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最近映画で泣けるようになった。

僕には彼女がいます。

とってもとってもかわいい彼女がいます。

そんな彼女は、僕も所属している部活のマネージャーをしています。

約1年ほど前、彼女は大きな不安を抱えていました。その部活のマネージャーは、特殊な競技だったため、その競技特有の仕事がたくさんありました。その多忙さゆえ選手と関わる機会も少なく、そして先輩マネージャーが1人しかおらず、その先輩も彼女が入部して半年ほどで引退してしまいました。彼女は大きな不安の中にいました。僕が思っていたよりも遥かに大きくはっきりとした不安の中にいました。僕は彼女の話を聞こうとしました。相談にのろうとしました


大丈夫?これ他の大学のマネージャーさんのブログやけど読んでみる?みんなはそんなこと思ってないと思うよ。そんなに嫌なら少し休み貰おうか。ごめんね。ごめんね。ごめんね。



彼女には「あなたは何もわかっていない。」と言われました。ショックでした。自分はこんなにも力になろうとしているのになぜなんだ。話を聞こうとしているのになぜなんだ。僕だってどうしていいかわからない。辛いのは私だよと言うけど僕だって辛いのだ。そう思っていました。


そのまま半年が過ぎました。


彼女はいよいよ部活に顔を出せなくなりました。部活のことを考えると涙が止まらないようになってしまいました。ここで僕は人生で初めて心が弱っている人に向き合いました。恥ずかしながら今までの人生そんなことは1度もありませんでした。浅く広く、八方美人に生きてきて、自分自身も楽観的な部分があるためそういう場面に出会いませんでした。むしろ避けてきたと言う方が正しいかも知れません。これまでの自分は「病むとかいう人の気持ちは意味わからん」という具合でした。「そんなのは甘えだ、メンタルを鍛えていない、そんなに深く考えずにもっとアホらしく過ごせばいいのに」というようなとても稚拙な考え方でした。中学の部活が少し厳しいところだったこともあり、そこで自分はメンタルを鍛えられたと思っていました。そういう自分のプライドや、自分にとって過ごしやすい環境にいるだけなのにそれに気づかない鈍感さが、そのような無神経な考え方を生んでいました。そのような考えを直接誰かに言うほど僕は高圧的な人間ではありませんが、心のどこかでそういう風に思っていたと思います。

彼女は毎日涙を目に浮かべています。部活を忘れようと気晴らしに色んなことをしましたが、やはりすぐ思い出して俯いてしまいます。「なんとかして上げたい。」と「どうすればいいんだ。」が頭を駆け巡っていました。

すると僕の「力になりたいという気持ちを諦めない」という想いが伝わったのか、彼女も少しずつ口を開き始めました。いや、ずっと前から僕に伝え続けてくれていたのですが、僕の返しが的外れすぎて、僕には伝わっていないと感じ、話すのに億劫になっていました。そんな僕に半年間も伝え続けてくれた彼女に本当に感謝しています。辛い思いをしている中、僕と向き合ってくれた彼女に本当に感謝しています。


私は1人なの。同じ部活にいるのに1人なの。みんなは楽しそうにしているけど、私は寂しい。なぜ選手のサポートをしているのに、サポートしている側の私が辛いの。なぜありがとうの一言が言えないの。私が悪いのかなって何度も考えた。もっと明るく振る舞えばいいのかなと思って無理に笑っていた。マネージャーの先輩にもずっと前から相談している。そんなブログはずっと前にたくさん読んだ。自分でできることは色々試してみた。でも私がいなければ練習がかなりしづらくなるし、私がいる前提で練習のメニューが組まれている。だから行かなきゃならない。だけど行きたくない。部活に行きたくない。部活の日が近づいてくると涙が止まらない。今帰ったら明日起きて部活に行かなきゃならない。だから帰りたくない。



ごめんね。今まで本当に辛かったね。寂しい思いをさせてごめんね。そりゃそんな思いをしてたら部活に行きたくないよね。ごめんね今までわかってあげられなくて。勇気を出して話してくれてありがとう。




それだけでした。



そんな基本的なことが僕には出来ていませんでした。心に寄り添う、相手の立場になって想像してみる、共感してあげる、肯定してあげる、味方だと伝える、大丈夫だよと言ってあげる、そういうことでした。

それから彼女は少しずつ回復していき、今では以前のようにに部活に行けています。

気づくのが遅すぎました。今までの学生時代なにをやっていたんだと思いました。もっと若い頃に経験することではないのか。同年代のみんな、もっと言うと10歳下の子でさえできることではないのか。あ、中学の卒業式で泣いていたあの子はそういう気持ちだったのか。あ、よく学校を休みがちなあの子はだから来づらかったのか。


あ、だからみんな映画で泣くのか。

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