🔴いつも大安吉日35　〜こころをこめる〜

【こころをこめる】

ひとりふたりさんにんよにん

あっという間だったような
長かったような

ぼくはいつの間にか四人のとーちゃんになった

「なるようになるだろっ」
そしたら流れで四人もこどもができてた

こどもがお腹にできて結婚して八年
もちろんこどもを持つ親としてとか考えた
暮らしもひとりとはまったくちがう

でも正直なはなし、こどものときからあんまり変わってないところだらけ

やりたいことはやりたいようにやるし
やりたくないことはあんまりやらない

体はおっきくなったし、任されることもある
でもそれをこなすぼくの気持ちのベースにある大事なところ
「あそびごころ」みたいなのはそのまま

親

伐採は埼玉北部がぼくらのメインなエリア
車で5分も走れば埼玉との県境の実家に、ごはんも寝床もお世話になることがほとんどだ

「なにか食べたいものある」
「気をつけて行っておいで」
「また来るんだろ」って
いつもそんなことを言ってくれる

ごはんも「少なめでいいよ」って言ってもどんぶりめしになる

出かけようとすれば道に出て「オーライオーライ」って言ってみてくれる

いくつになっても実家にいればぼくはこどもだ

「ありがたいことだよなー」
朝の伐採に向かう車の中で改めて思った

でもそれが当たり前にいままであったから
やっぱり忘れちゃうことがおおかった

別に親が死にそうだとかそんなんじゃない
でもやっぱりそんな時間にもまた限りがある

ふとそんなことを運転しながら思ったから
手のひらに「親」って書いてみた

それを見たときくらいは、親のことを想って感じて感謝してみようかなと

「木」「立」「見」
木の上に立って見る
親って字はこんな構成だったのか

この発見のタイミングがうれしかった
昨日の伐採はぼくが木の上にあがる日だった

リアルな漢字の成り立ちと、親のなにかがわかるかな

木の上の景色

現場には高さ13メートルの「ゆりの木」
半纏木（はんてんぼく）とも言われる木

風がすごく強くて不安定な木の上
いのちづなをつけてまわりを見てみる

となりにいたらバカデカい35トンのクレーンも、満開の桜も、忙しく行き交う車も人も
みんなちっさく見える

遠くの山も見えるし、近くは広く見える

危険な仕事だから集中しなきゃだけど、「親」の文字があたまにチラチラチラつく

風の当たりが下よりも少しきついときがある
下と同じに穏やかなときもある

いろんなものやいろんな状況が上からだとたいした差もなく見える
でもよーく見ればもちろん違いも見える

遠くを見ながら近くも見える

「木」に「立つ」と上からはいろいろが「見える」

親としてこどもとして人として
おっきな宇宙のちっさな地球の一部として

けっきょくはみんな大差なくいまを生きてる
とも思う
でもやっぱり自分のまわりの狭い範囲を「すべて」だと思ってバタバタしてる人もいるし、そんな自分もいる

たまにはたかーいところに立ってみて
とぉーくのほうでも見てみたらいいな

そーいえば木登りってこどものころの遊びのひとつだったな

親ごころ

無事に作業を終えて実家に戻ると、いつもと変わらずおやじはテレビを観てる
おかんは夜ごはんの支度をしてる

「ポテトフライ食いたいな」
帰りの車で思ったことがおかんにバレてる

「ポテトフライでも食べるかい」

前の日の麻婆豆腐につづいて想いが届く

「すげーなおかん、よくわかるじゃん」

親子ってやっぱりすげーな
思ったことが伝わるんだ
見えないチカラだ
そんな風にも思ったしそれもあるとは思う

でも次のおかんのひとことにぼくはさらにうれしくなった

「この前来たときもそう言ってたよ」

なんてことはないそのひとこと
ぼくはそのひとことに親の想いを感じた

いつも見てくれていること
いつも聞いていてくれていること
いつも言ってくれていること
いつもやってくれていること

いつも想ってくれていること

ありがたくってうれしいよ

親とこども
仲間も自然も動物も
つながるいのちなのは間違いない

今日もみんなのおかげさまでたのしかった

まわりを想うこころ
目の前からはじめよう

お彼岸に行けなかった墓参りで手を合わせる
親の親のじーさんばーさん　
もっとずっと前のじーさんばーさん

ありがとうございます

よっしゃ今日もバッチリだ
あそびごころと想うこころ

みなさんもすてきないい日を

五穀豊穣　
子孫繁栄　
大安吉日や　さかいひろし

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