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なぜ紙の本を出版したいのか ※約7分


電子書籍を何冊か出版しています。
今のところ、紙の本は出していません。
これはなにも、

「紙の本は終わった」

 とか

「地球環境保護のため」

と考えているわけではなく、単に「需要と供給」の問題です。
いつか出したいと思っています。

今現在、電子書籍を出版し、たくさんの方々に読んでいただけており、時には感想までいただいたりしているというのに、なぜ紙の本を出したいのか。

考えてみました。

それは、「普遍性」を手に入れたいからです。

もちろん前提として、書かれている内容に「普遍性」がなければいけない。
これは、承知していますし、感性や技術を磨かねば、と思っております。
ただこの事とは別に、媒体としての普遍性が欲しい、と考えているのです。

たとえば、紙の本は、2000年以上前の物が現存しています。
誰かが書いた物が、2000年以上の時を超えて、我々が目にすることができる。これが媒体として普遍性がある、ということです。
では、電子書籍はこれから2000年後にどうなっているでしょうか。

あるかもしれないし、ないかもしれない。

新しすぎる媒体なので、本当のところどうなのかは、誰にも判断はつきません。私としては2000年後には電子書籍は「ない」可能性の方が高いと思っています。

こんなことを言うと
「あなたの書いたものが(内容的に)2000年も残るとお思いか」
というご指摘をいただきそうですが、よろしければもう少しおつきあいください。

私個人の著作や、普段目にする作品群を論じるのに、「2000年」は大げさだとしても、日々電子書籍に触れていて、その儚さを感じることが多々あります。

どんなときに、なぜ儚さを感じるのか。
少し寄り道して、これを紐解いてみます。

私は比較的読書が身近にある生活をしています。
その中で「電子」か「紙」かを選ぶ際の指針は、以下のようなものです。

1. 電子版があるものは電子版で、ないものは紙で
2. ただし「ぱらぱらと行きつ戻りつ読む」ようなものは紙で
3. 特に漫画は、できうる限り電子版で

補足します。
なぜ電子版を優先しているのか。この理由は2点あります。

1つめはコストの問題です。
電子版は間に入る人(業者)の数が少ない点と、紙やインクを使用しないことから、「少し安め」で入手することができます。
時には半額セールなども行なわれます。
これは多読家にとってはありがたいことです。
「たくさんの本を読みたい」と思うと、必然的にコストを抑えたくなるものですから。

2つめはスペースの問題です。
日常的に紙の本を買って読書をしていると、必然的にスペースが占有されていきます。
特に、漫画。※私は個人的に、漫画も「読書」だと考えています。
好きな漫画を全巻そろえていくと、あっという間に本棚が一杯になってしまいます。
「置き場所がないから」という意識は読書活動の妨げになるので、これを防ぐためにも「スペースを取らない」ということは重要です。

そんなわけで、電子書籍を選ぶことが多いのですが、その反面、以下のような行動もしています。

「とても良い本だったので、紙で買い直す」

前述の「電子版を選ぶ理由」と照らし合わせると、不合理のようにも思えます。
なぜ、こんな発想になるのでしょうか。

これはおそらく、電子書籍に「儚さ」を感じているからです。

・電気がないと読めない
・デバイス(タブレットや電子書籍リーダー)が故障すると読めない
・サービス(kindleやkobo)が終了すると読めない

紙の本が読めなくなる主たるケースとしては「焼失」がありますが、上記と比較して可能性の低いものです。

内容に普遍性がある(=何度も読み返したい)場合、この電子特有の儚さを踏まえて、本能的に「普遍性のある媒体で持っておきたい」と私は考えているのだと思います。

更に言うと、紙の本には「実在している」という存在感があります。

ふと本棚に目をやれば、そこにある。
読みかけでベッドサイドに置いてある本は、丁重に扱う。
読み終えて閉じても、たしかにあるし、触れられる。
時には「そこにありいつでも読み返せる」ということに心強さを感じたりもします。

対して電子の本は、読み終えて画面を閉じた瞬間、どこにあるのかよく分からなくなります。
デバイスの中を探しに行けば再会できますが、偶然目にする機会は激減します。

ここで、冒頭の「紙の本を出版したい」に行き着くのです。

自身の作品である「本」を、「実在させたい」。
読む方に寄り添う存在でありたい。
「紙で持っていたい」と思ってもらいたい。

どうもそんな思いが私の中で、紙の本出版への憧れになっているようです。
もちろん紙の本は、コストもスペースも必要なものなので、価値を感じていただけなければ電子の本以上に邪魔に思われてしまう可能性があります。

そうならないよう、まずは中身(内容)を磨くことに精進して参ります。
そうして願わくばいつか、2000年後の読者の方にも出会えるような作品を作りたいものです。

以上、紙の本と電子の本に関する個人的考察でした。
最後までお読みいただきありがとうございます。
ご感想、ご意見などありましたらコメントお待ちしております。

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