うつ病になってからツイッターをより所にして良かったこと
もともと、僕は、うつ病の当事者に向けて実体験を伝える目的でツイッターを始めました。ですが、気づくと自分自身もツイッターをより所にしていたんです。
SNSは何かにつけて「心の健康に悪影響がある」と言われがちですが、少なくとも、僕はツイッターにたくさん救われました。
つらい気持ちを共感できた
僕のまわりには、うつ病の人やそれが原因で就労困難となった方がいません。だから、リアルの場では、なかなか自分のつらい気持ちに共感してもらうことができませんでした。
そんな時にツイッターを覗いてみると、「どうしても体が動かない」とか、「毎日しんどい」とか、同じような状態で悩んでいる人がたくさんいたんです。そうしたネガティブなツイートは、「ネガツイ」と言われて敬遠されることも少なくないですが、当時の僕にとっては、ツイートを読んだだけでつらい気持ちを共感できたように感じられ、とても安心できました。
あと、ツイッターでは、「生きているだけで偉い」というツイートも多いです。こういったツイートを見ると、『ありのままの自分でいいんだよ』と言われているようで、全面的に自分を肯定してもらえている感じにすごく気持ちが落ち着きました。
自分の体に対する理解が深まった
ツイッターは、うつ病になった自分の体を理解するのにも役立ちました。
例えば、うつ病には体調の変動がつきものですが、僕も、体調が良くなったり悪くなったりする日々が長かったんです。主治医に体調の変動が激しいことを相談したら、「うつ病の回復期はそういうものです」と諭されました。
そんな時にツイッターを見ていると、「うつ病回復期の体調変動は“揺り戻し”と言う」といったツイートがタイムラインに流れてきたんです。僕は、この言葉が気になり、インターネットで徹底的に調べました。その結果、どうやら“揺り戻し”には、人間の体が持つ恒常性(ホメオスタシス)という性質が関わっていることを知ったんです。そして、さらに調べを進めると、体が回復しようとする一方で体には元の状態(うつ状態)に引き戻ろうとする力も働き、結果的に体調が良くなったり悪くなったりする(揺り戻しが起こる)こともわかりました。
この揺り戻しに限って言えば、僕が調べた限りしっかり説明されている書籍・論文は、上記の神戸大学名誉教授で精神科医の中井 久夫医師が書かれた論文のみです。
何が言いたいかというと、僕は、ツイッターを使っていなければ体調の変動が起こる理由がわかりませんでした。自分の体について状況を理解できるというのは、当事者からすれば安心感にすごくつながると思うんですよね。
新しい生き方を後押ししてもらえた
現在、僕はフリーのwebライターとして働いていますが、この働き方を後押ししてくれたのもツイッターで知り合った人です。
もともと、僕は医療従事者として病院や介護施設で働いていました。そのため、フリーランスとして働くノウハウもなかったですし、ぼんやりと「webライターなら自分にもできそうかな」と思っても、まわりに相談できる人がいなかったんです。家族や知人はみんな会社員、フリーランスになるための支援機関というのもありません。
この先どうしようか働き方に迷っていた時に、たまたまツイッターで、主夫をしつつブログアフィリエイトやkindle・noteの出版などをされている鳥本さん(@akiratorimoto)という方の存在を知ったんです。
鳥本さんにDMをお送りし、思い切ってフリーのwebライターとして働いていきたい考えを打ち明けてみたところ、「全然ありだと思いますよ!」と言ってもらえました。鳥本さんにとっては、他愛もないやり取りだったかもしれませんが、自分の生き方に悩んでいた僕にとっては、新しい道に進むための勇気をいただけたような気がしてとても救われたんです。
「より所」としてのツイッター
ツイッターは、誰でも自由に利用できるツールです。だからこそ、情報の正確さがあいまいであったり、素性がわからずとも交流できたりと、使い方に注意する必要もあります。
けれども、それさえできれば、まわりに同じような立場がいない人にとって、孤独や孤立を解消するツールにもなり得ると思います。
少なくとも、僕にとっては、つらい時期を乗り越えたり、新たな生き方を発見したりできる「より所」になりました。
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