind The SCENEが公開されるのは定例化している。監督や出演者は想いのままに制作現場から情報を発信し続け、プロデューサーはトーク番組で、一般観客の質問に答え続ける。メディアの仕事はオンラインからの情報収集に追われるが、独占情報の価値はさらに拡大。“協賛”という、企画の中で宣伝枠を提供する“Product Placement”はますます大予算化している。全世界で企業投資の広告費が暴落している現在においても、だ。

もう、時代が違う。

『 作品の価値は、最大想定値を超えられる 』

企画は開かれるべきであり、完成、その課程までもがプロダクトなのだ。開放された企画はローンチまでの全想起を補助し、作品の成果を最大化する。「企画の内容が漏れたら客が減る!」という統計のない強迫観念を、振り払ってはいかがだろうか。そんな統計は、存在していないのだ。モノとしての商品においても同じだ。貴方たちが想いつくような企画は同時に、全世界で数百社が想いついている。とっとと企画を開示してパートナーを集め、プロセスの最適化を行わなければそもそもの、企画が枯れる。
現代における「熟考」とは、“出し抜かれ待ち” である。

一方、

全世界に5,000万人いると言われる “自称クリエイター” たち(※どう統計を録ったのか理解できないが。)は率先して、時には無意識に、「プロセス エコノミー」を実践し、成果を上げている。

『 “プロセス エコノミー” とは 』

成果物や最終的なアウトプットそのものだけではなく「プロセス」、つまり何かしらを製作、実行する際の過程自体をビジネスにするという概念。成果物やアウトプット自体をビジネスにする「アウトプットエコノミー」に対して、プロダクトの差別化としてプロセス重要になってきた、という考え。

“プロセスの収益化”という側面もあるだろうが注目しているのは彼らが、本来の成果物である作品の影響力を、より拡大できているという事実である。彼らは作品以上の価値を創出することに、成功しているのだ。

『 アニメーター製“コミック”企画を開示してみる 』

出版社、未定。マーケティング、これから。予算、どうでも良い。原作、執筆中。企画開発会議、進行中。タイトル、検討中。

それでも発信する、それがプロセス エコノミーの初動。企画は、パートナーたちと共に開発するモノなのだ。企画開発の幹部「ファースト ポジション」の募集は、まだ始めない。パートナー候補を厳選し、我々企画創始者が、全決定権を持つ。企画創始者たちは読者と共に本作を生み出すことを希望しているので、誰からの連絡にも対応する。

■(仮題)XXX:アニメーター製“コミック”企画
連絡窓口:株式会社EDLEAD-japan-

あぁ、ところで。
まだ日本に入っていないニュースをお知らせしておこう。

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■ 最新国際News:黒人侍アニメ「Yasuke」シーズン1が、NETFLIXから2021年4月に独占配信

日本で唯一の黒人侍の物語がアニメ化された。Netflixオリジナルアニメシリーズ「Yasuke -ヤスケ-」(6話)が、4月29日から全世界配信決定。アフリカ人初の侍となった弥助の史実が再構築され、完全新作として全世界190か国へ。「Yasuke -ヤスケ-」は、戦国時代を舞台に、最強の浪人ヤスケを主人公にしたアクションファンタジー時代劇。一度は隠居の身となった浪人ヤスケが、謎の力を持つ少女を闇の力から守るため、再び刀を手に取り立ち上がるさまを描く。原案、プロデュース、監督は「キャノン・バスターズ」のラション・トーマス。アニメーション制作を「進撃の巨人 The Final Season」「呪術廻戦」などのMAPPAが担当。グラミー賞ノミネート経歴者フライング・ロータスが音楽で参加している。- MARCH 09, 2021 NETFLIX -

『 編集後記:』

まて。このNETFLIX-Official発信の最新作情報は一部、“日本でも”記事になっている。「まだ日本に入っていないニュース」は、ここからだ。

本記事で触れていた“ 超一流” こそが、
このNETFLIX映画本作のアニメーター当人である。

実写、アニメ、2D、VR.、AR.、表現が変われども人間が手とココロで生み出す映画製作の現場へ帰るとしよう。


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