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科学は飲んでも科学に飲まれるな③

 今朝、電子レンジの裏から火花が散った。生活が急激に不便になった。

先日ハイゼンベルクの『科学ー技術の未来 ゲーテ・自然・宇宙』を読んだ。科学・技術について考えた。

ゲーテはニュートン光学を批判し、ロマン主義も批判した。それらに共通する理由は、両者ともに、主観と客観を明確に分けられると考えている点にあると感じる。その態度が、ゲーテには本質的に気に食わなかったのだと思う。

自然科学はどこまでいっても人間の営みである。それは非常に強力・有用であるが、自然そのものではない。自然科学は、人間の感覚器官や脳の構造から離れては存在しない。

他方で、その自然科学が技術と結びつき成し遂げたことは、世界を一変させたことも事実である。ここ百年間の人間の生活は、それ以前の人間の生活とは、まるっきり異なった様式を持っている。

現に電子レンジひとつ壊れただけで、昼食に支障をきたしている人間がここにいる。

私たちは知らず知らずのうちに科学に飲まれている。しかしだからといって、科学を捨て去れば、自然に飲まれるだけである。いや、そのほうがより自然なのかもしれない。

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