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2023/09『八百屋お七のツイート(仮・未完成戯曲の第一稿)』

※上演ご希望ございましたら、ご相談下さい。こちらは未完成の戯曲です。著作権・上演権は田口アヤコおよびHIKOに帰属します。

【上演中止記録】

※公演当日、田口アヤコがコロナ感染のため、出演叶わず。発声に難あり、稽古も出来なかったため、戯曲も未完成。

=経血膿火疱=
9月 10 @ 18:30 - 22:00
@pool 桜台

act

19:00-
StephaneShibatsujiPerrin(少女人形ノイズ)

19:50-
ヘドロメルヘン                
(市場大介&吉田恭淑)
feat ナオミ・ミリアン

20:40-
HIMIKHO69  演目「八百屋お七」
若林美保(空中ストリップ)
HIKO(ドラムス)
feat Timisoara(KeikoMoritaハーシュノイズ)
feat 田口アヤコ(朗読)

fee 2,000jpy +1d(500)

More info Instagram gauzehi34

*********

わたしの名前は、
父が法華七喩(ほっけしちゆ)から取って付けたという、

お七

三車火宅(さんしゃかたく)
長者窮子(ちょうじゃぐうじ)
三草二木(さんそうにもく)
化城宝処(けじょうほうしょ)
衣裏繋珠(えりけいじゅ)
髻中明珠(けいちゅうみょうしゅ)
良医病子(ろういびょうし)

自我得仏来(じがとくぶつらい)
所経諸劫数(しょきょうしょこうしゅ)
無量百千万(むりょうひゃくせんまん)
億載阿僧祇(おくさいあそうぎ)
常説法教化(じょうせっぽうきょうけ)
無数億衆生(むすうおくしゅじょう)
令入於仏道(りょうにゅうおうぶつどう)
爾来無量劫(にらいむりょうこう)
為渡衆生故(いどしゅじょうこ)
方便現涅槃(ほうべんげんねはん)
而実不滅度(にじつふめつどう)
常住此説法(じょうじゅうしせっぽう)
我常住於此(がじょうじゅうおうし)
以諸神通力(いしょじんつうりき)
令顛倒衆生(りょうてんどうしゅじょう)
雖近而不見(すいごんにふけん)
衆見我滅度(しゅうけんがめつど)
広供養舎利(こうくようしゃり)
咸皆懐恋慕(げんかいえれんぼ)
而生渇仰心(にしょうかつごうしん)
衆生既信伏(しゅうじょうきしんぷく)
質直意柔軟(しちじきいにゅうなん)
一心欲見仏(いっしんよくけんぶつ)
不自惜身命(ふじしゃくしんみょう)
時我及衆僧(じがしゅうしゅうそう)
俱出霊鷲山(くしゅつりょうじゅせん)
我時語衆生(がじごしゅじょう)
常在此不滅(じょうざいしふめつ)
以方便力故(いほうべんりきこ)
現有滅不滅(げんうめつふめつ)
余国有衆生(よこくうしゅじょう)
恭敬信楽者(くうぎょうしんようしゃ)
我復於彼中(がぶおひちゅう)
為説無上法(いせつむじょうほう)
汝等不聞此(にょうとうふもんし)
但謂我滅度(たんにがめつえど)
我見諸衆生(がけんしょしゅじょう)
没在於苦海(もつざいおうくかい)
故不為現身(こふいげんしん)
令其生渇仰(りょうごしょうかつごう)
因其心恋慕(いんごしんれんぼ)
及出為説法(ないしゅついせっぽう)
神通力如是(じんつうりきにょぜ)
於阿僧祇劫(おうあそうぎこう)
常在霊鷲山(じょうざいりょうじゅせん)
及余諸住処(ぎゅうよしょじゅうしょ)
衆生見劫尽(しゅじょうけんこうじん)
大火所焼時(だいかしょしゅうじ)
我此土安穏(がしどあんのん)
天人常充満(てんにんじょうじゅうまん)
園林諸堂閣(おんりんしょうどうかく)
種種宝荘厳(しゅじゅうほうしょうごん)
宝樹多華果(ほうじゅたけか)
衆生所遊楽(しゅじょうしょゆうらく)
諸天撃天鼓(しょうてんきゃくてんく)
常作衆伎楽(じょうさしゅうぎがく)
雨曼陀羅華(うまんだらけ)
散仏及大衆(さんぶつぎゅうだいしゅう)
我浄土不毀(がじょうどふき)
而衆見焼尽(にしゅうけんしょうじん)
憂怖諸悪悩(うふしょうあくのう)
如是悉充満(にょぜしつじゅうまん)
是諸罪衆生(ぜいしょうざいしゅうじょう)
以悪業因縁(いあくごういんねん)
過阿僧祇劫(かあそうぎこう)
不聞三宝名(ふもんさんぽうみょう)
諸有修功徳(しょうしゅうくどく)
柔和質直者(にゅうわしちじきしゃ)
則皆見我身(そくかいけんがしん)
在此而説法(ざいしにせっぽう)
惑時為此衆(わくじいししゅう)
説仏寿無量(せつぶつじゅむりょう)
久及見仏者(くないけんつぶつしゃ)
為説仏難値(いせつぶつなんち)
我智力如是(がちりきにょぜ)
慧光照無量(えこうしょうむりょう)
寿命無数劫(じゅみょうむしゅこう)
久修業所得(くしゅうごうしょとく)
汝等有智者(にょとううちしゃ)
勿於此生疑(もっとししょうぎ)
当断令永尽(とうだんりょうようじん)
仏語実不虚(ぶつごじつふご)
如医善方便(にょいぜんほうべん)
為治狂子故(いじおうしこ)
実在而言死(じつざいにごんし)
無能説虚妄(むのうせつこもう)
我亦為世父(がやくいせぶ)
救諸苦患者(くしょくげんしゃ)
為凡夫顛倒(いぼんぷてんどう)
実在而言滅(じつざいにごんめつ)
以常見我故(いじょうけんがこ)
而生憍恣心(にしょうきょうししん)
放逸著五欲(ほういつじゃくごよく)
堕於悪道中(だおあくどうちゅう)
我常知衆生(がじょうちしゅじょう)
行道不行道(ぎょうどうふぎょうどう)
随応所可度(ずいおうしょかど)
為説種種法(いせつしゅじゅほう)
毎自作是念(まいじさぜねん)
以何令衆生(いがりょうしゅじょう)
得入無上道(とくにゅうむじょうどう)
速成就仏身(そくじょうぶつぶつしん)

