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熱中症予防対策に新たな情報の登場!?

5月もそろそろ終わりです。春から梅雨・夏へと季節の移り変わりを感じられる日々が続いております。今回は熱中症に関して、気象予報士の観点から情報の利活用についてお話します。

平成30年夏の記録的高温などの影響による近年の熱中症の発生状況を踏まえ、環境省と気象庁が「熱中症予防対策に資する効果的な情報発信に関する検討会」を令和2年5月27日に開催する予定です。

災害級とも言える暑さが懸念され、熱中症対策は気候変動への適応の観点からも極めて重要ですね。
そこで、環境省・気象庁が連携して、熱中症の予防と対策に関する情報を国民に向けて効果的に発信することで、国民への注意喚起を強化し、熱中症予防のための行動に繋げることが目的です。

熱中症対策の基本的な知識は備わっているかと思います。それに加えて、国が発表する情報の利活用が今後の我々に求められているわけですね( ^^ )

○熱中症対策の現状

1.気温の上昇と熱中症の増加
・日本の夏(6~8月)の平均気温は100年あたり約1.1℃の割合で上昇
・近年、熱中症による死亡者数・救急搬送人員数は年々増加傾向
・今後も気候変動等の影響により、熱中症は増加すると考えられているため、
 適応の一環としても、対策を強化することが必要

2.現行の伝達方法
環境省:暑さ指数(WBGT)
・全国840地点の予測・実況値を環境省webサイトで公表(毎夏提供期間内に3000万のアクセス実績がある。)
気象庁:高温注意情報
・「最高気温」が概ね35℃以上の予想で関係機関へ配信
・前日は地方、当日は府県単位で配信

3.現行手法のメリット・デメリット
メリット
・(暑)救急搬送人数と相関が高い(ISOで国際的に規格化されている)
・(暑)各団体等において、具体的な対策行動が示されている
・(高)自治体や報道機関への情報伝達経路が確立されている
デメリット
・(暑)国民の認知度が低い
・(高)発表基準が必ずしも熱中症の救急搬送人数と相関していない
・(高)発表回数が多く情報の重みが薄れている
暑:暑さ指数 高:高温注意情報

○熱中症対策の今後

新たな情報発信「熱中症警戒アラート(試行)」
環境省強み × 気象庁の強み =熱中症警戒アラート(試行)

熱中症リスクの極めて高い気象条件が予測され、国民各層において適切な対応をとってほしい場合に、環境省及び気象庁から広く情報発信。

★ポイント
・暑さ指数を用いた実効的な発表基準(環境省)
・防災気象情報のノウハウを活かした効果的な発信(気象庁)
 →発信力の強い統一的指標の創設
  確立された伝達経路の活用(気象庁)
  各主体との連携による適切な対応(環境省)

○今後のスケジュール

環境省・気象庁による共同検討会で、新たな情報発信について検討。
今夏に、関東甲信地域で先行実施し、その後検証。
令和3年度から全国で本格実施予定。
<令和2年>
7~10月:関東甲信地域で「新たな情報発信」の先行実施、その後検証
<令和3年>
全国で本格実施

環境省・気象庁「熱中症予防対策に資する効果的な情報発信に関する検討会」の開催についての別紙より

熱中症のリスクは減りません。
自分の身は自分で守るため、適切な行動を取りましょう。
また、発信される新しい情報を積極的に利活用しましょう!

2020.5.26 DaiTaguchi

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たぐち だい 気象予報士・防災士
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