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【活動報告】うつ病で就職・離職を繰り返す方を対象に「就労に向けたオンライン当事者会vol.3」を開催

ご覧いただきありがとうございます。フリーライター業をしながら、うつ病当事者向けに情報発信活動をおこなっている たぐ です。

前回、前々回と、うつ病で離職または休職中の方を対象に「就労に向けたオンライン当事者会」を開催しました。参加者からは、『今後の働き方を検討するにあたりとても参考になった』といった感想をいただいています。

先日、第3回目の「就労に向けたオンライン当事者会」を開催しましたので、そのご報告をいたします。

「就労に向けたオンライン当事者会vol.3」を開催した方法

当事者会の開催方法は、以下の通りです。

■目的:
①うつ病を治療しながらフリーランスとして働いた体験を伝える
②体調不良になった時のことを中心に、会社・個人で働くメリット・デメリットを伝える
③①②を通して、仕事復帰にあたり、参加者が働き方の選択肢を増やせるようになる
■日時:2022年12月28日(水) 14~15時
■場所:オンライン(パソコン・スマホでGoogle Meetービデオ会議アプリ-を使用)
■参加費:無料 資料(パワーポイントのスライド13枚分を含む)
■参加者:1名(かいりさん、女性)

参加者|かいりさん

事務員として、公的施設で3年勤務。在職中にうつ病を発症、休職ののち退職となる。その後、自宅療養を経て、寛解レベルまで体調が回復。そこで、新たな会社に再就職。けれども、コロナ感染症の流行で会社が経営不振となり、その影響からうつ病が再発。一旦は休職したものの、体調が回復せず退職となる。現在は自宅療養中で、仕事復帰に向け体調を崩さずに働き続けられる働き方を模索している。今回、うつ病を持ちつつ、フリーランスとして仕事復帰した主催者の体験を聞くため、当事者会に参加。

ご本人の話に基づく

参加者当事者会vol.3の内容・様子

当事者会は、パソコンの画面上でパワーポイントのスライドを共有し、以下の順に実体験をレクチャーしました。

■当事者会でレクチャーしたこと

・うつ病を発症してから退職するまでの経緯
・退職後、「フリーランス」の働き方を選んだ理由
・フリーランスとしてはじめて請け負った仕事
・会社組織・個人で働くことのメリット・デメリット

・うつ病の当事者として感じたフリーランスの働きにくさ、働きやすさ
・フリーランスを検討するにあたり知っておくべきこと
・収入が増えることを見据えて、頭に入れておくべき税金や保険の話

■当事者会で使用した資料(一部紹介)

当事者会の資料|スライド9
当事者会の資料|スライド10

当日は、主催者と参加者で簡単に自己紹介し、スライドを見ていただきながら実体験をレクチャーしました。

参加者のかいりさんは、事務員としての経験を活かして、①フルリモートで働ける仕事と②フリーランスを組み合わせた「複業」を検討されていることでした。

また、仕事を頑張ったり責任を背負い込んだりしすぎてしまい、体調を崩しやすいところがあるとのこと。

そのため、今回は、在宅ワークするにあたり、体調管理で注意していること・工夫していることなども意見交換しました。

参加者の感想

・漠然としていたフリーランスの仕事について、具体化することができました。
・同じ病気を患っている人と、仕事や働き方を話し合う機会が全くなかったので、そういう話ができて良かったです。
・再就職、退職のループに入っていて別の働き方を模索している最中だったので、すごく参考になりました。

参加者との質疑応答

Q.仕事をするなかで、うつをぶり返さないために気をつけていることはありますか?

A.僕の場合は、調子が悪くなるとやる気が湧かなかったり、集中力が続かなかったりするところがあり。それを体調不良のサインにしています。サインが出たら、「休みが必要!」と割りきって、体調不良がひどくなるまえに休息をとるようにしていました。

Q.仕事を抱え込んで潰れやすいところがあるんですが、そういう部分はフリーランスのほうが働きやすいですか?

A.フリーランスにも、仕事を抱え込んで潰れてしまうリスクがあります。クライアントの要望・依頼を「はい、はい」と何でも引き受けると、どこまでも仕事を増やすことができるからです。なので、仕事を抱え込みすぎないためには、『断ること』も必要と考えています。いま何ができて、どこまで対応が可能か自分のキャパを考えながら、時には仕事を断ることも大切です。

Q.昔の自分を思い出したり、同世代と比べたりして、「もっと頑張らなきゃ」と自分を追い込むところもあって、、、

A.僕も、他人と比較して落ち込むところがありました。だけど、比べてもあまり意味がないと思いはじめたんです。自分と同じような属性に見えても、人により抱えている事情が違いますし。他人を目標に頑張っても、自分がつらくなるだけだったんですね。特に、うつ病の症状が残っていると、どう頑張っても健常者のレベルに達することができなくて。だから、良い意味で開き直って、「いまの自分なりにやれればいいかな」と考えるようにしていました。

「就労に向けた当事者会vol.3」をやってみて

当事者会vol.3で印象的だったのは、参加者のかいりさんが「仕事や働き方について相談できる人がいない」とおっしゃっていたことです。

外来通院のみで治療している場合、仕事や働き方について相談できる人はいないのが一般的かと思われます。

医師は、病気を治す専門家であり、積極的に就労支援してくれるわけではありません。福祉サービスは、一般企業に就職することを目標としていて、それ以外の働き方をサポートしてくれません。

要するに、かいりさんのように、うつ病を治療しつつリモートワーカーやフリーランスとして仕事復帰を検討する方には、相談相手がいないのです。

「就職は難しくても、ほかの働き方であれば仕事復帰できる」

そうした方には、相談相手さえいれば、仕事復帰に対する不安感を払拭したり、ハードルを下げたりできるのではないかと思いました。

今後について

今後も、うつ病の当事者を対象に「就労」をテーマにした当事者会を検討しています。開催する場合は、ツイッターやnoteで告知する、または個人的にツイッターのDMで参加を募るといった方法を考えています。

できる限り、就労に役立てる機会を作れればと思っていますので、今後ともよろしくお願いします。

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