法華経はすべて「方便」
ひとつひとつみるとね、途方もなく嘘っぽい話なわけ、
「方便」って、なんだとおもう?
「ある目的を達するための便宜上の手段」

それって、わたしにとって、「火をつけて、櫓の鐘を鳴らしたこと」じゃない?

仏さまって、あたしのなかのたましいのことなんだって、
法華経ではさ、瞑想が魂イコール仏とつながるただ一つの方法とかいわれてるんだけど、そんなことしなくたってあたしが火をつけたら、それがあたしのたましいじゃない?

あなたに会いたい、
あなたに会いたい、
あなたに会いたい、
それは嘘じゃない

でもさ、
あんたが、吉三郎がいるからあたしがいるんじゃなくて、あたしがいるからあんたがいるのよね?
あたしがあんたのことを思って思って思って鐘を鳴らしたから、
みんなあんたのことが罪人だって気づいたわけ。

あたしはぜんぶわかってるの

あんたはあたしよりもうつくしくて、
あたしはべつに美人じゃない、

あたしもあんたじゃなくてもよかったけど、
あんたもあたしじゃなくてもよかったの

あたしはあんたとひとつに「なってみたかった」だけだし、
あんたは女を知って、「恋文ごっこ」をしたかっただけ。

何百年も経って。
そう、
何百年も経ってね、
それでも。

あんたのうつくしさだけはほんとうだった
あたしの名前、
「お七」
「八百屋のお七」
こんなのはきれいでもなんでもないの
櫓で鐘を打ち鳴らす狂った女、そう、
男たちは、
そして狂うことのできない女たちは、
それを
安全な場所から見ていただけ

あたしは見せ物
人間を超えた、
もしくは人間以下の存在、
珍しく恐ろしく「生活」とは遠い場所にある、居る、

でもあたしも生きてるの。
生きてたの。

火、炎のように生きたかった
でも、
知ってる?
やっぱり、
火をつけたあたしより、
火、そのもののほうがうつくしいの

そして力があるの。
家を焼き
町を焼き
子どもも、老人も、男も女も焼き、焼けたら、
みんな、黒こげの、ヒトガタのかたまり。

でもね、
それで火をつけたあたしを恨むより、
生活を、面倒ごとを、うまくいかない物事すべてを、焼き払ったあたしを、
物語の主人公として、
消費できる対象として、
最後の処刑まで、
そう、あたしも火をつけられたの
それを見てる
みんな、興奮して、爛々とした目で、それこそ男と女のまぐわい以上の快感を感じながらね

そう
ほんとうに肌を重ねることの快楽なんて、
そんな程度なの

だから、あたしも火をつけたの。

みんな、
すべてを、
全てに、
火をつけて、
自分自身にも火をつけて、
いま自分が感じている喜びとか悲しみとか怒りとか後悔とか、消えたら、

いいのに

って

仏教って、
「全ての人が平等」っていうけど、これって

「生きていることと死んでいることには何の違いもない」

そう、
あたしと、
ここであたしをみているあんたたちとの間には、なーんの違いもないの

あたしは「お七」と呼ばれた女
名付けられた女

鐘を鳴らすけど

多分あんたたちには聞こえないと思う

吉三郎!
吉三郎!

吉三郎!

あたしはまだこうやって綺麗な女の姿でいるけど、あんたは虫にでも生まれ変わったのかもね。

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